ぶちおです。
今回は『幕間のモノローグ』をご紹介しようと思います。
『教場』の作者による驚愕の連作短編ミステリと言われたら、気にならないわけがない!
短編ゆえ、ひっくり返っていく速度も速い。
あっという間に読了しちゃいました。
【彼】の視線から、真実を隠し通すことはほぼ不可能。
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こんな人にオススメ
☆隠し事を暴きたい
☆ミステリアスな俳優が好き
☆役者を取り巻く世界をちょっと覗きたい
☆観察眼を身につけたい
書籍概要
◆作品名 幕間のモノローグ
◆著者 長岡 弘樹
◆出版社 PHP研究所
その“芝居”には、裏がある。巧妙にはりめぐらされた伏線を一行たりとも見逃すな。『教場』の著者が贈る、驚愕の連作短編ミステリ。顔を売りたいはずの「斬られ役」の俳優は、なぜカメラに背を向けて倒れたのか。俳優のマネージャーが「わざと」自動車事故に遭ったのはなぜか――。演劇学校の講師であり、ベテラン俳優でもある南雲草介は、ドラマや映画の撮影現場で起こるさまざまな事件やトラブルを鮮やかに解決していく。だが、演技に潜む「罪」を見抜く南雲にも、ある秘密が隠されていた。役者たちの「業」を描いた著者渾身の傑作ミステリ。
ぶちおの読書感想文
『幕間のモノローグ』
同著者の『教場』はドラマを見ていました。
しっかりドラマを追っていこうと決意したゆえ、小説自体は未読のまま。
退校届けを颯爽と突き付けたいなぁ~
仕事できない奴にも、どんどん退職届を突き付ける役職の人現われないかな。
ハラスメントしたら、即OUTみたいな。
本作はアクターズスクールのやりとりから始まります。
スクールに通っている生徒たちに、何かがある。
演技指導をしていて、俳優としても活躍している南雲草介がズバズバと生徒たちの隠し事を見抜いていきます。
『教場』と近い部分があるのではないでしょうか。
一見すると何でもないことに、実は裏がある!
南雲の眼光からは、誰も逃れられないでしょう。
些細な仕草にも、無意識に感情が出てしまうもの。
嘘をつく時は視線を外しがちになる、発した言葉に関連するものを視線で追ってしまう、ストレスを感じると貧乏ゆすりをしてしまう等など。
ぶちおも書店員時代、万引きしそうなヤバイ人は何となくわかりました。
普通の人と違っていて、やっぱり挙動がね、おかしいんです。
高速移動していたり、キョロキョロしていたり、目が合うと不自然にそらしたり。
これから犯罪するんだという緊張から、隠しきれない隠し味がだだもれになるんだと学びました。
凄腕万引きGメンとか、警察の職質とか、犯罪者を多く見ている人ほどすぐにわかると。
南雲は俳優ですが、俳優にも観察眼が大切です。
演じる人物のバックボーンや、行動パターンを深いところまで考えて表現する。
突き詰めることで、その役柄が生きてくる。
だからこそ、生半可な演技をしていると一発で南雲に見抜かれます。
病人はそんな風に水を飲むだろうか。
ひき逃げをしてしまった犯人は、食事をどんな顔でとるのだろうか。
生徒たちは、経験も乏しくまだまだ南雲の指導が必要。
それでも志半ばで去る者もいる。
成長を促しながら、役を取れるように励ます南雲は良き先生。
意味のない演技プランに変更をする者、役者から脚本家に転身して配役に文句をつける者。
こういう生徒達には、時に容赦のない手を使って指導します。
この時の南雲は、ちょっと何を考えているのか真意が見えにくいのでこわいw
生徒をどうするつもりなのか。
俳優で売れるのは一握り。
どんなに頑張っても評価されないことだってある。
何度もオーディションに落ちる。
映像と舞台だと表現もまた違います。
ドラマなのか映画なのか、特撮ものや時代ものなどジャンルも多種多様。
沢山の役柄に挑戦出来る反面、ルールも多種多様。
ぶちおは四季の舞台に行くので、舞台特有の大変さは映像ものとはまた違うんだろうなぁと。
舞台は生なので、一発勝負!
噛んでも、音を外しても、やり直しはききません。
だからこそ、俳優さんのアドリブ力が大事なこともありました。
『ライオンキング』を観ていた時、ハイエナの歯がポロっと床に落ちてしまいました。
歯を踏んでしまったら怪我の可能性もあります。
床の機構に挟まってしまったらセットが止まってしまう可能性だってある。
すると、ハイエナの役者さんが袖に向かって歯を飛ばしていました。
凄い!何ごともなかったかのように、お芝居は続いている!!
感動しました。
こういう能力も、俳優さんには必要なんだなぁと。
映像ものだと、それぞれのシーンの繋がりを踏まえて役を演じきらないといけません。
フィルムに残るし、適当なことをすればすぐにバレてしまう。
映画とか連続ドラマだと数ヶ月単位で1つの役に打ち込むには精神力が必要ですし。
古畑任三郎役の田村さんは、役作りに4時間かけていたとか。
1時間の映像を作るために、どんだけの労力をかかるのか。
ぶちおは気が短いし、その場の記憶を毎度無くすので向いていないですね、俳優に。
いや、それほどの熱と労力を必要とする仕事だからこそ、南雲は生徒達の隠し事を見抜いてしまうのでしょう。
スタッフを含めてみんなで作り上げる芝居に、不純物は要らないと。
作中では主に生徒視点で南雲と対峙することになります。
南雲に追い詰められるような感覚を、体験しましょう。
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まとめ
『幕間のモノローグ』
芝居を全うするには、生半可な覚悟では出来ない。
南雲に見抜かれたとしても、騙し通す演技が出来ればいい。
何度も別の人生を生きる、それが俳優。
辻褄の合わないことにも、すべて理由がある。
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