ぶちおの本棚

『バスカヴィル館の殺人』あの探偵遊戯はまだ続いていた。新たなライターが手がけたシナリオは守り通せるか。

ぶちおです。

今回は『バスカヴィル館の殺人』をご紹介しようと思います。
前作『奇岩館の殺人』の続編なので、登場人物たちも懐かしい面々が。
※『奇岩館の殺人』読書感想文はこちら
なので前作のネタバレは多少ありますのでご注意を。

名探偵を生み出した作家たちの作品に見立てた殺人事件が起きます。
探偵役は華麗に解決できるのか。
犯人役はシナリオ通りに遂行できるのか。

裏方たちの苦労がえぐい。

バスカヴィル館の殺人 (宝島社文庫)

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こんな人にオススメ

☆『奇岩館の殺人』を読了済だ
☆エンタメを提供する側の苦労話を覗きたい
☆中間管理職を応援したい
☆裏の裏の裏まで推理したい

書籍概要

◆作品名 バスカヴィル館の殺人
◆著者  高野結史
◆出版社 宝島社

森の奥に立つ洋館で、コナン・ドイルやアガサ・クリスティらミステリーの巨匠の作品になぞらえた連続殺人が発生。館の招待客らは犯人捜しを始める。だがそれは「探偵」役のために開催された、実際に殺人が行われる推理ゲームだった。参加者の凛子は生き残るため、「探偵」に謎を解かせようとするが……。先が読めない多層ミステリー! 犯人・探偵・真犯人・黒幕――あなたはどこまで当てられる?

ぶちおの読書感想文

『バスカヴィル館の殺人』
まずは本作は『奇岩館の殺人』の続編です!
なので前作を読了してから読むのがオススメです。
未読の場合、なんでこんなことしてるの?とか、キャラクター同士の関係性も分からず置いてきぼりになる可能性があります。
ぶちおは前作を読んだのは少し前ですが、読みながら思い出してきました。
続編だよって、書誌に書いて欲しいぞい!(ちょっとした思いを吐露)

前作で明らかになった探偵遊戯なるエンタメ。
依頼主の希望通りに、実際に殺人事件が起きる。
殺人事件は本当に人を殺します。
ふり、ではなく実際に。
キャストの中に紛れた犯人役が、与えられたシナリオ通りに事件を起こす。
依頼主は探偵役となって、ロールプレイを堪能しながら犯人役を糾弾する。
解決したら撤収、また新たな依頼主のために探偵遊戯を行う。
殺人はふりではなく本当に行われています、依頼主はリアルを求めているので。

探偵役以外はすべて運営側の人間。
探偵役と一緒に過ごすキャストは与えられたシナリオ通りに行動しますが、それ以外は自由。
とくに役割を付けられていない使用人は、探偵役をサポート。
給仕をこなしながら、探偵役がいい感じに謎を解けるように難易度を調整します。
そして館内の監視カメラを通して探偵遊戯が無事に進んでいるかを見守る裏方スタッフたち。
依頼人のために、何十人もの人達がリアル殺人謎解きゲームを提供。

エンタメもいくところまでいったなと。
ぶちおはリアル脱出のクオリティで全然満足ですw
マダミスとかでも全然面白いと感じるので、大金をはたいて殺人を見たいとか解決したいは無いなぁ~
まぁ本作の依頼主はうなる程金を持っているので、刺激を求める方向がおかしな所に向いたんじゃろう。

中間管理職的な立場、現場のチーフで、使用人として場をまとめる袋小路。
前作では死んだか?と思ったのですが、何とか命を繋いでいました。
でも病に罹っているので、今回の探偵遊戯が最後となります。
有終の美を飾るため、いつもよりも完璧に遂行しようとするのですが、トラブル頻発!

死体の入れ替わり?
予定にない死体の出現?
わざと残していた証拠が消える?
犯人役の暴走?
スタッフ達の不和まで。

中間管理職はツライ!!
まとまりの無いスタッフを束ねて、アクシデントに対応して。
探偵遊戯はナマモノだから、進行を止めることは出来ない。
時間もない、頭をキリキリ絞っているところにパワハラ上司の叱責。
頑張れーーー袋小路ーーーー!
ツライ職場環境に同情。

どうしてこんなに予定にないことが起こるのか。
読者はこの探偵遊戯の裏側を見抜けるかがポイントです。
確実に第三者の意図を感じる。
殺人のシナリオに便乗した何者か。
キャストなのか、スタッフなのか、それとも。

前作ラストで探偵遊戯のライターとして抱き込まれた田中。
本作でやっとこライターデビューを果たします。
遅筆だし、のらりくらりとシナリオを書くことを拒否していましたが、ミステリマニアとして納得のいくシナリオが出来たと!

エラリー、カー、クリスティの代表作になぞらえた連続殺人。
なにより、館の名前はバスカヴィル館。
ホームズシリーズに登場したバスカヴィルの名を冠しています。
この館には魔犬が出る。
魔犬が人を殺す。

探偵遊戯として用意された殺人事件を追いつつ、誰がシナリオを操作しているのかも追いつつ。
ヘトヘトの袋小路を気にしつつ、犯人役の葛藤にちょっとだけ同情も。

探偵遊戯を終えてのエピローグ。
謎がスッキリしていく中で、田中や袋小路の想いもわかって。

どこからが策略の始まりだったのか。
やっと風を感じられそうじゃよ。

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