ぶちおです。
おすすめ小説のご紹介です!
今回は『罪人よやすらかに眠れ』
表紙の青年にふらふらとつられてゲットしました。新しい作品に出会うのは、表紙の印象に頼るのに限ります。
豪華な館の家人達は、みんないい人なんだけど、謎も多い。
北海道にあるこの館に招かれたなら、善人も悪人も腹をくくるしかありません。
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こんな人にオススメ
☆会話をぶったぎる推理劇を見たい
☆巻き込まれる人間の葛藤を堪能したい
☆短編を楽しみたい
☆自分で結末を補完したい
書籍概要
◆作品名 罪人よやすらかに眠れ
◆著者 石持 浅海
◆出版社 KADOKAWA
札幌市にある古びた屋敷。そこに辿り着けるのは、ある条件を満たした者だけ。さまざまな理由で屋敷を訪れた人々は、謎多き住人たちに罪を暴かれてゆくことに。ロジックの名手が紡ぐ、極上“館”ミステリ!
Amazon『罪人よやすらかに眠れ』作品内容より
※本書は、二〇一五年十一月に小社より刊行された単行本に加筆修正し、文庫化したものです。
ぶちおの読書感想文
『罪人よやすらかに眠れ』
前回ご紹介した『コープス・ハント』同様、ジャケ買い作品です。
表紙の雰囲気にひかれて、ふらふらとポチぃ。
表紙を詳しく見ていくと、背後には大きな館があります。物語の舞台となる中島家の館です。
館の前には5人のシルエットが。
右から館の主人、妻、娘、メイド、執事となっています。
手前に目立つすらっとした男性が。
彼が本作の探偵役、北良です。
物語は7つの短編で構成されています。
いずれも独立したお話で、この館の日誌のような感じです。
こうも見知らぬ人が続々来訪するってw
中島家が住む館は、業を抱えた者が迷い込むという不思議な力があります。
ある者は館の近くで友人の介抱をしていたり、ある者はたまたま館の前の道で転んでしまったり、
どれも偶然に思えるのですが、必然。
館の家人はそんな困っている人間を温かく迎え入れます。
困っているでしょう、うちで休んでいってくれていいわよ~
家に入れば手厚いもてなしまでしてくれて、ビーアワゲスト状態。
この館に来る人は、すべてを受け入れようという風にも見えます。
そう、館に入るというイベントが起きた時点で、
北良によって、胸に抱えた問題を見抜かれてしまうというイベントも強制発動します。
北良は客人の様子や発言をほんの少し観察しただけで、爆弾発言をして周囲を混乱させます。
招かれた客が一息ついたと思ったら、衝撃発言をぶっこんで場の時を止める。
名探偵あるあるの、空気クラッシャーと言えます。
凡人とは視点が違いすぎて、凡人は置いてきぼりにされるあれです。
どうしてその結論になったのか、ちゃんと説明してくれないと!と言われて、北良の推理タイムが開始となります。
みんなで談笑→北良からのぶっこみ→家人がたしなめるけど結局推理披露→客人真っ青というのがお決まりの流れです。
しっかりしたテンプレがあると展開がだるみがちですが、どの話も予想外な客人の秘密に驚きます。
2話目からはどういう推理をすればいいのか掴んだつもりで、1つも当てられなかったし…
所詮、ぶちおも凡人…
特にお気に入りだった2話を簡単にご紹介します。
・はじめての一人旅
北海道の親戚宅まで一人でやってきた少女。道に迷って途方にくれていると館の家人に招待されます。
お腹も空いていてケーキまで出してくれて、ほっと一息。
道に迷ってしまった少女の話を聞いて、北良は真実に気付く。
少女にも容赦なく切り込む北良!悪気はもちろんないです。
・待ち人来たらず
デートの約束をしたけど一向に相手があらわれない。連絡も取れない。
約束の場所で待っていると、知った顔の少年を抱えて歩いていく館の家人が。
家人とともに館まで付き添い、少年を介抱することに。
そこでまたしても、北良の推理が炸裂します。
どうして恋人は現われないのか、少年が何をしてしまったのか。
淡々と空気クラッシャーする北良がツボってきます。
誰もお願いしていないのに、勝手に客人の痛いところをドンドン叩くんですもの。
秘密を言い当てられてしまうと、人はただただフリーズしてしまうのかもしれません。
どの物語も結末は読み手に委ねられている部分が大きいです。
ハッピーなのか、バッドなのか、書かれていない部分を想像して補完するのもよきです。
そもそもこの館の存在理由は何なのか。
家人達と北良の繋がりもハッキリとした解説もない…むむ、考察すべき要素は多い。
客人達の末路を想像してみましょう!!
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石持 浅海作品
『罪人よやすらかに眠れ』の作者、石持 浅海先生の作品から選書してみました。
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『風神館の殺人』
外部との連絡が遮断された館で、皆が疑心暗鬼にかられる中、さらに仲間が殺されて……。
はい、ミステリ好きは飛びついちゃうのが館での事件です。
小説の世界では、事件が起きそうな館はどんどん建築してほしい!
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『扉は閉ざされたまま』
参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった……
同窓会で事件を起こす何て大胆!しかし見破られない算段あってのこと。
どうすれば逃げ切れるか。
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『二千回の殺人』
過去最大の密室で起こった、史上最強の殺人劇。
復讐のための無差別殺人なんて、許される訳ないのですが。
この世の地獄を見て、彼女は何を思う。
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『鎮憎師』
赤垣真穂は、叔父から「鎮憎師」なる人物を紹介される。事件を上手に終わらせてくれる人だという――
名探偵でもなく、名刑事でもなく、事件を終わらせる謎の人物。
しかも、上手に終わらせてくれるっていうのは一体全体…
まとめ
『罪人よやすらかに眠れ』
やすらかに罪を受け入れた者はいたか?
後悔、悲哀、困惑、絶望、やはり業を抱えている人間は無条件に奈落に落ちていってしまうのかもしれません。
それも、初対面の美貌の青年による暴露によって。
見知らぬ館の家人の、優しい提案には乗らない方がいいかもしれません。
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