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ぶちおの本棚

『首切り島の一夜』懐かしい同窓の仲間。ちょっとした行き違いから、事件は起こる。

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ぶちおです。

今回は『首切り島の一夜』をご紹介しようと思います。
歌野晶午先生の書き下ろし作品、そして何よりぶちおのセンサーにひっかかるタイトルです。
○○島って不穏な空気100%でたまりませんね。

今作も、想像力をふるふるにして、騙されてゾクっとしましょう。

首切り島の一夜

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こんな人にオススメ

☆同窓会から巻き起こる悲劇が気になる
☆たった一夜の出来事を濃厚に感じたい
☆人間ドラマが好き
☆島モノなら、ひとまず読んじゃう

書籍概要

◆作品名  首切り島の一夜
◆著者   歌野晶午
◆出版社  講談社

壮年の男女と元教師が四十年ぶりに修学旅行を再現した同窓会を企画する。
行き先は濤海灘に浮かぶ弥陀華島、別名星見島とも言われる離島。
宴席で久我陽一郎は、当時自分たちの高校をモデルにミステリを書いていたと告白する。
 その夜、宿泊先で久我の死体が発見される。
折悪しく荒天のため、船が運航できず、天候が回復するまで捜査員は来られない。
 宿にとどまった七人は、一夜それぞれの思いにふける……。
彼ら一人ひとりが隠している真実は、事件の全容をあきらかにするのか──。

Amazon『首切り島の一夜』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『首切り島の一夜』
もちろんタイトルだけの衝撃で、わくわくしながら購入しました。
恐ろしい謂れがある島なのか、殺人鬼が潜むのか、孤立してしまうのか、島に思いを馳せます。
やおら首切り島というキラーフレーズに興奮しましたが、読了後は切なさを感じました。
勝手にタイトルだけで妄想して盛り上がったことを謝罪です。
過去に凄惨な事件があったわけでもなく、連続殺人鬼も潜んではおらず、島に閉じ込められた状態になったのはたったの一晩です。その間も電話はつながるので、完全な孤立でもないです。
登場人物はいたって普通の人達と言えると思います。

だけど、だからこそ、たった一夜の人間ドラマにじっくりどっぷりずっぷり浸れました。
探偵もいないし、みんなの前で謎解き口上もありません。
だが、それがグッとくる!!
普通の人達の中で起こった出来事だからこそ、身近にすら感じられます。

アラ還の同窓仲間が、当時の高校時代の修学旅行をなぞるように旅行を計画します。
みんなが通っていた高校は進学校で、超厳しい。
令和では問題になるようなブラック校則、教師によるハラスメントもあり、生徒達は親や教師に一方的に抑圧される学生生活を送っていました。
当時は親教師を恨みながらも、大学に入り仕事をして家族と過ごし、アラ還も近くなれば良き思い出に昇華されています。

ちなみにですが。
ぶちおが小学生時代に通っていた塾とかは、今なら訴えたら勝てるんじゃないかと思うくらいの昭和教育でしたね~
机ばぁん!と叩いて、「おまえたちはたるんでる!こんな簡単な証明問題が出来なくてどうする?!受験に負けるぞ」と恫喝してきたあの数学教師への恨みは根深いですw
この件で数学のすべての情報がぶちおの脳内にはインプットされなくなりました。
【証明?したい人が証明したらいいんじゃないですか?わたし、社会に出ても証明が必要とする世界線には生きないので】【今の恫喝で心身にダメージを負いました。賠償してください】
く、ぶちおはまだまだあのおっさんを成敗したい気持ちが強いですが、もう少し時が経ったらこの作品の登場人物のように笑いながら話せるようになるのでしょうか…

学校生活はどうだったでしょう。
ブラック校則はもちろんありましたが、学生ってそういうもんだと達観、というか諦めていた気もします。
ソックスは校章のワンポイントが入った指定のもの。
割高でダサいソックスってなんでやねん!と思いつつも、それによって生計をたてている人がいるんだろうなぁ~とも思っていました。
全校集会で指定ソックスが貧乏で買えないと訴えていた男子学生のこともいまだに覚えています。
それが功を奏してか、数年後には色の指定のみで校章入りじゃなくてもよいということになりました。
そう、学生時代って何年経っても忘れていない思い出ってあるものです。

作品のおはなしに戻ります。
良き思い出となった学生時代を共有した仲間で向かった離島。
同窓旅行の夜はお酒も入り、各自ご機嫌に過ごす中、久我の遺体が宿のお風呂場で発見されます。
この夜は悪天候で船を出すことが出来ず、天候の回復を待って一夜を過ごします。
それぞれがどんな思いでこの旅行に参加したのか。
高校時代も含め、どんな過去を辿ってきたのか。
順風満帆に見えて、知られざる半生が語られていきます。

一見、事件とは無関係な思い出話のようでいて、事件に繋がる重要な伏線も隠されています。
でもって、その罠に引っかかり、後半で真相が分かった時に背筋にゾクゾクしたものを感じまくったぶちおです。
いや、この罠は巧みなんです。
ぶちおの脳レベルでは、見破ることは出来ませんでした。
小説だからの脳汁ぶしゃぁ体験は、何度体験してもたまりません。

宿にいるのは同窓の仲間だけ、外部犯の可能性も低い。
とくに嫌われるようなポイントも見当たらない久我が、誰かに殺害されたとしたら犯人の動機はなんなのか…

結末を知ってしまうと、とても哀しい…
行き違いとか、勘違いとか、かけ違いとか、誤解とか。
発言した方と、受け手の方では、物事の捉え方が全然違うことのほうが多い。
犯人の動機、なんとも切なく痛々しい…

アラ還同窓生たちの、長い一夜。

歌野晶午作品

歌野晶午作品を選書してみました。
あちこちの出版社で、ジャンルや傾向も豊富です。

ずっとあなたが好きでした (文春文庫)

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『ずっとあなたが好きでした』
三度読み推奨だなんて、どんな逸品なのでしょう?!
普通の恋愛小説集なわけがないです。

絶望ノート (幻冬舎文庫)

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『絶望ノート』
いじめの被害者が、いじめの加害者の死を願う。
願うだけなら罪にはならないのですが…

誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート 舞田ひとみシリーズ (角川文庫)

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『舞田ひとみシリーズ』
JK探偵のシリーズも発売されています。
謎から謎へ、謎が謎呼ぶ。

間宵の母

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『間宵の母』
デビュー30周年、著者最恐のホラー・ミステリー!
鳥肌をご所望のかた、いかがでしょうか。

まとめ

『首切り島の一夜』
楽しい昔語りの旅行だったはずなのに…
当時に見られなかった綺麗な星空をまた見たかっただけなのに…

同級の久我が、昔書いたという未完の小説はどんな意味をもっているのか。
それぞれが過ごしてきた半生に隠された秘密から、真相を見抜きましょう。

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