ぶちおです。
おすすめ小説のご紹介です!
今回は『アリアドネの声』
そういうどんでん返しかぁ~と思い、ラスト数ページで泣いちゃったもの…
ぶちおの汚れた探偵脳が何の役にも立たなかった、というか薄汚れた濁った視点で読んだからこそ泣かされたのかも。
ヒリヒリした救助現場、つきまとうトラウマ、頭を悩ませる問題が次々に。
人間がもつ力に驚きます。
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こんな人にオススメ
☆最近、世俗の泥にまみれている気がする
☆人を疑いたい
☆葛藤する人間模様を堪能したい
☆特殊環境ミステリが好き
書籍概要
◆作品名 アリアドネの声
◆著者 井上真偽
◆出版社 幻冬舎
巨大地震発生。地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。
Amazon『アリアドネの声』作品内容より
光も音も届かない絶対的迷宮。
生還不能まで6時間。
想像の限界を超えるどんでん返し。
救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。
崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。
ぶちおの読書感想文
『アリアドネの声』
特殊な場所、特殊な状況、特殊な人物。
ここまで特殊が揃ったミステリでどんでん返しと言われたら、もう全部の設定を疑います。
ぶちおは謎の真相をズバリ当てたいという気持ちで常に小説を読んでいます!
今回も全力で仮説をたてるも、迷宮に取り残されました。
最後の最後まで謎解けずw
ぐは。
主人公のハルオはドローン製作会社で働いて、ドローンの操縦技術も上手い。講師を務められるくらいの腕前です。
子どもの頃に水難事故で兄を亡くしてから、災害救助に使えるドローン技術をいかしていこうと。
口癖は『無理だと思ったらそこが限界なんだ』
無理だと思わなければ、限界なんてないんだという熱き思い。
兄の意志を継いでいます。
ある日、ユニバーサルデザインを活用した「WANOKUNI」という都市のイベントに参加中、大地震が起こります。
大地震の影響で多数の被害は出ていましたが、イベントに人が集まっていたことが幸いしてほとんどの人の避難は完了。
しかし、1人の女性が地下5階に取り残されていると連絡が…
取り残されているのは中川博美、目が見えず耳が聞こえず話すことが出来ません。
令和のヘレンケラーと紹介される博美ですが、性格は明るく、自分は『三重苦』と感じていないと言う人柄。
指点字というものを初めて知りました。
指を点字用タイプライターに見立てて、パタパタと指をたたいて会話します。
会話は耳が聞こえないとできない、手話は手の形が見えないとできない、触覚でわかる指点字の存在大事ですね。
見えない、聞こえない、話せない状態の博美を救うのがハルオのミッションです。
人が救助に行くことは不可能な地下5階、ひとまず地下3階にあるシェルターまで誘導できれば!
最新のドローンを使って博美の誘導を進めたいのですが、地下5階からは浸水がはじまり、地下1階からは火災が迫ります。
制限時間は6時間、緊迫が思考を鈍らせていきます。
救助を進めていく中、博美を発見。
ドローンに詰んでいた救援物資を装備させて、ドローンに繫いだワイヤーを博美に握らせて、
崩壊を続ける「WANOKUNI」内部を進んでいきます。
ドローン特有の弱点との戦いもあります。
風に煽られたり、電波妨害を受けたらコントロールを失ってしまったり、とにかくひやひやしっぱなし。
指先の繊細な動きに博美の命がかかっているわけです。
ただ…
だんだんと…
なんというか…
博美が不可解な動きをしていることを、ドローンのカメラを通して感じていくハルオ達救助チーム。
電灯のスイッチをわざわざいれた?
救助隊からの指示よりも前に、危険を察知して回避している?
もしかしたら、目が見えるのではないか。耳も聞こえているのではないか。
三重の障がいは、偽りなのではないか?!
ミステリにおいて、何か特徴的な設定がある人物は真っ先に疑うのがセオリーです。
ヤケドを理由に顔を隠していたら、それは入れ替わりの合図。
やたらと太っている場合は、贅肉に見せかけて何かを隠している予感。
そういうトリックに触れてきたぶちおは、博美にロックオンです!
絶対にボロを出すはずだ、この緊急事態で虚飾の障がいなんて見破れるはずだぁぁ!!
浅ましいぶちおの推理は砕かれます。
というか、これくらいで想定できることが答えなわけがないw
ぶちおの推理通りだった場合は、帯にでかでかと『どんでん返し』なんて書かれる訳がないです。
今回もやられました。
そして最後の光景には、ただただ涙…
謎推理をして鼻息ふんふんしていたぶちおは、散りました。
アリアドネと言えば、ギリシャ神話のミノタウロスのお話が有名です。
アリアドネから渡された糸のおかげで、迷宮から出られるというお話。
細くて心許ない可能性でも、繋がることで困難から脱出することが出来る。
ハルオが捉えた可能性。
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こんな作品もおすすめ
『アリアドネの声』を読んで、迷宮や極限系の作品から選書してみました。
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『迷路館の殺人』
奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。
招かれた4人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった!
地下で迷路、これはもう脱出不可能でしょうとも。
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『金田一耕助ファイル8 迷路荘の惨劇』
豪邸名琅荘。
屋敷内の至る所に『どんでん返し』や『ぬけ穴』が仕掛けられ、その秘密設計から、別名迷路荘と呼ばれていた――。
秘密設計の四文字に、心躍るミステリファンは多いかと。
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『蒼海館の殺人 〈館四重奏〉』
刻々とせまる洪水、増える死体、過去に囚われたままの名探偵、それでも――夜は明ける。
新鋭の最高到達地点はここに、精美にして極上の本格ミステリ。
館の上階に避難しないと、どんどん水が迫ってくる!どうやって生存するのか。
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『方舟』
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。
ーー犯人以外の全員が、そう思った。
地下に取り残された9人。扉は塞がれて浸水も始まってしまう。
極限だからこそ、人間の本性が剥き出しもろだし。
まとめ
『アリアドネの声』
無理なことなんて、この世にはたくさんある。
だけど、何をもって無理だと判断するのか。
ドローンを操作する指に、人の命がかかっているのに無理だと諦めることは出来ない。
〝無限〟を見た気がします。
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