『原因において自由な物語』小説の内容が現実にあった事件と酷似。作者自身も知らない結末に向かう！

ぶちおです。

今回は『原因において自由な物語』をご紹介しようと思います。
作者の五十嵐律人先生は弁護士ということもあって、
作中に登場する弁護士が語る内容のリアリティが凄いです。そして法律ってやっぱり難しい。

あらすじではどんな内容か掴めなかったのですが、表紙のインパクトと有名な作者さんということで手に取りました。
謎は意外な方向に進んで、ラストはじんわりも。

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こんな人にオススメ

☆ミステリが好き
☆テクノロジーの進化にびびっている
☆アオハルの暗黒面を見たい
☆やっぱりラストは驚きたい

書籍概要

◆作品名　原因において自由な物語
◆著者　　五十嵐律人
◆出版社　講談社

謎を解かなければ。
私は作家なのだから。

人気作家・二階堂紡季には、
誰にも言えない秘密があった。
露呈すれば、すべてを失う。
しかし、その秘密と引き換えにしても、
書かねばならない物語に出会ってしまい――。

デビュー作『法廷遊戯』が、ミステリランキングを席捲！　注目の弁護士作家第３作！
Amazon『原因において自由な物語』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『原因において自由な物語』
あらすじを見る限り、どんな内容なのかの想像が難しくｗ
ただ、『法廷遊戯』をありとあらゆるメディアで見ていたので、その作者さんなら間違いないだろうと思い購入しました。
ちなみに『法廷遊戯』は未読です。
謎のあまのじゃくを発揮しつつ、本作をよみはじめました。

ただ、感想文を書くにあたって気付きました。
ネタバレしない、がなかなか難しい作品です。
作品を説明する上で、ネタバレしないことが難しいです。
だからあらすじもふんわりしていたのかな～と思います。

ここからは、ちょっと大事な部分に触れるので、ネタバレは全てNGな方はお戻りくださいませ！
それでは、OKな方のみお進みください。

主人公の紡季(つむぎ)は、輝かしいデビューを果たしたミステリ作家です。
大学のサークル時代からの縁で、自分で物語を書くことが生業になりました。
しかし、作品を重ねていくうちに発行部数は低迷…

大衆に受け入れられるように、ジャンルを変えていってもなかなか効果は出ず苦労していました。
ある時から、恋人の想護(そうご)から小説のプロットを提供してもらうようになります。
プロットは小説の骨子、あらすじのようなものです。

紡季はアイデアが出ないけど、文章を構築していくスキルはある。
想護はアイデアは出るけど、文章を構築していくスキルはない。
双方の合意のもと、二階堂紡季の名で作品を共作し出版していくことになります。
想護のプロットは素晴らしく、紡季の文章力が加わり、また人気作家に返り咲きます。
共作については世間に隠したまま、想護と紡季の関係は続いていました。

いつものように想護からもらったプロットを元に、小説を書いていく紡季。
冒頭のシーンを書き終えて担当編集に送ると、予想外のことを告げられます。
【この小説、実際に起こった事件が元になっているのではないか】
指摘を受けた紡季がネットで調べると、該当するニュースがありました。

廃病院から男子高校生が飛び降り。事故か自殺か。

どういうつもりで想護がプロットを出してきたのかを確認しようとした矢先、事故の知らせが届きます。
想護が廃病院の屋上から転落したらしい。
小説の元ネタとなったであろう、男子高校生が飛び降りたのと同じ廃病院からの転落でした。
意識不明の想護に小説のことを聞くことは不可能…
想護が自殺をするなんて考えられないけど、それならこの事件はどうして起きてしまったのか。

自分で謎を解明するしかない！
紡季の物語は進んでいきます。

男子高校生の転落は事故か自殺か。
どうして想護は、この男子高校生を元にしたプロットを作ったのか。
納得できる理由が欲しい！

作中には顔面偏差値アプリなるものが登場します。
写真をUPするだけで、AIが的確に顔面偏差値をたたき出し、同じ顔面レベルの異性とマッチングしてくれるというもの！
いやぁ～恐ろしいですし、こんなアプリが爆誕&普及したら、残酷な子どものおもちゃになりますね。
もちろん、このアプリの存在は事件の重要なポイントです。

男子高校生は顔のコンプレックスで、いじめを受けていたのではないか。
高校という閉鎖的社会の中で、いつでも誰にでも襲いかかってくるいじめというウイルス。
多様性を認めるようでいて、一律全員に課される校則。
少しでも人と違うところがあると、いじめっこに狙われますが、
いじめっこもきっかけ次第でいじめられる側になるリスクもあります。
事件を追う中で、校内のいじめについてもじっくり考えさせられます。

事実なのか、小説なのか。
なぜ、人は小説を書く必要があるのか。

紡季が書いた小説には、男子高校生の他にもう１人、
【彼女】も命を落とすという記述がありました。
【彼女】とは誰なのか、どうして男子高校生が【彼女】の死について知っていたのか。

さぁ、物語を追いましょう！！