ぶちおの本棚

『鬼の話を聞かせてください』本性を隠しているか、それとも…取材で明かされる鬼の正体は。

2024年9月5日

ぶちおです。

今回は『鬼の話を聞かせてください』
SNSで募集した鬼にまつわる話。
語り手が知りたい暗部、聞き手が暴きたい秘密、鬼の正体とは何だったのか。

こんなにも色々なタイプの鬼がいるのか…

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こんな人にオススメ

☆ロジカルシンキングしたい
☆完全なる真相究明までは欲していない
☆人間の本性暴きたい派
☆お遊戯好きだ

書籍概要

◆作品名  鬼の話を聞かせてください
◆著者   木江恭
◆出版社  双葉社

SNS上の企画「あなたの身に起きた〝鬼〟のエピソードを教えてください」に寄せられた三つの事件。投稿者あるいは関係者三名の前に現れたのは、ひとりの男だった。桧山は「推理ゲーム」と称して隠された真相を暴いていく。秘密にしていたことが知られたとき、すがっていたものが壊れた瞬間、優位だと思っていた自らの立場が危うくなったときの表情が見たい――桧山の真の目的はそれだった。

ぶちおの読書感想文

『鬼の話を聞かせてください』
鬼にまつわる話、あるかな~
う~ん。
あいにくリアルな鬼に出会ったり、鬼退治に出向した経験がないぶちおです。
子どもの頃、塾サボってるのが見つかって母親にぶん殴られたのですが、その時の母親は鬼に見えたなぁ~

それくらいしか鬼の体験談を持っていないですが、本作では4つの鬼にまつわる事件が掲載されています。
子どものお遊戯にも通じる不思議な話ばかり。

しかし、事件について推理して犯人を掴まえて、真相を究明することが目的ではありません。
あくまでSNSで鬼にまつわる話を募集して、寄せられた話を取材した結果、犯人の存在や真意がわかってしまう。
取材をしている記者には、逮捕権はありません。
ただ取材をして、論理的思考を重ねるのみです。
この記者の存在が一番、こわい存在とも言えますw

ここでお遊戯について。
お遊戯には鬼役が必須なものが多いですね。
鬼ごっこの派生系の遊びもたくさんあります。
ぶちおは色鬼と氷鬼のエキスパートでした。
足が速い者だけが勝つシンプル鬼ごっこでは勝ち目はなくても、ちょい頭使えば足の速さを補える系は強かったw

色鬼最強になるために、幼稚園内のあらゆるものの色を把握していました。
どんな色を言われても、最短で手に触れられるものを脳内に浮かべることで負けない。
氷鬼は鬼と味方の動線を計算して、トリッキーな動きで鬼の攻撃を躱すことで負けない。
本作を読みながら、懐かしのお遊戯を思い出していました。

影踏み鬼とか、みんなで大きい影に必死で乗っかってたなぁ~とか。
うん、あの頃も全力で楽しかったのう!

さて、本作の鬼の話について。
プロローグ/エピローグから始まり、影踏み鬼、色鬼、手つなぎ鬼、ことろことろの4話で構成されています。
最後のことろことろを読んだら、最初にあるエピローグに戻ります。
なるほど、最初に読んだプロローグがエピローグに変わるなぁ。
全体を通して1つの輪になっているようです。

影踏み鬼
小さい頃に行った祖父の家での思い出話。
母と絶縁状態だった祖父が死体となって発見されてしまった。
自殺として処理されたけど、小さい時の記憶には何かずっと引っかかるものがある。
大人になり、記者に当時の話をするのですが…

色鬼
街では落書きの被害が多発していた。
奇抜な色で、あちこちに残される落書きは何かを暗示しているのか。
パトロールしていた警官が、記者に当時の状況を説明する。
落書き犯を捕まえるために見回りを強化していた中、発見された少女の死体。
少女の体にもスプレーで派手な着色がされていて…

手つなぎ鬼
60年以上前、田舎で起こった心中事件。
流れものの行商人に、自分の妹が入れ込んでいるらしい。
遊ばれているだけだ、騙されているんだと説得しても妹は聞き入れない。
ケンカ別れした後、燃える家から妹と心中相手の死体が発見される。
今更、捜査のしようもないけれど、記者は1つの答えを提示する…

ことろことろ
一番、ゾワっと感があるお話でした。
素行の悪さから、家から縁を切られた孤独な老人。
人間関係に問題ありだけど、ヘルパーさんとだけは良好な関係を築いている。
そんな老人が、アパートの自室から転落死を遂げた。
遺品の中には、老人とは無関係な少年の写真が収められたアルバムが見つかる。
この少年は誰なのか。
老人はどうしてこんなアルバムを所持していたのか。
記者は取材を重ねていき、パンドラの箱を開けてしまう…

桃太郎的な鬼ならわかりやすいですが、そういう鬼とはなかなか出会えません。
人の皮を被った鬼なら、そこかしこにいることでしょう。
何がきっかけで鬼の顔が出てしまうのか。

言いにくいことをがんがん聞いて、どんどん暴いちゃう記者とは会いたくないなぁ~
あくまで論理的に考えた1つの結果と言われても、聞かされた方はそれが真実としか思えない…
今更知ってもどうしようもないことなのに、ズケズケと暴いちゃうのが性分の記者なのでしょうか。
プロローグにもありますが、それでもめ事を起こしちゃうのも想定の範囲内。
だって、そうだったんだから。

信じたくない結末でも、わからないままよりはましではないですか?
う~ん、どうなんだろう。
わからないままもモヤモヤするけど、知りたくないこともあるもんなぁ~

こんな鬼の話を集めて、何がしたいのか。
企画者の意図はどこにあるのでしょう。

真相究明されても窮するだけとわかっているのに、反する気持ちで応募した語り手達がいるのもたしかです。
やっぱり誰かに聞いてもらいたいという心理が勝つのでしょうか。

わからないままの恐怖には、人はやっぱり耐えられないのかな。

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以前読んだ作品と同じ方が担当されていました!やっぱりこの独特な雰囲気。
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まとめ

『鬼の話を聞かせてください』
昔の人が言う鬼は、外国人のことだ説とか、病気のことだ説とか。
自分達の見えないもの説、理解が及ばないもの説とか。
乱暴に言うと、わからないものは全部、鬼。

本作の鬼は、どんなものか。
自分が知っている鬼像と照らし合わせてみましょう。

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