ぶちおの本棚

『やまのめの六人』仲間の中に、怪異が紛れこんでいる。悪党たちと悪党たちの邂逅。

2024年10月13日

ぶちおです。

今回は『やまのめの六人』をご紹介しようと思います。
ホラーをベースに、ちょっとした推理要素もあります。
登場人物に善人はいない?!
誰が生き残るべきか。

山の怪異から、何人が抜け出せるのでしょうか。

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こんな人にオススメ

☆孤立した状況に悶えたい
☆怪異とのバトルに挑みたい
☆ライトめな謎解きをしたい
☆爺さんよりも、婆さん派

書籍概要

◆作品名  やまのめの六人
◆著者   原 浩
◆出版社  KADOKAWA

六人の仲間に、人ならざる「アレ」が潜んでいる――戦慄のホラーミステリ!

嵐の夜、「ある仕事」を終えた男たちを乗せて一台の乗用車が疾走していた。峠に差し掛かった時、土砂崩れに巻き込まれて車は横転。仲間の一人は命を落とし、なんとか生還した五人は、雨をしのごうと付近の屋敷に逃げ込む。しかしそこは不気味な老婆が支配する恐ろしい館だった。拘束された五人は館からの脱出を試みるが、いつのまにか仲間の中に「化け物」が紛れ込んでいるとわかり……。
怪異の正体を見抜き、恐怖の館から脱出せよ!横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作家が放つ、新たなる恐怖と謎。

ぶちおの読書感想文

『やまのめの六人』
悪いことをしたら、罰があたるのです。
大昔からこの方程式が覆ったことはありません。
ぶちおが好きな言葉【天網恢々】
誰かに見つからない、バレないと思っていても、結局人生のプラマイはちょうどになるようになっているでしょう。
悪党達が、とんでもない土地に足を踏み入れてしまったら…

本作にあって、何となく納得してしまった部分についてちょこっと書きます。
それは、昔の価値観だと、爺さんより婆さんの方が怖い説!

昔は出産率も高かったが医療は未熟な面もあった為、女性が年を取るまで生きることがまれだったと。
妊娠、出産は死のリスクがありますからね。
今の時代ですらリスクがありますもの。

婆さんよりも爺さんはリスクが低めと。
ふむ、何となく想像できます。

その為、婆さんというだけでちょっと怪物的な印象を昔の人は持っていたのではないかと。
長生きした女性もいただろう、と思いつつも元々の平均年齢も今よりかなり短いことをふまえると…
確かに、婆さんという存在に畏怖を覚えるのも、なくはない気がします。

昔話に出てくる婆さん像を想像してみましょう。
いい婆さんもいるけど悪い婆さんもいる。
悪い爺さんもいるけど、人を襲う爺さんはあんま見たことくないですか?
婆さんは山姥に言い換えると、想像しやすいでしょう!
宿に泊まった村人を襲ってたとか、包丁を研いでもの凄い速さで追いかけてくる婆さん。
婆さんにしか醸し出せないホラー味があるのかもしれません。

山姥の対義で、山爺という言葉があります。
山姥と比較すると、おとなしめとありましたw
やっぱり凶暴性を秘めているのは婆さんということでしょうか。
気になりまくる…

さて、本作では6人組が登場します。
お互いの素性は深く知らないけれど、大きい仕事をやり終えた帰り道。
台風の影響で、山の土砂滑りに巻き込まれてしまいます。
乗っていた車は大破、仲間の1人はすでに事切れていて途方にくれる5人。

通りかかったのは、近くに住む兄弟。
山奥のポツンと一軒家状態の兄弟宅にて、5人は避難することを決めます。
兄弟は母親と3人暮らし。
はい、この母親にちょっくら山姥みが!
会話がちょっとズレているし、囁く言葉はぞわっとするものばかり。

それでも、5人は1人の死体とともにこの兄弟の家で天気の回復を待つしかない…
兄弟と母親が本性を剥き出しにして襲いかかってくるまで、秒です。
昔話よろしく、通りがかった獲物をひんむくのが兄弟達のお仕事だもの!
ソニー・ビーンのように、家族ぐるみで人を襲って犯罪を隠蔽しちゃう。

そんなヤバイ家に立ち寄ったが最後ですが、この5人も悪党なので全力で抗います。
もうヤルか、ヤラレルか。
ヤラなければ、こっちの人生が終わる!

悪党同士の戦いの中、知ることになる土地の伝承。
生きている5人は、段々と思い出していきます。
あれ?自分たちの仲間は最初から6人だったか?
6人だとすると、辻褄の合わないことが多い気がする。

車が事故に遭う前、どういう座り順だったか。
5人乗りの車だった、成人が6人は乗れない。
でも死体を含めて、自分たちは6人いる。
ナニが紛れている???

冒頭から、違和感があちこちに散らばっています。
この土地に伝えられている怪異が原因だったのか!?
誰だ、しれっと紛れている怪異は!!

これは推理していきましょう、推理できなくはないでしょう!
頑張れ自分、と鼓舞しながらぶちおもめげずに推理しました。

物語は1人ずつ、視点をバトンタッチしながら読んでいくことになります。
あの時、あの人は何を見てどんなコメントをしていたか。
各キャラの性格も違うし、考えていることも違います。
うやむやにしがちですが、ヒントはしっかりと配置されている安心設計。

考えることをやめてしまったら、婆さんにヤラれます!
生き残る為にも、婆さん相手に手を抜かないことです。

そういえばぶちおのご近所に、とんでもなく口の回る婆さんがいます。
腰も曲がって、機敏に動けない、でもマシンガントークで相手を論破してこようとします。
要注意な婆さんですw
そんな婆さんには、ぶちおも正攻法で抗うと決心済。
そう、お年寄りだからと目を濁らせてはいけませんよ!
1人の人間として、相対していますもんで。

仲間に紛れ込んでいるのはナニか。
襲いかかる兄弟と母親から逃げる方法はあるのか。
仕事で手にいれた成果はどこへ消えたのか。

次々と窮地に襲われる悪党たちの最後の一夜を。

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まとめ

『やまのめの六人』
メインキャラ達は悪党なので、応援しなくて良いでしょうw
とかく、怪異の特徴を探り出して、無事に逃げられる方法を模索するのみ!
思い返して、どこから罠にはめられていたのか。
あの時のあの視線の意味は、あの発言は。

怖いことに巻き込まれる前に、あの世にいくのが一番よかったのかも…

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