ぶちおの本棚

『花束は毒』過去からは何をしても逃げられないのか。誰が仕掛けた罠なのか、見抜けない。

2024年9月11日

ぶちおです。

今回は『花束は毒』
文春のミステリーフェアで出会ったもんで、ぽちり。
脅迫されている知人を助けたいと思っての行動が、知りたくないことまで引きずりだしてしまう。
伝えるべきか、隠し通すべきなのか。

人の過去は、覗かない方がいいのかもしれない…

花束は毒 (文春文庫)

新品価格
¥800から
(2024/8/14 21:36時点)

こんな人にオススメ

☆実直青年とアウトロー女子コンビが好き
☆ヒトコワ系が好物
☆人間の本性を暴きたい
☆読者に委ねられても構わない

書籍概要

◆作品名  花束は毒
◆著者   織守 きょうや
◆出版社  文藝春秋

未来屋小説大賞受賞!
芳樹は憧れのかつての家庭教師・真壁が結婚を前に脅迫されていると知り探偵に調査を依頼するが――。完全に騙される傑作ミステリー。

憧れの家庭教師だった真壁が結婚を前に脅されていることを知り、僕は尻込みする彼にかわり探偵事務所に調査を依頼。そこに現れたのは中学時代にいじめに遭っていた従兄をえげつない方法で救ってくれた先輩の理花だった。調査を進めるにつれ、見えてきた真実。背筋も凍るラスト。気鋭のミステリ作家による、衝撃の傑作長編!

ぶちおの読書感想文

『花束は毒』
学生時代、印象に残っている先輩とかいたかなぁ。
ぶちおは中高にありがちな、先輩後輩文化を継承しない派なのであまり先輩に知り合いがいないです。
それが生意気だと放課後呼び出されても、ぶっちして帰宅しました。

綺麗だなぁ~とか、頭いいなぁ~とか、ファンになりたいぜと思った先輩の記憶も生憎ないです。
部活動もまともに行ってないので、本当にお世話になったと言える先輩もいないw
素敵な先輩という文化に触れておいても、よかったかもしれません。

本作に登場する主人公の1人である芳樹は、中学時代に鮮烈な印象を受けた先輩がいます。
1つ上の北見理花先輩。
理花の叔父が探偵事務所を経営していて、理花も探偵のお手伝いをしていました。
他にも学校内の依頼を受けては解決していた理花ですが、芳樹は理花の解決方法に疑問を持ちます。
もっといい解決方法はなかったのか。

それでも簡単に依頼をこなしていく理花の印象は深く残ります。
数年後、芳樹は知人のために探偵事務所に相談をしにいくのですが、そこで理花と再会することになります。

芳樹は法曹一族のため、ちょっと頭かたいボーイです。
しっかりお天道様が照らす道だけを歩いていくぞ!という真面目さ。

検事の父の影響で、風呂敷を愛用しています。
何かのドラマでも見たなぁ~検事は証拠とかも風呂敷に包むんやでと。
風呂敷は球形とか、形が歪なものでも綺麗にまとめることができるらしいです。
日本の知恵やん!と感動するのですが、いかんせん風呂敷マスターにはなれていません。
まずはお気に入りの風呂敷を購入するところから始める必要があります…
ぶちおは手ぬぐいマスターにもなりたい…

理花は中学時代から引き続き、叔父の探偵事務所で働いています。
肩書きは所長代理。
探偵として法は遵守しつつも、ちょっと法からはみ出すことも。
日夜、依頼を解決に向けて辣腕を振るっています。

芳樹のように信じる者は最後まで信じ抜くというスタンスではなく、あくまで客観的に考察するのが理花のスタンスです。
探偵だから人間のヤバイところもたくさん見てきたことでしょう。
いい顔した悪人なんて、たくさんいるんやで!!!

