ぶちおの本棚

『欺瞞の殺意』刑期を終えて、当時の事件についての考察を交わす書簡。残忍過ぎる犯行は誰がやった。

2023年12月14日

ぶちおです。
おすすめ小説のご紹介です!

今回は『欺瞞の殺意』
自分を刑務所に送った真犯人が許せない。
執念がどのような結末に結ぶのか。
人間の深すぎる業を見たような、ぞわぞわ感がありました。

こわいお手紙のやりとりです。

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こんな人にオススメ

☆古い日本の家長制度とか気になる
☆愛憎、どちらの感情が勝るのか知りたい
☆手紙のやりとりから、推理をしたい
☆悪人は罰を受けるべきだと思う

書籍概要

◆作品名  欺瞞の殺意
◆著者   深木 章子
◆出版社  KADOKAWA

昭和41年。地方の資産家楡家の当主がゴルフ中に心筋梗塞64才で逝去。親族しかいない法要が屋敷で執り行われるがそこで殺人事件が起こる。長女と孫(早死にした長男の子)がヒ素で死んだのだ。調査を進めると、殺された長女の婿養子の弁護士のポケットから、ヒ素をいれたチョコレートの紙片が発見された。
「わたしは犯人ではありません。あなたはそれを知っているはずです――。」
無実にもかかわらず「自白」して無期懲役となったその弁護士は、事件関係者と「往復書簡」を交わすことに。「毒入りチョコレート」の真犯人をめぐる推理合戦は往復書簡の中で繰り広げられ――、やがて思わぬ方向へ「真相」が導いていく――。「このミステリーがすごい!」2021年版 国内編(宝島社)と「2021年本格ミステリベスト10」国内ランキング(原書房)で堂々7位のW受賞作品。A.バークリーの『毒入りチョコレート事件』をオマージュとした本格ミステリ長編。

Amazon『欺瞞の殺意』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『欺瞞の殺意』
よくいう愛憎劇、愛と憎しみの果てに。
まったく逆の感情なようでいて、根っこは同じといいますか。
愛するから憎い、憎いくらいに愛している。
人の感情が複雑ゆえ、この一連の事件が起きたということでしょうか。

昭和41年の夏、地元のある名家で事件が起きます。
当主だった楡伊一郎が亡くなり、法要で集まった楡家の関係者達。
円卓を囲んで休憩をしている時に、楡家の長女である澤子が体調不良で倒れます。
救急車で搬送されみんなが対応にバタバタしている中、続いて楡家の長男の息子の芳雄も倒れているところが発見されます。
この2人は結果として亡くなりますが、死因は毒物によるものと分かります。
この時、家の中にいた関係者の中に犯人がいることは間違いなさそうだが、一体誰が。

冒頭では、昭和41年に起こった事件について描かれています。
各人のアリバイ、行動についても簡潔に提示されます。

次の章からは、楡家の長女・澤子の夫で入り婿である楡治重と楡家の次女・橙子との往復書簡のやりとりを読むことになります。
治重の着衣から事件に関する重要な手がかりが発見され、有罪判決を受けます。
治重は41年の懲役を経て、仮出所となります。
長い間、事件の真相を考え抜いて辿り着いた答えを橙子に手紙で送る。
橙子も当時の記憶を辿りながら、治重の出した答えに手紙で応える。
書簡のやりとりの果て、何回も予想を覆されます。

時代背景と、書簡のやりとりというところが魅力です。
昭和40年代、一家の当主が絶対的な権力をもっていて、家柄とか血筋とか世間体を何より重要視していた時代です。
登場人物紹介がありますが、まずは人物たちの力関係を把握するのが大事です。
長男が一番として、入り婿のポジションはどうなる。
家業も婿たちが手伝っているので、仕事でも家の中でも上下関係がしっかりしている。

この時代でも、マウント合戦はあったんです。
だからこそ、事件の動機はこのマウントの取り合いゆえかとも思うのですが…

本編の肝、書簡のやりとり。
ここに、謎を解くためのヒントがたっぷりと潜んでいます。
送った内容に対しての肯定や反論。
仮説を受けたことによって、また新たな真相解明の手がかりが見つかる。
そしてこの謎解きは、書簡でないと成り立たないでしょう。

物語の後半は、手紙のやりとり後に起こった内容について描かれています。
ここでまた、裏切られるといいますかw
いや、終始伏線は張られているので、裏切られっぱなしとも言えます。

無実なのに、甘んじて無期懲役の判決を受けた治重。
とにかく死刑にはならないように、素直に判決を受けて反省の態度を示す。
そうすれば再審することも可能だし、真犯人を見つけ出して告発する機会もあるはずだと。
しかし現実には殺人事件時効は成立し、治重の再審も叶わずに無期懲役が確定。
治重は刑務所の中で、どんな気持ちで事件を見つめ直していたのか。

熱い往復書簡をぜひ。

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こんな作品もおすすめ

『欺瞞の殺意』を読んで、お手紙やメールのやりとりをしたくなる作品を選書してみました。
ちなみにぶちおは筆無精!
破壊的に悪筆なので、そのあたりがお手紙敬遠の理由ですw

ルビンの壺が割れた(新潮文庫)

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『ルビンの壺が割れた』
やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。
2人のやりとりで見事にびびらされた作品です。
超オススメです。

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『往復書簡』
衝撃の結末と温かい感動が待つ、書簡形式の連作ミステリ。
その名前ズバリの作品です。
湊先生好きならば、こちらもぜひ。

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『幽霊ホテルからの手紙』
〈中国のスティーヴン・キング〉が放つホラーミステリー!
地味に、一方的に届く手紙ってこわくないですか。
手紙は届くのにタイムラグもあるし、時と場合によって手紙はこわいアイテムにもなります。

やぎさんゆうびん ~白やぎさんからお手紙ついた~ (オルゴール)

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『やぎさんゆうびん ~白やぎさんからお手紙ついた~』
ほっこりしかない童謡です。
届いた手紙を本能のままに食べて、さっきの手紙って何?と手紙を返す。
でもまた欲望のままに食べられる手紙w
結局手紙の内容はわからないまま。これぞミステリ!

まとめ

『欺瞞の殺意』
差出人と受取人だけが見ることが出来る書簡だからこそ、本音が赤裸々に綴られています。
他人の手紙を盗み読みするって、やっぱりなんか罪悪感がついてまわります。
内容は40年以上前の殺人事件に関することなので、些細な表現すら見落としてはいけません。

刑務所を出て、高齢になり。
事件の容疑者である関係者達も、半分はすでにこの世を去ってしまっている。
それでも長い刑期の間の時間をかけて考えた考察を吐露したい気持ちは分かる。

名家で起こった事件の真相は、書簡の中に。

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