『の、ような。』これほど安心して読める作品、久しぶり。ほっこりあったかみが沁みます。

ぶちおです。

今回は『の、ような。』をご紹介しようと思います。
どちらかというとダークサイド系の作品をよく読むぶちおです。
が、疲れた時にはやっぱりほっこりする作品を欲します。

本作は、心のすみずみにじんわりほこほこが広がります。
ちょっとだけ普通とは違う、でもそれでいいんです。

の、ような。　１巻 (ラバココミックス)

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こんな人にオススメ

☆癒し系を欲している
☆小さいこどもが可愛い作品を所望
☆感動して、ちょっとホロリしたい
☆現代らしいファミリーを垣間見たい

書籍概要

◆作品名　の、ような。
◆著者　　麻生海
◆出版社　芳文社

それは人生の劇的変化…。一人暮らしの希夏帆の前に恋人・愁人が連れてきた二人の少年。二人は愁人の親戚で両親を失ったばかりの兄弟だという。希夏帆の家で生真面目な中学2年生の冬真、天真爛漫な5歳の春陽、そして愁人の4人は同居生活をすることに。戸惑う日々の中、彼らの新たな関係が始まる――。
Amazon『の、ような。　１巻』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『の、ような。』
読了後に、全身の垢というか闇のウロコというか、ボロボロ落ちた気がします。
ほっこり作品って苦手なｎですが、こんなに薄汚れていた自分を再認識することになるだなんてｗ
本作は売上ランキング上位で見つけて、いっき読みです。

そのままの現代が舞台なので、設定や背景などをわーわー考える必要もなく、すんなりと読むことができます。

30歳を過ぎてマンションを購入、生業は物書きの希夏帆(きなほ)。
自分のペースで仕事をこなし、家事もそこそこにこなす女性です。
しっかり自立して、スパッと気持ちのいい性格です。

希夏帆の家にいついている恋人・愁人がある日連れてきたのは、両親を不慮の事故で亡くした冬真と春陽兄弟。
葬式の席で親戚たちが兄弟の処遇でもめている中、愁人が希夏帆の家に連れ帰ることにします。
たらい回し、兄弟離ればなれになるよりはいいだろう、そして希夏帆が断ることはないだろうという見込みの元、
希夏帆、愁人、冬真、春陽の4人同居生活がはじまります。

夫婦のようで、夫婦ではない。
親子のようで、親子ではない。
じゃあ何ですか？と聞かれても、第三者にはなかなか伝わりにくい『の、ような。』関係です。

家事の分担、学校や保育園の手続き、引っ越しなどやることはたんまり。
加えて希夏帆は在宅ワークで自分都合で暮らしていましたが、同居人が増えたことで生活サイクルの軌道修正をはかります。
目にクマを作り、風呂にも入れず、寝落ちすることもしばしばｗ
愁人、冬真、春陽も協力しながら、微笑ましいです。

幼稚園にはちょっと問題ありげなお友達やママ友に、希夏帆がズバッと芯に響く言葉を伝えます。
よその家庭に口出しはしない、を前提としながらも、本人達のためになるような名言にジーンときます。
今の幼稚園事情とかも垣間見えますが、お母さんって大変だ！と感服します。

同僚が出産した時に、｢冗談じゃなくて、ハゲちらかった｣と言っていました。
体力も精神力も、全力で削られるのが育児なんだなぁ～　ぶちお。

春陽は明るい幼稚園生、冬真はしっかり中学生、対比の色濃い兄弟も可愛いです。
聞き分けのいい兄弟ですが、ふと涙腺を鷲掴みしてくるのでご注意ください。

ワケあり、のようだけど、今時もうワケありって言わないんじゃないかな。
と思うくらいに多様性マインドを与えてくれます。
女の子らしく、男なんだから、という言葉がどれほど古いか。
両親がいない、片親しかいない、ということがどれだけ些細なことなのか。

新しい考え方、ものの捉え方まで教えてくれる素敵な作品です。