芳樹から理花への依頼は、家庭教師をしてくれていた真壁の家に届く脅迫状について。
真壁は婚約者もいて、一緒に暮らす新居も用意して、ショップの店長として働いていて同僚達にも慕われている。
幸せでしかない状況なのに、何度も脅迫状がポストに投函されるような状況です。
たまたま芳樹が真壁宅に行った際に、ゴミ箱に捨てられていた脅迫状を発見!
誰じゃ、こんなことしているのは!と芳樹の真っ直ぐな心は燃えます。

真壁はただのイタズラだと、脅迫状のことを大事にはしたくない。
芳樹はお世話になった真壁のためにも、脅迫状のことを解決したい。

芳樹からの依頼を受けて、理花は調査を始めるのですが、段々と雲行きが…
自分にやましいところがなければ、脅迫状はすぐに警察に届けるはず。
脅迫状が届くということは、大なり小なり届く理由があるのかもしれない。

てか、真壁は医者の息子で医者になる道を進んでいたはずなのに、今は関連性のないインテリアショップの店長。
職場も住まいも、芳樹と過ごしていた当時の場所から離れています。
久しぶりに再会した時の真壁の印象も、芳樹にはちょっと違和感がありました。
あの頃はたくさんの人に囲まれて幸せそうだった真壁が、今はどこか怯えたような雰囲気に。
そうなってしまったのは、どうしてなのか。

芳樹も知らない真壁の過去。
大学を退学、重ねる引っ越し、仲の良かった両親や友人とは疎遠に。
芳樹も真壁の過去を知る人を辿り、何があったのかを知ることになります。
理花も調査を進めながら、真壁が隠したがっている事実を突き止める。

知らないままの方がよかったな~ということは多々あります。
賢人は見ざる言わざる聞かざるなのでしょうが、欲にまみれたぶちおは我慢できないw
隠していることあるなら言いなさいよ!派です。
隠されている内容うんぬんというよりは、隠されていること自体が嫌というか。
隠し事の大小は、本人と第三者で捉え方が違いますし。

だもんでぶちおは、仕事でも何かやらかしたら速攻でゲロります。
隠したところで傷が悪化する可能性があることを知っているので。
そこそこ社会経験あるので!
やらかしたかなと思ったら、挙手で白状する癖がある方がうまくいくと思っています。

ラストに向けて、推理していたことはクルクル変わっていきます。
誰が一番悪いのか。
罠に嵌められていたのは誰なのか。

本当の悪人が、います。

花束は毒 (文春文庫)

新品価格
¥800から
(2024/8/14 21:36時点)

こんな作品もおすすめ

『花束は毒』を読んで、未来屋小説大賞エントリー作品から選書してみました。

ラブカは静かに弓を持つ (集英社文芸単行本)

新品価格
¥1,760から
(2024/8/14 22:35時点)

『ラブカは静かに弓を持つ』
武器はチェロ。
潜入先は音楽教室。
傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。

52ヘルツのクジラたち【特典付き】 (中公文庫)

新品価格
¥798から
(2024/8/14 22:36時点)

『52ヘルツのクジラたち』
52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。
何も届かない、何も届けられない。
そのためこの世で一番孤独だと言われている。

腹を割ったら血が出るだけさ

新品価格
¥1,568から
(2024/8/14 22:37時点)

『腹を割ったら血が出るだけさ』
高校生の茜寧は、友達や恋人に囲まれ充実した日々を送っている。
しかしそれは、「愛されたい」という感情に縛られ、偽りの自分を演じ続けるという苦しい毎日だった。

月まで三キロ(新潮文庫)

新品価格
¥737から
(2024/8/14 22:38時点)

『月まで三キロ』
すべてが明らかになるとき、登場人物たちはみな、今まで想像もしなかった関係性のなかに、自分を発見するのです。
他の5編もふくめて、人物たちの変化に心うるおう物語ばかりです。お楽しみください!

まとめ

『花束は毒』
どこまでも深い悪意はあると。
想像できないくらいの悪意の発露。
どうしたらそんな行動にはしるのか…

謎解きのために、まずは脅迫状をじっくり考察しましょう。
文面、封筒、投函スタイル、繰り返し送られる脅迫状は犯人を見つける大事なアイテムです。

信じたくない真相を、伝えるべきか。

花束は毒 (文春文庫)

新品価格
¥800から
(2024/8/14 21:36時点)

~ぶちおのYouTubeはこちら
~ぶちおのグッズはこちら
📚ぶちおの本棚記事一覧はこちら
🐥鳥記事一覧はこちら
🌞日常記事一覧はこちら
✨劇団四季一覧はこちら

-ぶちおの本棚
-,