ぶちおです。
今回は『殺人症候群』をご紹介しようと思います。
症候群シリーズの最後を飾る作品です。
もうこのシリーズの環チームを見られる日はこないんだなぁ~と思うとちょっぴり寂しい。
そしてこんなにズシンとヘビーなおはなしは久しぶり…効いたぜ…
人を殺す覚悟があるなら、殺される覚悟も持つのが道理か。
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こんな人にオススメ
☆法の限界にもきもきする
☆復讐ってなんだろう
☆バッドエンドの連続でもめげない
☆症候群シリーズ完結を見届けたい
書籍概要
◆作品名 殺人症候群
◆著者 貫井徳郎
◆出版社 双葉社
警視庁・人事二課、環敬吾が率いる特殊任務チームは、一見何の関係もない複数の殺人事件に関連性がないか捜査を開始する。「大切な人を殺された者が、犯人に復讐することは是か非か」という社会的テーマとエンターテインメントを融合させた読み応え抜群の徹夜本。サスペンス、社会派、ハードボイルド、そして本格ミステリー。あらゆる醍醐味を味わえる、シリーズ三部作の掉尾を飾るにふさわしき大作にして傑作! 装い新たに新登場!
ぶちおの読書感想文
『殺人症候群』
シリーズ1作目『失踪症候群』、2作目『誘拐症候群』、どんどん内容も重たくなっていき
『殺人症候群』はラストを飾るにふさわしいボリュームでしたと重みでした!
人生の理不尽さとか、犯罪被害者の無念とかわかるけど、復讐という解決法がよかったのかと問われるとう~ん…
被害にあった当事者しか感じられない痛み、他人とは絶対に共有できない痛み、第三者はあくませ第三者で。
苦しんでいる人を癒すために、何をしてあげるべきで何をしないべきなのか。
ページ数もなかなかあったので、珍しく2日に分けて読みました。
中盤からラストにかけては、途中で読むのをやめること出来ずいっきに読了しました。
深夜2時までぶっ通しで読んじゃったぜ…
登場人物たち、それぞれが迎えるエンドがなかなか辛かった。
ぶちおに珍しく、気持ちへこんじゃったもの!
今作もミステリアスなイケメン環が率いる特殊班が調査にあたります。
班のメンバ-は環、原田、武藤、倉持のお馴染みの4人!
環が持ってきたファイルにある人達は、過去に事件を起こすも刑法上の罰則を受けていないという共通点がある。
事件当時に未成年だった、心神耗弱の状態だった。
そのため、刑務所には入ら保護観察や措置入院の対応をとられただけで社会復帰している。
その後、事件や事故に巻き込まれて死亡。
偶然の産物なわけがない、何が裏に潜んでいるのか。
一方、息子が重度の心臓病でドナーが現われるのを日々待っている母親。
息子が生きるためには、心臓移植が必須。
息子には元気になって欲しいけれど、それは誰かの脳死を心待ちにしているということ。
迫っている死を達観しているような息子を見て、母親は決意します。
【早く健康な心臓を分けてもらわないと】
一方、犯罪被害者の会で活動している女性。
未成年だったらか、病気だったから。
そういう理由で大した罰も受けず、今でも反省もせずに好き放題生きている加害者たちがいる。
加害者に人生を破壊された被害者遺族達の無念を晴らすには正義の執行しかない。
【生きるに値しない加害者たちに復讐をしませんか】
法は復讐を容認していない。
大前提です。
時代劇なら許せます、父の仇ー!!というセリフも。
ただし現代は、被害者側が直接加害者を罰することはできない。
法によって罰が決めらていて、執行される。
ただ、時代とあってなくない?この法律??と感じることも多いです。
本作では未成年の犯罪者にフォーカスがあたっています。
ぶちおも読みながら、少年法って?と思いました。
小学生だって、人の物を盗ってはいけないとか暴力ふるっちゃいけないとかわかっているでしょう。
でも未成年が犯罪を犯した場合は少年法が適用されて、刑罰も甘い。
未来がある少年だから更生の道を残すべき、という理論もわかるのですが。それにしても甘くない?
加害者を手厚く守って、被害者は晒されてない?
更生の余地のない、どうにも出来ない根っからの悪人もいると思うし!
人がやれることなんかと疑いたくなる暴力を無邪気にふるう少年、出てきます。
最近、頻発している強盗とか詐欺にも10代とか若い世代が関与していること多いし。
人生経験がないから、情報弱者だからとかそういう問題じゃなくない?とぶちおはワイドショーを見て思っています。
普通に暮らしていて、他人の金奪おうっていう選択肢が出てきたことないですよ。
善悪の基準、どうなってるんや!ぷんすこ。
日本の犯罪も悪質になってきていると思うと、アメリカ並みに厳しい罰則でも全然納得します。
未成年にも容赦ない、犯罪の懲役は加算していくスタイルとか。
他人様に迷惑かけて、年齢や病気だからで済まされないじゃろと思いつつも、加害者への復讐を是とするかは…むぅ。
復讐心を生きる糧にしている人もいるかもしれない。
復讐を遂げることで被害者の無念を晴らせた気持ちになるかもしれない。
でも、だからといってやっていいことなのか。
ハンムラビ法典で有名な一文。
「目には目を、歯には歯を」
やられたらやり返せという意味にとりがちなのですが、やり返すにしてもやられた以上のことをしてはいけないという意味があります。
過剰にやり返すことは容認できない、復讐するにも制約あるからねという意味で見ると、ハンムラビ法典の見方も変わります。
被害者が私刑で加害者を罰しても、今度は加害者側が被害者になろ逆転現象をうみます。
そんな連鎖を生み出してはいけない。
頭ではわかっているけど、心ではな~
本作はずっと内面を揺さぶられ続ける感覚です。
復讐代行をしている者も、被害者達の遺族を救うためよかれと思って犯罪を重ねています。
自分は正義のためにやっている。
被害者は喜んでいる。
加害者は生きているだけで新たな被害者を生む。
そんな奴らを処分したところで何が問題なのか。
チームでの調査から外れていた倉持は、たびたび原田や武藤の前に現われます。
倉持よりも早く、事件の真相を掴まないといけないと思いつつも相手も手強く出し抜かれている。
過去作で強力な味方だっただけに、強力な敵になってしまった倉持。
環班の面々に少なからず情があるだけに、寂しさが…
なんか丸く収まらないのかなぁと思いつつも、譲れない信念とかあるんだもの…仕方ない結末なのか。
人間の行動原理は、簡単に割り切れないもの。
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『殺人症候群』を読んで、復讐系作品を選書してみました。
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『外道の歌』
凶悪な犯罪に巻き込まれた被害者や遺族が無念を晴らすため訪れる「カモメ古書店」。
店主カモと相方のトラは様々な依頼を受けてきた
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復讐代行業「怨み屋本舗」幾多の抹殺完遂も、怨嗟は世から絶えず。
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『レプリカ 元妻の復讐』
自分から男を奪った女、そして自分を捨てた旦那へ復讐を誓うすみれ。
顔を変え、名前を変え、宿縁で結ばれた女への、苛烈な復讐が始まる。
まとめ
『殺人症候群』
復讐代行の実行犯の正体を知った時は、声出るくらいに驚きました。
そうか。
判明してから思い返してみると、そうだわ。
ちょっとした伏線があちこちにあったなぁと。
環が作り上げたチームも、本作で読み納めです。
不器用ながらお互いを尊重していた空気、好きじゃった。
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