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ぶちおの本棚

『深泥丘奇談』身の回りで起きる怪奇現象。ただ【私】以外は誰も怪奇と認識していないようで…

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ぶちおです。

今回は『深泥丘奇談』をご紹介しようと思います。
本格ミステリの第一人者、綾辻行人先生の作品です。
本作はミステリではなく、ホラー寄りの短編集になっております。
スパッと謎は解決せず、じわじわくる感覚がお好きな方にはたまらないかと思います。

行間、余白を思う存分想像力で補完しましょう!

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こんな人にオススメ

☆和風ホラーテイストが好き
☆綾辻先生ファン
☆変な登場人物はいいぞ
☆結局、謎のままでも構わない

書籍概要

◆作品名  深泥丘奇談
◆著者   綾辻 行人
◆出版社  KADOKAWA

ミステリ作家の「私」が住む“もうひとつの京都”。その裏側に潜む秘密めいたものたち。古い病室の壁に、長びく雨の日に、送り火の夜に……魅惑的な数々の怪異が日常を侵蝕し、見慣れた風景を一変させる。

Amazon『深泥丘奇談』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『深泥丘奇談』
作者である綾辻先生自らの体験なんではないか、と思ってしまうような語り口です。
概要にもあるように、もうひとつの京都が舞台です。
深泥丘で起きる数々の謎現象が綴られています。

さくっと読める短編が9編収録されています。
主人公の日常が時系列で書かれています。
日常に潜みつつも、唐突に発露する恐怖体験…

体調不良を感じて、主人公は深泥丘病院にかかることになります。
すべての始まりは、この病院との接点といえます。

小説家という職業柄、
運動不足になりがちで、喫煙もやめられない、締切りに追われる時は寝食も疎かになりがちという不摂生っぷりです。
年齢も重ねると、無理もきかなくなってきて目眩や頭痛に襲われる。
そこで深泥丘病院にお世話になるのですが、医師も看護師も怪しさMAXです。

科は違うのですが似た容貌をした石倉という医師が3人勤務しています。
各自の違いは眼帯をどちらの目にしているか、または眼鏡を着用しているかの違いです。
三つ子?とも考えられますが、1つの病院に間違い探し状態の医師が密集するなんて…フムム。

看護師も普通なようでいて、ぶあつい包帯を体のどこかに巻いています。
数ヶ月経っても治らないのか、同じ箇所にずっと包帯をしていてやっぱり変です。
が、治療自体は普通なのでまたなんとも。

舞台となっている深泥丘の地域には、不思議な風習が多々あります。
主人公はそこそこ長く住んでいるにもかかわらず、風習については記憶が抜け落ちていることも。
そしてぽやっとしていると奥さんにつっこまれます。
『ここで暮らしていて、知らないなんて嘘でしょう』と。
住人にとっては常識とされている内容も、おかしなことだらけなのですが。

体調不良の検査で胃カメラを飲んだ時、体内に潜んでいたもの。
線路の先からやってくる、赤い煙を吐く異形のモノ。
長雨を止めるため、日本人なら誰でも知っているアレを作るために用意された体。
水の怨霊に取り憑かれた女は、お祓いに失敗したせいか悲惨な最期を迎える。
奥の歯痛の治療に使われたのは、見たことも聞いたこともない虫。
開けてはいけないと言われていた扉の鍵が、時をこえてありえないところから出てくる。
盆の送り火の夜、病院の屋上で見物していた人々が次々にパニック状態になる。
奇術ショーの最中、参加型マジックに挑戦した観客におこった災難。
聞くだけで身の毛もよだつような声の主とは。

ざっくり短編の内容をまとめてみましたが、いかがでしょう。
なんともいえない奇妙さが目白押しです。

そして主人公は、このおかしな経験をしているにも関わらず、時間の経過とともに出来事を忘却していっているようなのです。
怖いことがあった気がするんだけど、なんだっけ的な。
普通なら絶対に忘れられない出来事をすっかり忘れてしまう…
主人公もまた、怪しい現象に取り込まれてしまっているのでしょうか…

各話のラストは急な暗転のように終わります。バツンッ!と。
怪奇現象の種明かしや、解釈は一切ないですw
すべては読者に委ねられています。

疲れた小説家の幻覚と捉えるもよし、
本当に怪奇なことに飲み込まれたと捉えるもよしです。
あれはここの伏線か、実はあの人はこういうことか、と脳内ディスカッションが捗ります。

神経すり減るかもしれない深泥丘での生活を、垣間見てはいかがでしょう。

こんな作品もおすすめ

『深泥丘奇談』の作者、綾辻先生のいつもとは変わった作品を選書してみました。
本格ミステリやホラーの間に、対談や共著作品もあります。

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『シークレット~綾辻行人ミステリ対談集in京都~』
ミステリ専門誌「ジャーロ」に不定期連載された噂の「京都対談」、待望の単行本化!
『深泥丘奇談』は京都をベースにして書かれていますので、こちらを読むことでさらにふかぁくはまれるのではないでしょうか。

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名だたるミステリ作家がお薦めしてくれる、夢のような作品です。
表紙にある6名の名前だけで、ふるふるしちゃいます。
どんでん返されることが趣味の方、要チェックです。

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『7人の名探偵』
全編書き下ろし新本格アンソロジー。
こちらの7人の作者名も、見ただけでぷるぷるします。
結果、作家名でまた作品をたくさん買って読んでのミステリループへようこそ。

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『連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集』
巻末に綾辻×伊坂×米澤、語りおろし特別鼎談を収録。
ミステリ作家陣が選書したミステリと聞くだけで、気になっちゃいます。
こういう作品からまた新たな作品と出会うのもオススメです。

まとめ

『深泥丘奇談』
怪しい土地、怪しい病院、怪しい人々、怪しい現象、
ここまで怪しい尽くしの世界では、何が現実なのか分からなくなります。

ただの体調不良が見せた幻であればいいのですが、刑事が捜査したり、実際に被害が出ていたり、これはやっぱり現実だったのではないかな…と。
メビウスの輪のごとく、どこが表でどこからが裏か。
気付くとまた振り出しになっているような、住人たちは何を知っているのか。

続編も出ているので、この主人公の怪奇譚をまだまだ応援していきます!

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