ぶちおの本棚

『瑕疵借り』心理的瑕疵を軽減するお仕事。わだかまっている謎をいつの間にか消してしまう不思議な男。

ぶちおです。

今回は『瑕疵借り』をご紹介しようと思います。
事故物件というワードも定着しつつある昨今。
毎日どこかで人は亡くなっていますが、住居で亡くなった場合はいわく付きと言われてしまうことも。
とりわけ大事なのは亡くなった理由であったり、動機であったり。
その理由によってはその人が亡くなった住居には住みたくないという気持ちが起こるのも当然。

不動産屋や貸主にしたら、瑕疵がある物件をそのままにするのは死活問題。
そこで頼りにしているのが、瑕疵借りをしてくれる人物。

瑕疵借り (講談社文庫)

新品価格
¥726から
(2025/10/5 18:54時点)

こんな人にオススメ

☆人間ドラマにじ~んとしたい
☆不動産にまつわる不思議が気になる
☆口数の少ない瑕疵借り人の実態が気になる
☆人間って大事なのは縁やで

書籍概要

◆作品名 瑕疵借り
◆著者  松岡圭祐
◆出版社 講談社

どの物件にでも起こりうる事件。感動の“賃貸ミステリ”。思わず涙する極上短編集。訳あり物件に住み込む藤崎は不動産業者やオーナーたちの最後の頼みの綱。原発関連死、賃借人失踪、謎の自殺、家族の不審死……どうすれば瑕疵を洗い流せるのか。男は類い稀なる嗅覚で賃借人の人生をあぶり出し、瑕疵の原因を突き止める。誰にでも明日起こりうるドラマに思わず涙する“賃貸ミステリ”。

ぶちおの読書感想文

『瑕疵借り』
作者は『探偵の探偵』『万能鑑定士Q』など人気作をヒットさせ続けている松岡圭祐先生です。
書誌の説明文に賃貸ミステリとあったので、どんな謎解きが巻き起こるのかと勝手にミステリを欲しまくっていましたが、ヒューマンドラマに重きを感じました。
ちゃんと読んだら思わず涙って書いてあったじゃない!

人ってこういういじらしいところあるよね、と思ったら涙ポロリ案件です。
気を抜いていると真相がわかった時に、グッときちゃう。

4つの物件で起きた事故や事件について収録されています。

どの物件も瑕疵あり物件となってしまうのですが、部屋の清掃が終わったらすぐに借り手がつきます。
瑕疵あり物件を気にせず、すぐに住んでしまうのは藤崎という男。
どうやら定職にはついておらず、瑕疵ありの物件に住むということで収入を得ている模様。
最後までパーソナルな部分の多くがわからないままw
一番のミステリは藤崎自身じゃなかろうか!

遺族や関係者たちは藤崎の行動が信じられず、藤崎の部屋を訪問することになります。
そして亡くなった本人も語らなかったことについて、藤崎との会話からある事実に気付いていく。
段々と藤崎のスタイルに引き込まれておりました。

・土曜日のアパート
一番泣いてしまうポイント多めでした。
苦学生のコンビ二バイトの女の子と、親切にしてくれる男性客との交流。
コンビ二店長の最悪な行為によって、男性客はコンビ二に来なくなってしまう。
彼が住んでいたアパートを訪れると、もうその男性客は亡くなっており藤崎が住んでいる。
バイトとお客の関係だから踏み込まなくてもいいっちゃいいのに、切なかった~

・保証人のスネップ
代行サイトでちょっとした小遣い稼ぎのつもりで、見ず知らずの女性の保証人になった無職の男性。
親のすねをかじりながら、仕事もしないで家にこもる毎日。
ある日、その女性と連絡がつかなくなったからと、保証人である男性に家賃の督促が。
知らない人の家賃を払うことに怒りつつ、その女性がどうなったのか気になってきて。
女性を知る大家から、不可解な彼女の行動が判明していく。

・百尺竿頭にあり
このお話もやるせなさポイント多めでした!
家を出て1人暮らしをしている長男が部屋で自死していた。
連絡を受けた父親は、どうしてこうなってしまったのか自問自答を繰り返す。
いつから家族はバラバラになってしまったのか。
息子の残した遺書には、少し気になる文面もあった。
思い出の中に、その答えはあった。

・転機のテンキー
親子のぎくしゃく時期を経験した人は、わかるなぁの嵐。
ぶちおも中学の進路とかは親とバチったものなぁ。
自分の身の丈もわからないけど、若いから何でも出来るというパッションのみで子どもは進路を決めがち。
親は世の中甘くないことをわかっているから、とにかく堅実を押しつけがち。
後々になって親のいう通りだなと思うこともありますが、当時の若さはもう勢いだすべてだから!
親の心子知らず。

ポロっとしちゃいたい時に、ぜひ。

瑕疵借り (講談社文庫)

新品価格
¥726から
(2025/10/5 18:54時点)

~ぶちおのYouTubeはこちら
~ぶちおのグッズはこちら
📚ぶちおの本棚記事一覧はこちら
🐥鳥記事一覧はこちら
🌞日常記事一覧はこちら
✨劇団四季一覧はこちら

-ぶちおの本棚
-