ぶちおの本棚

『バベルの古書 Book1《変身》』毒虫の姿から元に戻るために必要な儀式。非情な殺人鬼の暗躍ふたたび。

2024年11月14日

ぶちおです。

今回は『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》』をご紹介しようと思います。
猟奇犯罪となったらもう、これは気になる。
しかも有名なフランツ・カフカの『変身』も事件に関わっている?となればポチり。

誰しももっている変身願望の発露がおかしな方向に…

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こんな人にオススメ

☆連続猟奇殺人がお好み
☆デコボコ刑事コンビがたまらない
☆霊が見えたっていい
☆変身してみたい

書籍概要

◆作品名  バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》
◆著者   阿泉 来堂
◆出版社  KADOKAWA

第40回横溝ミステリ&ホラー大賞読者賞受賞作家の新境地!

札幌市近郊の町、荏原市で発生した女子大生殺人事件。遺体の首と両手は切断されて持ち去られ、現場にはフランツ・カフカの『変身』の一節が残されていた。その猟奇的な手口は5年前に発生した『グレゴール・キラー事件』に酷似しており、ほどなくして更なる被害者も現れる。グレゴール・キラーに相棒を殺された過去を持つ刑事、加地谷と新米刑事の浅羽は、事件の捜査を進めるうち、被害者の霊を目撃したという青年に遭遇する。最初は半信半疑な刑事たちだったが、青年の証言により新たな犠牲者が出たことを知り、逃走した犯人を追う。連続殺人鬼グレゴール・キラーは何故、現場に『変身』の一節を残すのか。被害者の共通点は何なのか。それらの謎を解き明かし、猟奇殺人犯へと迫る加地谷と浅羽が目にする事件の真相とは……。そして、謎の古書が導く物語は、さらなる事件とともに下巻へと続く。猟奇事件×スーパーナチュラルミステリー第一弾!

ぶちおの読書感想文

『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》』
フランツ・カフカの『変身』という作品。
ぶちおは『あさりちゃん』で存在を知った気がします。
タタミが読もうとしていて、あさりがその本の内容を知ってあさりが追体験をしてしまう…みたいな。

まずは『変身』の内容について。
主人公のグレゴールは、朝目覚めると自身の姿が毒虫に変わっています。
途端に家族からの反応は一変、酷い仕打ちを受けてしまうというものです。
あさりちゃんでは毒虫が黒い大きな蜘蛛で表現されていたかな。

起きた瞬間、理由も分からずにまったく別の姿形になっていたら…
その姿が大半の人からは嫌悪の対象になるようなものだったら…
今まで仲良くしてくれていた人も、手のひらを返すかもしれない。
返されたとしても仕方ない部分もあるのではないか。誰しも変貌した人への完璧の対応が出来るわけがないもの。

ぶちおも『変身』自体は未読なので、いつかは読みたい!
『あさりちゃん』で知ってから数十年経っても未読ですが、読みたいという気持ちは褪せていないです。

余談ですが、ぶちおは知識の大部分を『あさりちゃん』で培ってきました。
『千夜一夜物語』とか『番町皿屋敷』とか、ことわざとか四字熟語も漫画から学んだなぁ。
『あさりちゃん』に登場するイケメンは、そこだけ時空が歪んでるのかと思うくらいにイケメンなところが好きですw

さて、本作では『変身』の一節を犯行現場に残していく連続殺人鬼が登場します。
殺害方法は多種多様。
ただし、被害者の口腔内には『変身』の一節が書かれた紙が残されていることが共通しています。
犯人の署名、ですね。
これは私の犯行だぞ!という警察への挑戦、自己顕示の現われです。

警察はこの犯人をグレゴール・キラーと名付けて捜査を進めていきます。
グレゴール・キラーが何をポリシーにして犯行を重ねているのか。
被害者たちの接点もまだ見つからない。
捜査は行き詰まり、グレゴール・キラーの犯行も一旦止まります。
そして5年後、ふたたびキラーの犯行が再会され、事件が動き始めます。

全体、短めの作品なのでぐいぐいあっという間に読了しました。
冒頭に登場人物紹介があるのですが、たったの6人の名前があるのみ。
誰が主人公なのか判断せず!

