ぶちおです。
今回は『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』をご紹介しようと思います。
この泥棒猫が！
馬に蹴られて死んじまえ！
と並ぶ名セリフだと思っています。
実用したことはないですが、ここぞという時には使ってみたい。
いつ来るんだ、その時は…
多種多様な短編に挑みましょう。
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こんな人にオススメ
☆一風変わった事件が好き
☆短編をさくさく読みたい
☆ブラックユーモアを感じたい
☆猫丸先輩シリーズを追っている
書籍概要
◆作品名 豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件
◆著者 倉知 淳
◆出版社 実業之日本社
密室殺人の凶器は
まさかの豆腐!?
前代未聞のユーモア＆本格ミステリ！
村上貴史氏（ミステリ書評家）絶賛！
「ロジックに染められたミステリならではのマジック」
奇想ここに極まれり――
本格ミステリの玉手箱！
戦争末期、帝國陸軍の研究所で、若い兵士が頭から血を流して倒れていた。
屍体の周りの床には、なぜか豆腐の欠片が散らばっていた。
どう見てもこの兵士は豆腐の角に頭をぶつけて死んだようにしか見えないないのだが……
前代未聞の密室殺人の真相は!? ユーモア&本格満載、おなじみ猫丸先輩シリーズ作品も収録のぜいたくなミステリ・バラエティ！
ぶちおの読書感想文
『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』
なんとなく記憶にあった、豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえというフレーズ。
元はなんなのか調べてみたら、落語の言い回しなんだとか。
落語をがっつり聞いたことはないのですが、笑点や演芸番組で聞いていたのかな？
かなりのインパクトがあるフレーズなので、忘れられずｗ
表紙を見た時には、すでに読もうと決意していました。
｢豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ｣の類似表現として「うどんで首吊って死ね」「自分の耳齧って死ね」があるそう。
どちらも出来もしない、ありえない死に方ですね。
考えた人のセンスに脱帽です。
本作には6編のミステリが収録されていますので、さくっと振り返ります。
・変奏曲・ABCの殺人
本当に殺したい人を、無関係な事件の被害者に組み込むことで動機をあいまいにする。
そんな殺人の手法で有名なABC殺人を参考に、主人公は自分の弟を殺すことを決めます。
お金がないから弟が持っている遺産を狙おうというクズ兄。
最近起きている不可解な連続通り魔事件を利用しようと思うのですが…
まぁこんな兄が考えていることがどんな結末を迎えるかは、想像しやすいかとｗ
いいこと思いついた！とテンションがあがった時は、いったん深呼吸しましょう。
・社内偏愛
人事評価をAIが担う時代到来、人によって起こるミスもなく平等な評価が下せると思ったら…
ぶちおは評価スコアも全部画一的な方がいいと思っている派です。
人の評価なんて、結局は感情優位になるから公平ではないと思っているゆえ。
が、この主人公のようなことになるなら、まだまだAI一辺倒で頼るのも危ういなぁと思いました。
上司のお気に入りだから評価が上がる、仕事だけをこなして飲みにいかないと評価が下がる、みたい判断基準は排除すべき。
AIにはそのあたりの忖度はないけれど、マイナスポイントはあります。
人間とAIのいいとこだけをとってプログラミングが出来ても、やっぱり問題は生まれてしまうのか。
今までいた会社でちゃんと評価できているところなんて1社もなかったなぁｗ
・薬味と甘味の殺人現場
奇妙な事件現場、遺体の近くにはケーキが置かれていて、遺体の口にはネギが刺さっていた。
ケーキは被害者の好物、ネギは被害者の嫌いなものだった。
犯人の意図は何なのか、刑事は悩みます。
きっと何か意味があるはず、でもこんな面倒なことをするのは心理としては矛盾している。
人間の心理や行動原理は、まだまだわからないものが多いです。
ほとんどの事件でも、やっぱり知りたいのは動機だもの。
・夜を見る猫
夜中に猫がじっと一点を見つめている。
猫に限らず、動物は人間とは違うものが見えていて一点を見つめている説。
我が家の愛鳥もそうですｗ
通説では幽霊を見ているんだとか言われていますが、主人公は信じません。
キチンとした理由があるはずだと、原因を調査します。
理由を探求する主人公のガッツ。
会話ができない猫の行動から、とんでもない事実に行き着きます。
何がきっかけになるか、わからないなぁ。
・豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件
豆腐の角に頭をぶつけても死なないはず、それなのに死者が出た？
頭部には傷があり、床には崩れた豆腐が落ちている。
こ、これは！！！
ついに起きてしまったか、不可能犯罪！
戦時中、怪しい実験、そしてありえない死因。
軍の厳しい管理下で殺人を起こすなんて、どう考えても得が無さそうですが。
被害者は黙々と実験に参加していて、口数も少なかった。
凶器 豆腐。
死因 豆腐による撲殺。
今だかつてない検視報告書が出来てしまうことでしょう。
絹かな、木綿かな。
・猫丸先輩の出張
ぶちおは初見だった猫丸先輩ですが、過去作からシリーズ化されている先輩らしいです。
巻末の解説に助けられました。
小柄で飄々としていて、そして簡単に謎を解いてしまう猫丸先輩。
外部からの犯行はほぼ不可能な研究施設の敷地内で、研究員が襲われる事件が起きます。
状況を検めていくと、密室ともいえる状態で犯人はどこから逃走したのか。
研究員が襲われた理由が明らかになった時、しっかりめっきり悪意を感じられます。
しょうもない動機で犯罪の被害者になる人の気持ちを考えろや！
表向きはいい人でも、悪人の可能性を捨ててはいけないと肝に銘じましょう。
終始、猫丸先輩が着ぐるみを着ていますが、想像するだけで何か可愛い。
着ぐるみを着用した状態で事件を推理する、なかなかファンシーです。
6編、時代も違う、ミステリーのタイプも違う、
リフレッシュしながら楽しめました。
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まとめ
『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』
ライトめに、頭の奥までぐちゃぐちゃにせず、楽しみました。
不思議なことを、不思議に思いつつ、真相を知る。
不可解なことって、身近には溢れているものなぁ。
自分の身には起こらないとか、おごらないのが大切かもしれん。
もしかしたら豆腐で襲われることもあるかもしれないし。
豆腐は、美味しく食べるもの！
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