ぶちおの本棚

『諸星大二郎劇場 美少女を食べる』食卓に並んでいるのは、本当に美少女なのだろうか。

ぶちおです。

今回は『諸星大二郎劇場 第3集 美少女を食べる』をご紹介しようと思います。
とかく副題に惹かれました。
ホラー界隈に多くいると、こういう食卓風景も通常運転に見えてくるので不思議です。
いまさらどんなコース料理がきても驚かない!多分!!

怪しい倶楽部の集いをはじめ、奇怪なおはなしを咀嚼していきましょう。

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こんな人にオススメ

☆不思議な短編を楽しみたい
☆諸星大二郎作品をあまり読んだことがない
☆SF的な要素も好き
☆まさかのBLもいける

書籍概要

◆作品名  諸星大二郎劇場 第3集 美少女を食べる
◆著者   諸星大二郎
◆出版社  小学館

奇奇怪怪な世界へと誘う、至高の短編集。

秘かに開催されている、『悪趣味クラブ』。
悪趣味の限りを語り合う禁断の会合で、
今宵俎上に上がったのは“とある美少女”。
世にもおぞましい悪食晩餐会が、今はじまる―――――

鬼才・諸星大二郎が描く、全てコミックス初収録の奇怪譚のオムニバス。
パンドラの箱を開けた時、あなたはきっと、まだ見ぬ不思議に遭遇する。

ぶちおの読書感想文

『諸星大二郎劇場 第3集 美少女を食べる』
一応、シリーズになっているので第1集から読もうかなとは思ったのですが、電子では第1集だけ配信されていませんでした。
なにか事情があるのか…
紙本は販売されている。
あ、監修が東宝となっているので、これが原因かな…版権まわりが煩雑なのかもしれん!

仕方ないので、好きな集から読んでいこうと決意しました。
短編集だし、どこから読んでも問題ないはず。
となればやっぱり、表紙的にも副題的にもこの第3集が気になりまくる。

最後の晩餐風に配置されている紳士達、目の前のテーブルには美少女が乗っています。
美少女の体には、各部位の肉の名称が描かれている。
おしゃれだし、こわさもあるし!
食べるって、そのままの意味なのか?!

『美少女を食べる』
ある紳士が体験談を語ります。
とある地で、選ばれた客しか通されないレストランの秘密の催し。
参加した客の前に出されたのは、美少女の肉料理。
レストランのスタッフは、この肉料理が本当に少女のものだという証拠を提示していきます。
客は半信半疑で食るすことに。

牛肉とは違う、食べたことがない肉な気がはする。
でも本当にこれは美少女の肉なのか。
それっぽい小道具や態度で、美少女を調理したと言っているけれど、目の前で調理されたわけでもない。
レストランサイドの芝居の可能性も多いにある。
出所不明。

結局、食べた料理についての真偽は分からなかった。
だからこそ、今から改めて美少女を食べてみようと提案します。
別の美少女を調達して、その時のレストランのスタッフに出張調理もしてもらったと。
同じ味だったなら、過去に食べたのは美少女だった。
もし違う味なら、美少女以外の素材だっただけだ。

お金と時間のかけ方が間違っているでしょう、紳士よ。
確かめかたも尖りすぎでしょう。

このおはなしのラストは読者に委ねられますが、なんとも苦みがあるといいますか。
結局、考えられるどのエンディングだったとしても、ハッピー要素はないといいますか。

《私の娘はお口に合いましたか?》

ちなみに人間の肉は美味しくないと聞きます。
肉食動物の肉って、美味しくないっていいますもの。
牛も豚も鳥も、身近な食肉は肉食動物ではありません。
どんな調理法をしても、優雅に食べられるとは思えないのですが…

『月童』『星童』
舞台は中国明朝、清朝時代。
まさかのBL展開でした。
BLは古い時代から世界のどの地域でもあったものなので驚かないのですが、諸星作品を読んでいて唐突に出会ったことに驚きました。
あ、耽美的な要素がもりもりめだなと。

主人公の父が買った少年・月童と、セットで付いてきた人形・星童。
月童と星童は双子に間違うほど、そっくり。
どんな秘密があるのか、星童は人のように動いたりすることも出来ます。

主人公は月童と星童と会ってしまったことで、家を堕落させていくことに。
確実に特級呪物の人形じゃないか?星童。
本当に人形、だよね?

主人公の父も魅了され、気付けば主人公も月童と星童に溺れている。
名家の坊ちゃんが欲にまみれていく横で、変わらないまま仕えている月童達の姿が印象的。

人間のように動く人形は、ハッキリと動く理屈を教えてもらえないとこわいなぁ。
糸で操っています、電池で動いています、の安心感ったらない。
どうです?生きているようでしょう?は、時と場合によっては怖い文言だもの。
チャッキーのように、殺人鬼の霊が憑依している可能性だって捨てきれない。

ふと、『有吉クイズ』で見たドールを思い出しました。

肌触りや重さ、皮膚を透けて見える血管、生きているような表情。
追求するって、こういうことだなぁと。
ドールを着替えさせて、車の助手席に乗せてドライブしてたの笑ったなぁw
結婚後は置き場所に困ることになって、お別れをしたという後日談もまた笑いました。

ドールの販売店とか行く機会がないからあれですが、実際に触ってみたい。
高額ドールはやっぱり違うんだろうなぁ。
人間をこえたリアリティを感じたい。

他にも不思議な鳥、映画館での奇妙な旅、増えていく自分との会話、など諸星イズム炸裂の作品が楽しめます。
巻末には各話の解題も掲載されています。
発想のネタは身近なものが多いと知って憧れました。
ぶちおは何にも閃かないし、記憶が千切れていって覚えていないこと多いものw
でも生きる。

1話1話、じっっくり読むのがオススメ!

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諸星大二郎作品

『諸星大二郎劇場 第3集 美少女を食べる』を読んで、劇場シリーズ以外の作品から選書してみました。
大手の出版社である集英社、講談社、小学館を制覇しているんですよね。
ぶちおが書店員時代にも、諸星コーナーがありました。
各出版社に置いてしまうと、店内あちこち行かないといけないのでw

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表題作のほか、「自殺館」「ためらい坂」「ボリスの獲物」等計10編を収録。

まとめ

『諸星大二郎劇場 第3集 美少女を食べる』
未知のものを楽しみたい。
他の人では体験できないことをしてみたい。
気になったことは、検証したい。
大丈夫、きっとこれでうまくいく。

欲望に、限りはない。

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