ぶちおです。
今回は『残酷美術史 ──西洋世界の裏面をよみとく』をご紹介しようと思います。
綺麗な絵画では、なかなか興味がわかない。
絵画に隠された闇とか、どうしてそんな恐ろしい描写を切り取ったのかとか。
ダーク味を感じる美術史を。
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残酷美術史 ──西洋世界の裏面をよみとく (ちくま学芸文庫) 新品価格 |

こんな人にオススメ
☆ちょっと恐さを感じる絵画に惹かれる
☆絵画にストーリー性を感じたい
☆知らない時代の息吹を浴びたい
☆あまり美術に詳しくはない
書籍概要
◆作品名 残酷美術史 ──西洋世界の裏面をよみとく
◆著者 池上英洋
◆出版社 筑摩書房
西洋には残酷美術の名画が数多くある。なぜこれほど凄惨な場面がくりかえし描かれてきたのか? そこに人間のどんな欲望と残虐性を読みとることができるのか? 神話・聖書の怖いエピソードから、魔女狩り、子殺し、ペスト、拷問、処刑などの歴史上の事件まで、図版200点以上を収録。人間の裏面を抉り出す、衝撃の美術史。
ぶちおの読書感想文
『残酷美術史 ──西洋世界の裏面をよみとく』
怖い絵シリーズが大好物なぶちお。
またもダークな西洋画を欲して、本書に辿り着きました。
やっぱり出会ってしまうんだなぁ~
本作は六章で構成されています。
神話の世界、聖書の裏面、暗黒の中世、拷問と処刑、殺人と戦争、残酷芸術。
見出しからぞわぞわしつつ、どんな絵画が紹介されているのかそわそわ。
絵画はもちろんカラーで掲載されています。
神話や聖書のシーンを切り取った絵画は人間の想像力のたまものっぷりが醍醐味。
そして、そもそも神話や聖書には残酷なシーンもあります。
神様とか悪魔は無慈悲なところあるし、残酷エッセンスがあるからドラマティックにもなる。
うん、悪魔よりも神様はやりたい放題という認識がありますw
人間の残虐性の結晶とも言える拷問や殺人。
罪を暴くために加害する、はもう矛盾している手法だと思いますがそれが当然だった時代。
罪人の口を割らせるために、日夜きつい拷問方法を語り合っていたりしたんかなぁ。
拷問や処刑も、器具にこだわっているものもあるし、手間暇かけてるものもある。
見せしめの要素もあったから、観客ウケとかも考えていた気も。
それが当時の日常の風景…
ぶちおがお気に入りの絵画をいくつか挙げていきます。
気になった方は絵画名で検索をば!
・皮を剥がれたマルシュアス/ホセ・デ・リベーラ
ちょっと調子にのった人間、マルシュアス。
無謀にもアポロンに挑み、当たり前ですがアポロンに負けます。
神と人間なので、それは当然の結末ですが、アポロンはしっかりマルシュアスの全身の皮を剥ぐ罰を与えます。
生きたまま皮剥ぎをされるマルシュアスは悲鳴が聞こえてきそうな表情。
一方のアポロンは表情ひとつ動かさず、淡々とめりっと皮を剥いでいます。
神、非情やで。
・スフィンクスのキス/フランツ・フォン・シュトゥック
エジプトといえば、スフィンクス。
旅人に謎を出して、答えられなかった場合は旅人殺すという怪物です。
あ、スフィンクスは女性の姿をとるのか。
この絵では男性に熱烈なキスをしているスフィンクス。
ラブラブなんか、と思ってはダメです。
この後、男性をぶん殴って谷へ落とし殺すらしいので…
・地獄/ジョヴァンニ・ダ・モデナ
中央に不気味な悪魔がどん!
地獄に落ちた罪人を食べています。そして食べられた罪人は排泄されてまた食べられる。
恐ろしすぎる永久機関が完成しています。
この食べられ続ける罰からは逃れられないんだろうなぁ。
もちろん他にも罰を受けている罪人の姿が。
・聖アガタ/フランシスコ・デ・スルバラン
アガタが切り落とされた自分の乳房をお盆に載せている絵です。
一時期流行したおっぱいプリンのよう、でもこれはアガタが拷問された証です。
とんでもない理由で拷問されて殉教したアガタ。
凛とした空気をまとっていて、清らかさはそのまま。
想像だけではなく、実際に遺体を手本として描かれた作品も多いらしい。
だからこその生々しさなのかと納得です。
元になるテーマがありつつも、膨らますのは想像力。
同じシーンでも描き方も違うし、重きを置いているものも違う。
違いを見比べるのも美術の楽しみ方!
ぶちおは切断面とかじっくり見ちゃうもの。
主題に添えられている虫とか蛇とか骸骨とか肉体組織とかも。
電子書籍はズーム機能もあるもんで、細部もじっくりと。
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