ぶちおです。
今回は『録音された誘拐』をご紹介しようと思います。
もうね、誘拐なんて到底成功しない犯罪なのです。
あれもこれも科学捜査で追えちゃう時代だもの。
それでもやるってんなら、勝算があってのことでしょう！
どんな完全犯罪に昇華したというのでしょうか。
耳が良い彼女は、何を聞き取るのか。
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こんな人にオススメ
☆聴力に自信がある
☆推理力に自信がある
☆どんでん返しは何回もくらいたい
☆いかれ気味の犯罪者、ばっちこい
書籍概要
◆作品名 録音された誘拐
◆著者 阿津川 辰海
◆出版社 光文社
彼女は誰より耳が良い。すべての音が手掛かりになる――大野探偵事務所の所長・大野糺が誘拐された!? 耳が良いのがとりえの助手・山口美々香は様々な手掛かりから、微妙な違和感を聞き逃さず真実に迫るが、その裏には15年前のある事件の影があった。誘拐犯VS.探偵たちの息詰まる攻防、二転三転する真相の行方は……。新世代本格ミステリーの旗手が描く、二度読み必至の令和の誘拐劇。この真相は、たぶん、あなたには聞こえない。
ぶちおの読書感想文
『録音された誘拐』
ぶちおは毎度、作品についての前情報をあまり入れないで購入する派です。
書誌にあるあらすじを読むくらい、それか作家買いか、賞を穫っているか、表紙の雰囲気が好きなら買っちゃう。
紙本時代も、巻末にある解説やあとがきを読まない派でした。
それがあだとなる日が来ましたｗ
あとがきで知ることになりました。
『録音された誘拐』に登場する大野と美々香は、過去作『透明人間は密室に潜む』収録されている『盗聴された殺人』の続編だと！
ネタバレもなく、『録音された誘拐』から読んでも楽しめるという仕様に感謝しかない！！
そして本作を読む前から『透明人間は密室に潜む』はすでに本棚にありました。
こっちから読めば良かったか…
いや、でもテンションとかノリで読む順は決めているし、まぁいいか！
読了しても、何も問題は感じなかったもの。
遡って読んだって、いいものでしょう。
大野探偵事務所の所長である大野糺が誘拐されます。
はい、まさかの成人男性が誘拐されるという衝撃スタート。
誘拐って、子どもがされる犯罪なのでは？
大の男を誘拐するって、骨折れるだけでしょう。
大野が複数名に囲まれてわさわさ運ばれていく姿を街の人達が目撃しています。
いや、大胆過ぎる犯行やな！
荒っぽ！！
そんなんで警察から逃げられるのか？すでに計画破綻していないか？
誘拐事件を捜査する刑事も、首をかしげます。
誘拐は過去の犯罪。
令和の時代に、まず成功しない犯罪だと。
犯人側のリスクも高い犯罪です。
今なら多額の金銭授受も電子上で出来るし、身代金をカバンに入れてえっちらおっちら運ぶスタイルって…
紙とはいえ1000万で重さは約1kgになるし、何よりかさばります。
お札の番号を控えられたら、使った瞬間にバレちゃうし。
人質というのも、実に面倒くさいシステム。
動けないようにした人間を運んだり、お世話するのって大変じゃよ。
暴れたり叫ばれたりしたら人目につくし。
それなら他人に知られたくない情報とかを人質にした方がはるかにお手軽。
でも、犯人は大野を誘拐して、家族に身代金を要求して、お金の受け渡し場所まで指定すると。
ある種、律儀に古い誘拐スタイルを徹底します。
誘拐に動揺しながらも、大野家の面々からかもされる気配から、何かを隠していることに勘付く刑事。
15年前、大野家の隣家の子どもが誘拐されたことがある。
子どもは事件の最中、病死。
犯人達も事故で死亡。
子どもが帰ってこなかった隣家の妻は自殺。
たった一人残された夫は、今もひっそりと暗い家で暮らしている。
この誘拐事件も無関係とは思えない。
けれど、ミッシングリングが分からない～！くぅ。
大野探偵事務所所員の美々香は、大野家に居合わせて大野が誘拐された事実を知ります。
美々香の特徴は、耳がいいこと。
その耳の良さで解決してきた依頼もあります。
この誘拐事件も、美々香にしか聞こえない音から真実を見つけ出すことが出来るかもしれない！
所長である大野が被害者なので、体調もメンタルもやられてるっぽいけど頑張って欲しい！！
奔放な雰囲気をまとって、犯罪を楽しんでいるような男カミムラ。
拘束している大野と、会話を楽しんでいるのですが本当の目的は何か。
頭脳犯っぽさはあるけど、やっていることは大胆な令和の誘拐だものなぁ～
ちぐはぐに感じちゃうけど、そういう風に見せているだけなのか。
被害を受けながら、頭を回転させ続ける大野もカッコイイぞ！
何とかして自分の居場所を外部に伝えるのが大事だけど、カミムラに勘付かれないようにするにはどうするか。
探偵サイド、刑事サイド、そして大野家サイドの視点をどんどん渡って物語は進んでいきます。
一方その頃犯人は。
犯人がこうしている時、刑事は気付く。
刑事が気付いた頃、所員は家族の秘密の手がかりを掴む。
気になる気になる、どうなるどうなるの連続！
カミムラは持論で、名探偵よりも犯罪を作り出す側に憧れると語ります。
名探偵を引き立てるのも、良きライバルあってこそ。
そこは同意しちゃう、ヴィランの方が気になっちゃう説は納得だもの。
カミムラが描いている事件の青写真がどんなものなのか、ぶちおの想像力では及ばなかったぁ。
誰よりも耳がいい。
謎が解けるたびに、おうふ…言われてみればそうだったじゃん！読んでてするっと通り過ぎちゃったけど違和感ちょっとあったじゃん！と。
今作も気持ち良く騙されました。
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『録音された誘拐』を読んで、良き探偵のライバルが登場する作品を選書してみました。
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まとめ
『録音された誘拐』
耳がいい探偵。
ちなみにぶちおも聴力は優れていると、耳鼻科の先生に言われました。
視力でいうと2.0以上と。
でもモスキート音は聞こえない、加齢の波には逆らえない！
自分の年齢を受け入れつつも、美々香が辿っていく推理ロジックからは目が離せません。
どうしてそんな結論になった？
どんな音を聞いていたら、そんな筋道を辿れるのか？
この誘拐の結末は。
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