ぶちおの本棚

『十三回忌』あの人の命日が来ると、あの家から新たな不幸が起こる。復讐の鬼の執念。

2024年9月17日

ぶちおです。

今回は『十三回忌』をご紹介します。
もうこの一族は法要とかやめたらいいんじゃないかと言うくらい、○○回忌のたびに猟奇的な事件が起きます。
警察も頑張るけど、未解決。
もちろん解決を担う探偵は登場してくれるのですが…

どの角度から見ても、呪われている一族でしょう。

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こんな人にオススメ

☆エキセントリックなトリックが好き
☆ヤバイ家系図に興味がある
☆爽快感はなくてもいい
☆騙されないという強い意志がある

書籍概要

◆作品名  十三回忌
◆著者   小島正樹
◆出版社  双葉社

資産家夫人の法要ごとに起こる娘殺し。一人は生きながら串刺しに、一人は首を持ち去られ、一人は唇を切り取られた。怪現象に手をこまねく警察を嘲笑うかのように、十三回忌でまたもや事件が起きた――。怒濤の「まさか!?」がクセになる、「やり過ぎミステリ」で人気急騰の著者のデビュー作!

ぶちおの読書感想文

『十三回忌』
冒頭に近辺の地図、登場人物紹介と家系図があります。
推理に必要だと思って、じっくり見ていたのですが家系図に混乱しました。
誰と誰が親子で、夫婦?
この人とこの人は再婚?再々婚??
これからたくさんの他殺体が出てくる一族の家族構成は複雑です。
登場人物紹介の文言と照らし合わせながら、関係性をやっとこ把握できました。

たった2代で県下で最強レベルを誇る資産家の宇都城家。
2代目当主の宇都城恒蔵、最初の妻は律子。
律子との間には2人の息子がいるのですが、一方的に律子と離縁。
恒蔵の弟の妻だったあかりを後妻にします。
あかりには恒蔵の弟との間に、小夜子という娘がいるのですが、恒蔵は小夜子を養子に。
その後、あかりとは死別したので律子とまたよりを戻します。

ここまででもハチャメチャですが、恒蔵には妾の杏子がいます。
杏子との間にも3人の娘がいます。
恒蔵は杏子と3人の娘も、自分が住んでいる邸宅に住まわせていると。

昔の王室か!といいたい状況ですね。
本妻、後妻、妾、それぞれの子どもたちも同じ場所に住んでいます。
目立って妻と妾の対立というものはなかったようですが、それでもメンタルやられるでしょう。

恒蔵の弟が病気で死に、
恒蔵との結婚のあとにあかりが自殺、
恒蔵と律子が再々婚したあとに律子が自殺。
病死は偶然としても、恒蔵の妻達が続けて自殺するというのは…
作為を感じざるをえません…

それから、律子の法要の区切りがくるたびに、新しい死体が出ます。
その死に様も普通ではありません。

高さ3メートルはある木の突端に串刺しにされている。
林の木立に立ったまま縛り付けられて、首が斬られている。
滝に打たれた状態で、唇が切り取られている。

猟奇的でもあり、人間離れした所業でもあります。
アリバイ工作にくわえ、それなりの力もないと実行できないでしょう。
どうやってこんな殺し方をしたのか、この殺し方を選んだ理由はなんなのか。
一貫性も見えないけれど、宇都城家を狙った殺人鬼が何人もいるわけがない。
きっと犯人は一人。
十年以上の時間をかけて連続殺人を遂行していく強い動機はなんだろう。

殺害方法だけではなく、謎めいた暗示も。
それぞれの死体の側には、バラがおかれています。
死体の側に植物があったら真っ先に疑うのは花言葉!

花言葉は花の形状によって細かくあるし、何種類もあります。
ぶちおの好きな『オペラ座の怪人』でも、怪人がヒロインに送るのは一輪の赤いバラ。
一輪の赤いバラの意味は、「あなたしかいない」
赤いバラが十二輪の場合だと「付き合ってください」という意味になります。

バラを置いていった人物の真意とは。

ここまで事件が続いて、地元警察もボーっとしてはいません。
警護の強化とともに、やっと事件を解決してくれそうな探偵の登場で、ぶちおも一安心です。
物語の前半は、犯人の独白もありつつ、ただただ無残な事件が続くのでしょんぼりしてたもの!
もしかしたら一族全員が死ぬエンドもあるかと思ってしまいました。

殺人事件の異様さだけではなく、一族にまとわりつく奇妙な話も知ることになります。
事件が起きたことで、おかしな儀式が誕生したり。
初代当主もある事情によって、変わった建物にこもっていた過去があったり。
お金と権力があっても、普通の幸せをゲットできないという。
他の人を踏み台にしてきた罰なのかな。

犯人は一族の中にいるのか、
それとも、使用人の中にいるのか。
ぶちおは懸命に働く警察メンバーも疑いましたよ。
こんなに事件が起こってるのに解決できないって、それはもう内部犯説ありえるでしょう!
登場人物紹介にも複数名の警察メンバーの名前あるし!!

どんでん返しは、しっかり喰らいました。
犯人は絞り込めていて、この人怪しいなぁ~という勘はあたっていました。
が!
かなり初期の段階でミスリードされていました。
読了後、犯人の独白部分をメインに読み返しましたとも。
そうしたら、しっかりとした罠がw
作者が意図した、間違った方向に突き進んでいました。

いや、そうだな~
もやっとはあったけど、でも、こういう表現って普通にあるし。
くぅ~

あと、一族ものにありがちな、勝手な行動をして捜査を混乱させる奴の存在よ!
ただでさえヤバイ事件が連続しているのに、変なスパイスを振りかけていくだけとかw
犯人じゃないなら、大人しくしていてくれと心の中で叫びました。
と言いつつ、謎が複雑化するのもウェルカムなぶちお。

ラストまで読んで、この一族はどうなるんだろうと。
長い時間をかけて捜査を継続していた警察も、この結末は万々歳ではないだろうなぁ。

欲と業がこねくり回されると、悲劇しかない。

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まとめ

『十三回忌』
犯人は運がよかったと思います。
たまたま運がよかったからトリックがきちんと成立して、結果として事件は迷宮入りに。
犯人の執念とか機転もあったけれど、やっぱり強運だったんだなぁ。
正攻法の捜査ではなかなか解決できないのも仕方がないです。

だけど、何人も殺害した犯人には相応の結末が用意されています。
最後の最後にこうなってしまうというのは、因果応報としか思えなかったです。

一族の未来に光は差すのかな。

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