ぶちおの本棚

『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』あ、みんなヤッてる側ということで。フェアな謎解きに真っ向勝負!

2024年10月7日

ぶちおです。

今回は『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』をご紹介します。
もう、タイトルから惚れました。
人間ね、生きているだけで何かを犠牲にして生きているわけですが。とはいえ禍々しい家族と言えます。

みんな誰かを殺しているけど、殺人鬼はたった1人。

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こんな人にオススメ

☆吹雪の山荘が舞台ってのがいい
☆過去の事件からの因縁を辿りたい
☆やばい家族が好き
☆フェアに、推理を楽しみたい

書籍概要

◆作品名  ぼくの家族はみんな誰かを殺してる
◆著者   ベンジャミン・スティーヴンソン/富永 和子 (翻訳)
◆出版社  ハーパーコリンズ・ジャパン

わが家は全員嘘つきで、人殺しだ。

世界27カ国で刊行!伏線だらけの謎解きミステリー。
すべての真相を、見抜けますか?

雪山で起きた連続殺人。容疑者は一家全員。

ぼくたちカニンガム家は曰くつきの一族だ。35年前に父が警官を殺したあの日以来、世間からは白い目で見られている。そんな家族が3年ぶりに雪山のロッジに集まることになったのだから、何も起こらないはずがない─その予感は当たり、ぼくらがロッジに到着した翌日、見知らぬ男の死体が雪山で発見された。家族9人、それぞれが何かを隠し、怪しい動きを見せるなか、やがて第2の殺人が起こり……。

ぶちおの読書感想文

『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』

ぶちおには珍しく、海外のミステリ作品を読みました。
ランキングか何かで見て、熱量高めの書誌や帯を見たらポチり。

登場人物もわりとコンパクトめの人数で、名前も耳に馴染みやすい人達が多かったのも良きポイントです。
海外作品だと名前が覚えにくいとか、登場人物紹介ページが濃厚すぎたりでいつもは苦戦がちですが
本作は気にならなかったです!
ありがたい。

本作の特徴として、作者からのフェアの徹底ぶりがあります。
とにかくフェアがモットー!
探偵の十戒に基づいて、読者をトリッキーに騙そうとか翻弄する意図はありませんよ~と随所に明示されています。
ちゃんと書かれていることを、ルールに沿って読めば犯人が誰か推理出来るはずよ、というある種の挑戦とも言えます。

どんでん返しを期待しつつも、そんなにフェアだと言うなら受けて立とう!と思えた人は素直です。
ピュアピュアです。
ぶちおは、このフェアだという明示からしてうがちました。
いや、そうは言ってもどこかに何か仕掛けているだろ!と。

しかし、徹底して読者にフェアです。
途中で、ここまでの経過をまとめた章すらあります。
どんだけ読者に優しいねん!
見たことないもの、途中経過の認識あわせをするミステリ小説なんてw
不要な人は読み飛ばしてねとありましたが、それはもうしっかり読みました。
前半までに、書き手と読み手の認識が齟齬っていないことを確認。
うん、まだ致命的な見落としはないはずだな…

フェアポイントはまだまだあります。
冒頭でどのページで人が死ぬか教えてくれますw
フェアすぎるだろう!
ネタバレもすぎるだろう!
推理に集中しろというメッセージだな?!

電子書籍の場合、拡大縮小をするとページずれが起きてしまうので、倍率そのままで指定されたページを読むと作者が嘘をついていないことが分かります。
そこまでされても、
結果、犯人発表にはビビることになったのですが…(全然作者からのヒントを活かしきれない読者のぶちお)

探偵の十戒についてもちらっと聞いたことがありますが、本書で再認識しました。
十戒は冒頭にも掲載されているので親切です。
第5条は現代にふさわしくないということで削除されています。

そうなると第5条が気になってネットで調べました。
そして、うん、確かに今の時代には相応しくないなと!
探偵の十戒が出来たのは約100年前。
当時の時代背景もありますが、こういう認識だったのかぁと。
クリスティの小説も現代にあわせて改訂される時代ですものね~

タイトルにある通り、主人公アーニー・カニンガムの家族はみんな誰かを殺しています。
例外なく。
比喩でもなく。
アーニーの両親、継父とその娘、兄、兄嫁、妻。
読みながら、誰が誰を殺してしまったのかも気になります。

服役していた兄の出所祝いの場として、家族たちは雪山のロッジに集まります。
裁判で兄に不利な証言をしたアーニーは、家族内の立ち位置も微妙…
それでも、絶対参加と言われて雪山に赴きます。

アーニーの父は警官殺しとして有名。
今度は兄が人を殺して服役。
うん、タイトル通りの家族です。

しかし、本当に父も兄も人を殺したのか。
事実と言われていることが本当なのか。

アーニーが兄との再会を果たした翌朝、身元不明の死体が見つかります。
口の中は黒く、灰を吸い込んでいるようだが、現場付近の雪は溶けていない。
ということは火事が原因ではない?
この灰は何なのか。

過去に『ブラックタング』と呼ばれた連続殺人鬼が、兄と再会したこのロッジに現われたのか。
こんなタイミングで??
身元不明の遺体発見から、家族が隠している秘密も分かっていきます。
アーニーの家族がみんな怪しすぎてw
ミッシングリングも存分に楽しめます。

アーニーが使用している下着まで教えてくれたのはなぜか。
アーニーに冷たすぎる母は、警官殺しの夫を今でも無実だと信じているのか。
弁護士の継父は、継子であるアーニーの兄の弁護は請け負うのに、実子の弁護をしない。

お忘れなく!本作はフェアなんです!!
作者が嘘をついていない、と言ったら嘘をついていないのです。

嘘はついていないけど、本当のことを全て話しているのとは違う。
書かれていることの裏側も見る癖をつけないと。
高度な頭脳戦をしようとしすぎて、脳内がパンクしました。
嘘ついてないよと言われると、逆に全て嘘だと思ってしまう汚れたぶちおです。

随所にある海外のノリも、新鮮でした。
日本人が言うと、はぁ?と思ってしまうような描写も気にならない。
というか、本当にこういう言い回しをするんだなぁ~海外はw

真っ正面から、この一家に向き合いましょう!!

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デンマークを震撼させる連続殺人事件。
手首のない死体の側には、
“栗の人形(チェスナットマン)”が残されていた――

まとめ

『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』
ギスギスした家族が、雪が猛威をふるっているロッジに宿泊したら、
そりゃ事件起きちゃうよ!

事件が起きたら、主人公は謎を解くべく頑張らないといけません。
名探偵が職業じゃなかったとしても。

誰がこの事件を起こしたのか。
動機はどこで生まれてしまったのか。

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