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ぶちおの本棚

『ぼっけえ、きょうてえ』遊郭で、寒村で語られる物語。裏には、隠しておきたい秘密が…

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ぶちおです。

今回は『ぼっけえ、きょうてえ』をご紹介しようと思います。
前回ご紹介した『庵堂三兄弟の聖職』と同じく、日本ホラー小説大賞受賞作品です。
何読もうかな~としていると、レコメンドで何度も見かけて…読みました!
紙の単行本は1999年発行ということで、もう20年以上も前の作品です。

岡山弁のタイトルにそそられる!

※『庵堂三兄弟の聖職』の記事はこちら

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こんな人にオススメ

☆こわい話が好き
☆幽霊より人間のがこわいよね
☆明治時代の貧しい日本感が好き
☆古い言い回しや、方言が好き

書籍概要

◆作品名  ぼっけえ、きょうてえ
◆著者   岩井 志麻子
◆出版社  KADOKAWA

「教えたら旦那さんほんまに寝られんよになる。……この先ずっとな」時は明治、岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた……。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。

Amazon『ぼっけえ、きょうてえ』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『ぼっけえ、きょうてえ』
まずはタイトルの意味ですが、岡山地方の方言で【とても、こわい】という意味だそうです。
こちらの作品には、4つのこわい物語が収録されています。

【ぼっけえ、きょうてえ】
遊郭の部屋で、女郎が客の男に聞かせるこわい話。
美人ではないけど、客より先に寝ないことが自慢の女郎。
遊郭にきた経緯から、幼い時の思い出、そして遊郭で最近死んだ女郎の話と語られていきます。
全編、語りかける女郎の口調で書かれているので、自分が作中の客の男になったような気持ちになります。

【密告函】
コレラが猛威をふるいはじめた村役場に務める男が主人公です。
疫病への誤解も多かった時代、コレラ患者を隠そうとする家族も多くいました。
村役場は密告函を設けて、コレラ患者のあぶり出しに乗り出します。
投書に多く書かれたのは、怪しい祈祷師の娘の名前で…

【あまぞわい】
海と、離れた町に継がれる怪談は同じようでいて、ちょっと違う物語。
死んだ女は、男を想って泣くのだろうか。男が憎くて泣くのだろうか。
小さい漁村を舞台に、男女の愛憎がおそろしい事件に発展します。
引き潮の時にだけ現われる、暗い洞窟に巣くう魔物とは。

【依って件のごとし】
田んぼの中で、首を切って死んだ女。
その女が残した兄妹は、村中からのけ者扱いにされながらもつつましく暮らしていた。
妹には昔から竈の近くに、恐ろしいバケモノが見える。
兄は出征し、妹は預けられた家で殺人事件を目撃する。

ざっくり4話をご紹介しました。
4話とも明治時代が舞台で、貧しい日本の背景が描かれています。
法律とか、コンプラとか、まだまだ根付いていない時代です。
今の時代からだと、想像もできないけれど本当にあったであろう話です。

堕胎は病院じゃなくて、ちょっと知識のある堕胎請負人みたいな人がやるとか。
堕ろした子どもはそのまま川に流すとか。
村ぐるみでハブる村八分ももちろんあります。

本作の主人公たちは、過酷な状況に置かれた人たちばかりです。
お金もなく女郎に売り飛ばされたもの、
感染症患者を探り出し、村人に憎まれるもの、
街から嫁いだが、漁村のルールになじめずDVをうけるもの、
父親が誰かわからず、狂った母親からうまれたもの。

闇に怯える時代です。
灯もない家の中で、闇がじっとりと蠢いて襲いかかってくるような恐怖。

どの作品にも共通して、男女の愛憎があります。
情といいますか、艶っぽいだけではない、情。
【ぼっけえ、きょうてえ】では、おおっぴらに食べることとオカイチョウくらいしか楽しみがないと。
現代のような娯楽も少なく、貧しい村ではやることといったら、そりゃあそうだなと納得してしまいました。
人生ゲームでも農民は子だくさんになる傾向がありました。

でも生まれてくる子どもを養えないと分かっているから堕胎の依頼は絶えない。
でも堕胎請負人のことは忌み嫌うわけです。

もし生まれたとしても女なら売る、男じゃないと意味がない。
このあたりの出生事情も、こわい話の下敷きにあります。
当時の生活の一部にふれて、勉強にもなっちゃいました!

岡山地方の方言にふれながら、きょうてえ話をご堪能あれ!

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『ぼっけえ、きょうてえ』を読んで、昔の日本ってきょうてえな~と。
今回は当時の風俗を垣間見られる作品を選書してみました。

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明治後期、瀬戸内海の伊之島が舞台。まさかの『ぼっけえ、きょうてえ』とかなり近い時代と背景です。
やっぱりこういった風習はあったんだなぁ~と感じます。

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『まんがグリム童話 吉原地獄哀史』
遊郭を舞台にした、こわい話が収録されています。
男女の愛憎もあれば、女同士の愛憎も渦巻くのが地獄です。

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『売春島~死ぬまで犯す地獄島~』
この世には地獄があるのです。自分たちの目にはなかなか触れないだけで…
地獄の中でも生き抜こうとする女性の物語です。

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『人食い鬼婆』
全国に残る鬼婆伝説!こんなに残ってるんだから、本当にたくさん存在していたのではないでしょうか。
年老いた女が生き抜く術として、一番多かったのやもしれない!

まとめ

『ぼっけえ、きょうてえ』
明治時代を舞台にした、怪談のようなお話4編です。
普通の怪談なら、幽霊が出てきてこわいだけですが。
この作品に出てくるのは、幽霊とはちょっと違うこわさです。

赤ん坊を簡単に殺せてしまえる時代、
村ぐるみで噂をたてて、仲間外れにしてしまえる時代、
お金のかわりに、人間を簡単に売り買いできる時代。
よっぽどこわい時代じゃないでしょうか。

得体の知れない幽霊より、得体が知れてる人間の業の方がきょうてえのかもしれません。

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