警察サイド?一般人サイド?
犯人が警察の可能性もあるし、通りすがり風の一般人に潜んでいる可能性だってある!
もちろん書かれていない人物が犯人の可能性だってある。
少ないキャラ数だからこそ、むりくり探りをいれちゃいました。

警察サイドは見た目が熊のような刑事の加持谷メインの視点です。
グレゴール・キラーのことを誰よりも知っていて、その逮捕に全力を向けている加持谷。
加持谷とコンビを組むことになった、新入りチャラめ刑事の浅羽。
この2人のかけあいがありつつ、捜査が進んでいきます。

上層部との意見の対立、はぐれもの扱いの加持谷。
刑事の勘といえるようなものだけでは、組織を動かすことはできないから結果は加持谷ははぶられちゃう。
そんな加持谷の面倒を、浅羽が見ている構図。
頑張れ、警察!
連続殺人鬼は逮捕されるまで犯行をやめないつもりだぞ!!

一般人サイドは、戸倉孝一視点で進みます。
就職を機にお世話になっていた親戚の家から出て、心機一転新生活を始めます。
なんと戸倉には霊が見えるという能力があります。
過去に巻き込まれた事故の時から発発現した霊視能力。
戸倉自身は普通の人なので、その霊視能力にも色々な制限があります。

人と霊の区別がつきにくい。
霊に近づくと、体調不良に陥る。
この能力のせいで、日常生活にも影響が出てしまうこともしばしば。
だからこそ、新しい地で頑張っていこうと思っていたのですが…

出会ってしまいます…
グレゴール・キラーの新たな被害者の霊に…
意味のわからない言葉を羅列して、苦悶する霊の姿。
戸倉は導かれるように向かった場所で、被害者の遺体を発見してしまいます。

捜査に慣れている警察ですら目を背けたくなるような現場。
第一発見者となった戸倉と加持谷は、この事件をきっかけに出会います。
グレゴール・キラーを捕まえるヒントが見つかるのか?!

恐怖症、が重要なパーツとして出てきます。
特定の対象や状況に対して過剰な恐怖感を抱き、生活に支障が出てしまうこともある恐怖症。
恐怖を感じた時の再現になるようなことがあると、体が拒絶反応を示してしまう。

ぶちおも自分に当てはまることがあったかな~と顧みてみましたが、恐怖症をもっていないなと。
嫌なこと、怖いことはあっても、体調に異変は出たことがないような。
メンタル太いんだろうな!
もしくは、そんな恐怖を感じるような状況になる前に、行かないという選択肢を選ぶのが幸いしているのかもしれません。

超インドア。
自分の超安全絶対的テリトリーでのみ生きる。
好奇心は人を殺すと言いますが、ぶちおは好奇心よりもまず保身に走ります。
あくまで、安全を担保されまくっているところにしかいかないw
それはそれで、見える世界が狭くなるので推奨できないですが、
ぶちおが脳天気にいられるのは過去に安全な選択肢を進んできたからなのでしょう。

箱詰めにされたもの、肉食魚にたべられたもの、目を縫われたもの、長い髪の毛に囲まれたもの。
異様なグレゴール・キラーの犯行にも、奴なりの意味がある。
意味がわかれば、次に起こることも予測がつく。

誰がグレゴール・キラーのもとにたどり着けるのか。

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半ば強制的に2人の仕事を手伝うことになった壮吾は様々な事件に巻き込まれ…。

まとめ

『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》』
誰しも心に抱えている恐怖の対象。
原始的に備わっている感情、恐怖。
恐怖を克服できる方法はあるのか、見つけられるのか。

今の自分から、生まれ変わりたいという願望を叶えてくれるのは
グレゴール・キラーなのかもしれない。

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