ぶちおの本棚

『殺人鬼探偵の捏造美学』その殺人鬼は、警察の捜査にも協力する。習性に基づく行動だから

2024年8月20日

ぶちおです。

今回は『殺人鬼探偵の捏造美学』
ミステリ小説には、麗しい見た目の殺人鬼の需要が高めです。
本作に登場するのも、ルックスよし、頭脳よし、人当たりもよし。
表の顔は満点!でも、連続殺人鬼!!

自分の模倣犯とみられるような死体が発見された時、当の殺人鬼はどんな行動をとるのでしょうか。

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こんな人にオススメ

☆イケメン探偵が好き
☆こだわりの強い殺人鬼が気になる
☆若い女性刑事と、くたびれたおじさん刑事タッグがいい
☆学生時代、群れてたなぁ~と思う

書籍概要

◆作品名  殺人鬼探偵の捏造美学
◆著者   御影瑛路
◆出版社  講談社

氷鉋清廉。警察も頼りにする精神科医にして、美学に満ちた殺人鬼・マスカレード。新米刑事の百合はマスカレードに殺されたかのような怪死体に遭遇するが、先輩刑事に紹介された捜査協力者は、あろうことか氷鉋だった!父親、婚約者、恋人の証言が食い違う、謎めいた被害者・妙高麗奈を、当の氷鉋と追う百合。だが、死んだはずの被害者の目撃証言があらわれ!?

ぶちおの読書感想文

『殺人鬼探偵の捏造美学』
トリプルフェイスの美青年、氷鉋清廉。
精神科医として医院で診療、
警察の相談を受ければ、探偵として事件を推理、
殺人鬼マスカレードとして、作業場で被害者達を…

どの顔が本当の氷鉋清廉かと言われれば、殺人鬼と言えるでしょう。
医師も探偵も、殺人鬼の顔を隠すために何役もかっているんですもの。
殺人を重ねてしまう習性を氷鉋は持っている…

マスカレードの犯行スタイルも独特の美学に基づいています。
犯行は常に完璧。
氷鉋は感情で衝動的に犯行を起こさない、常に冷静で頭もキレる。
淡々と、粛々と。

ただ、今回見つかった死体はマスカレードの犯行のようで、どこか違和感があるものでした。
遺体の顔は下半分が削られている。
傷は首元まであるのに、顔の上半分は綺麗に残っているというアンバランスさ。
削る強さも一定には見えない。
左足首から先は切断されているけど現場に残されている。

過去の美学に基づいたマスカレード事件との違いもある、ということはこの事件は模倣犯の仕業か?
連続殺人鬼の名が世に広まるほど、模倣犯が現われる可能性もあるけれど…
それとも、新しいルールが加えられた犯行なのか。

事件を担当するのは若手女性刑事の百合。
家族がマスカレードの被害にあったこともあり、マスカレード逮捕には尋常ではない熱をもっています。
先輩刑事とともに捜査をすることになり、先輩御用達の相談役である氷鉋と出会うことになります。
警察が信頼して捜査協力を仰ぐ氷鉋。
氷鉋が殺人鬼マスカレードその人なのですが、百合たちが知る由もなし。

氷鉋もマスカレードの犯行とは言えないと感じつつ、積極的に捜査に協力します。
氷鉋の推理や発見によって、どんどん事実が明らかになり解決に向かっていくようでいて…
どうやら被害者自身もきな臭いことが分かり、新たな謎がふくらんでいきます。
ただの被害者ではなさそう。

歯科の記録から、被害者の名前は妙高麗奈と判明します。
麗奈の家にいくと、何とも奇妙な感覚に襲われる百合。
メイクも服もインテリアも統一感がない、でもそれはちょっとした違和感で芯には届いていない。

決して裕福なお財布事情ではないことを反映している家なのに、高級車は所持している。
これも違和感。

養父、婚約者、彼氏と3人の関係者に麗奈の話を聞くも、全員がまったく別人のことを話しているような印象。
どうしてこんなことになるのか。
婚約者がいながら恋人がいるなら、痴情のもつれか??

麗奈の死体は顔の半分が削られていたので、顔を知りたい。
関係者に写真提供を求めるも、誰も麗奈の写真を持っていないという回答に驚きます。
麗奈はとにかく写真が嫌いだった、昔のアルバムですら全て処分していたくらいだと。
む~ん、と違和感を覚える百合。
どんどん麗奈という人物像がわからなくなっていくばかりです。

ちなみにぶちおも写真嫌いなので、顔や痕跡を残さない派です。
昔のアルバムも邪魔だから捨てようとしていたら、母に見つかって阻止されました。
ほぼ麗奈と同じことしておる!!
ので、個人的にはそれくらい写真嫌いな人もいるよという謎の共感をしましたw

百合は、被害者の過去を調べていきます。
マスカレードの犯行と睨んでいるけれど、関係者の男性陣も怪しく感じる…

学生時代に麗奈には、蜜蜂と呼ばれる取り巻きがいました。
その取り巻きも高校卒業からしばらくたって、全員が失踪している。
いや、さすがにおかしいだろ!
これは麗奈にも絶対何かあるはずだ!!

麗奈という花に群がっているから、取り巻きは蜜蜂という命名をされたわけですが、ここでもふとぶちおは昔を思い出しました。
学生時代、別のクラスの子から、
ぶちおといつも一緒にいるクラスメイト数名を含めて【ぶちおとその仲間たち】と呼ばれていると聞いて驚きました。

ぶちおはそのままぶちおなのでいいですが、
クラスメイトたちを十把一絡げに【その仲間たち】と総称するのはいかがなものかと!
そう見えていたというのも心外でした。
そんなに関係深かった子でもなかったのにな~
学生時代は規模や密度の違いはあれ、群がり群がられるものなんじゃないかなぁ~と。

麗奈と同じような暮らしを、ぶちおもしていたと思いつつ読み進めました。

氷鉋も百合とともに、麗奈の関係者への事情聴取に立ち会い、推理を構築していきます。
一致しない被害者像、蜜蜂の行方、
殺人鬼マスカレードとしてのプライド。

一見関係ない要素が実は伏線だったというミステリの醍醐味もあります。
そうだ~そんなこと言ってたじゃん~冒頭数ページであったわ~と出し抜かれるのが嬉しいぶちおです。

そもそも医師で探偵で殺人鬼という、氷鉋をどこまで信用すべきなのか。
麗奈の事件の犯人は本当にマスカレードではないのか。
被害者も関係者も癖ありだから、どこまで本当のこと言ってるのか分からなくなります。

目の前にいる人が言っていることが、真実なのか。
完璧に確かめる方法がありますでしょうか。

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御影瑛路作品

『殺人鬼探偵の捏造美学』の作者、御影瑛路先生作品から選書してみました。
ラノベへの扉が開くやもしれません。

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彼女は、【僕】 の家族を殺した憎い仇。僕は彼女を許さない。
僕の家族を殺してなお、のうのうと生きている彼女を許さない!

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詳しくは、本編を読んでくれ。

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そして運命の時がやってくる。
次の生贄に選ばれた生徒、それは僕が最も愛する人だった。
僕は決断する。愛する人を護り、そして絶対の存在である『ノワ』の打倒すると。

まとめ

『殺人鬼探偵の捏造美学』
連続殺人鬼マスカレードの美学。
完璧な美しさをもつパーツの収集。
捕まる可能性は今のところ0%。

医師としての診療をしているその裏で。
事件解決のために刑事とともにあちこちを駆け回っているその裏で。

氷鉋清廉は今日も新しい被害者を捉えている。

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