『67歳の新人ハン角斉短編集』味わったことのない短編たち。そうか、そういう見え方だったんだ。

ぶちおです。

今回は『67歳の新人ハン角斉短編集』をご紹介しようと思います。
タイトルの通り、67歳の新人漫画家さんです、爆誕です。
物語に込められている味が、深い深い。

流行り物、万人受け、そういったワードはいったん脇において堪能しましょう。

67歳の新人ハン角斉短編集 (ビッグコミックス)

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こんな人にオススメ

☆ヒューマンドラマ好き
☆何歳からでも挑戦はできると思っている
☆渋みのある画をいきたい
☆じんわり感じたい

書籍概要

◆作品名　67歳の新人ハン角斉短編集
◆著者　　ハン角斉
◆出版社　小学館

67歳の新人、デビュー！奇跡の初単行本！

プロ漫画家たちも称賛する
圧倒的な原石！

衝撃作『山で暮らす男』で新人賞を受賞し、
業界を騒然とさせた67歳の新人・ハン角斉。
漲る初期衝動と独自の世界観でプロも称賛する
氏の読切6編を収めた奇跡の初単行本！

池上遼一氏、感嘆！
「漫画であり、漫画の範疇をも超えた深い読後感！
毒、狂気じみた人物像、常識がくるわされていく違和感、
エロティシズム…カフカやカミュのような不条理文学を
彷彿とさせる。異才だ！」
Amazon『67歳の新人ハン角斉短編集』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『67歳の新人ハン角斉短編集』
ぶちお、なかなか小学館のビッグコミックスレーベルを読む機会が少ないです。
しかし本作は、あちらこちらで話題になっているのを見たのでせい！っとポチりました。
力強さが全面に押し出されている表紙、渋い。
渋すぎるぜ。

レビューでも全短編おすすめというのもあったので、わくてかで読み始めました。
ページをめくって早々、作者さんからのメッセージです。
この本が出るまでのいきさつが書かれています。
何度賞に応募しても叶わず、漫画家になれず挫折するも、またペンをもって描き続けた漫画。
先生は北海道在住ということで、短編に出てくる自然っぷりの雄々しさにも納得です。
体験が作品に活きるんだろうなぁ～と勝手に得心しました。

お話は全部で6話あります。
世にも奇妙な物語にありそうな、不思議なお話です。
ギミックあり、人生の喜び悲しみあり、やたらと味わい深い犬も登場します。
各話の終わりに、作者さんからの短いコメントも載っています。
どういう背景があったのか、描写についての説明もちょっと笑えます。
コメントを読んでから、もう一度お話を最初から読みたくなります。

読みながら、これってなんかおかしくない？というモヤるところも伏線だったりします。
新人さんと謳っていますが、侮るなかれです。

・山で暮らす男
モノローグ、登場キャラの行動言動、考察していくのが大事です。
なんでやねんポイントがあったら、どういう状況なら起こりうるのか。推理してみましょう。

・親父のブルース
ぶちおお気に入りの犬が登場します。
ちょいちょい面白ポーズでコマ内で大暴れしています。

・黒い蝶
余命いくばくもないと分かった時、どういう最期を迎えたいと思うものなのか。
やりなおすことが出来るなら、どんな結末がいいのでしょう。

・眠りに就く時…
好きですね～このおはなし。
謎の施設の正体がわかると、なんだそういうことかと脱力してしまうのですが、心地よい悔しさがありました。
穏やかに眠りに就きたい。

・案山子峠
ミステリー要素ありです。
我が子を失った母親の執念、犯人はどこに潜んでいるのか。
復讐を完遂するためには、自分をどこまで犠牲に出来るかが鍵です。

・模様
顔にアザがある女子高生。
コンプレックスがどう昇華されていくのか。
見方ひとつで、天地がひっくり返るものなのです。