ぶちおの本棚

『家守』家に染み付いた記憶、家に縛られる人たち。5編の登場人物たちには悲劇が待つ。

2024年5月30日

ぶちおです。
おすすめ小説のご紹介です!

今回は『家守』
『葉桜の季節に君を想うということ』『密室殺人ゲーム王手飛車取り』などの作者、歌野晶午先生の作品とあらば読みますとも。
こちらは短編集なので、読みやすいですし。

物とか概念に固執しすぎると、あんまりよくない結末しかないよね…

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こんな人にオススメ

☆家、って人柄が出ると思う
☆人コワ系が好き
☆どんよりな結末でもどんとこい
☆歌野 晶午先生ファン

書籍概要

◆作品名  家守
◆著者   歌野 晶午
◆出版社  KADOKAWA

九州から東京の一軒家に越してきた夫婦。間もなく妻が「誰かの目を感じる」と訴えだした。原因を探る夫がネットから見つけてきたのは、かつてその家で、凄惨な一家惨殺事件が起こったという記事だった。その日から、妻の様子がおかしくなり…。(「転居先不明」)密室で発見された主婦の死体が思わぬ事件を暴き出す表題作など、5つの「家」にまつわる人の悪意と謎。読者の予想を必ず裏切る、衝撃のミステリ!

Amazon『家守』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『家守』
爬虫類のヤモリ、ご存じでしょうか。
あのなんとも言えない吸盤機能がある手で、家の窓ガラスとかにぺたっとするヤモリ。
トカゲの仲間らしく、まんまトカゲといえるフォルム。
その名の通り、家を守ってくれるというヤモリは開運のご利益があるといわれています。

ちなみに名前の似ているイモリは両生類。カエルの仲間なので、水辺が活動地域らしいです。
ぶちおが小学生時代、ヤモリとイモリの違いは何なのかを熱弁している人がいたなぁ~
言い間違いすると、ものすごい勢いで訂正してくる謎の人物。あれは誰だったんだろう。

少し前の日本だと、家を守るのが超大事でした。
長男が家督を継ぐとか、家が古くなってもそのまま継承していくとか。
現代だとそういう価値観はだいぶ薄れていますが、家に愛着をもつこと自体に変わりはありません。

本作では登場人物たちと様々な家について5編収録されています。
豪邸、事故現場、格安物件などなど。
真相を見抜けた!と思ったら、またひっくり返される醍醐味もあります。

・人形師の家で
自分の理想を詰め込んだ女性像を作ったピグマリオン。
彼は彫像をまるで人形のように世話をやきますが、相手は像なので反応は何もない。

ギリシア神話に登場するピグマリオンのように、一人の男が作った女性像。
奇跡が起きて女性像は彫像ではなく生身の女性に変化して…

怪しすぎる人形師の家を探検した少年たちは、大人になった今こそ真相を知ることができるのか。

・家守
犯人はどうやって密室を作ったのか。
犯人にはアリバイもしっかりある。
警察はじりじりと犯人を追い詰めていくのですが…

被害者は何が何でもこの家を守りたいと言っていた。
それは、過去に起きた誘拐事件が関係していて。

・埴生の宿
割りのいいバイト、怪しさはたっぷりあるけど金が必要だから仕方ない。
依頼されたのは四日間住み込みで、ある老人の話し相手をすること。
介護をする必要はなく、老人の息子としてふるまってほしい。

平穏にバイトをこなしていたが、最終日に老人は突如覚醒する。
「ここから早く逃げろ!殺される!」

衝撃の連続と、やるせないラスト。

・鄙
官能小説家の兄と、お世話係の弟。
二人が辺境の地に旅行に行った先で、たまたま知り合った男が自殺してします。
辺境の地ゆえ、思うように捜査は進まず、村全体が疑心暗鬼に。
兄は犯人の目星がついているようだが、一体犯人はどんなトリックを使ったのか。

真実を知ってからのほうが、なんとも言えない気持ちになります。
なんでもかんでも、暴けばいいってものではないのかなぁ。

・転居先不明
東京に引っ越してから、妻が感じる視線。
いつも誰かに見られている。でも視線の本体を探そうとしても見つからない。
夫は聞き流していたが、一つの答えに気づく。

今、住んでいる家で過去起きた陰惨な事件。
空き巣がつけていた犯行日記、唯一生き残った少年、そして妻が感じている視線。
すべてを繋げた後、夫がとった行動がさらに悲劇を起こしてします。

意図した結末にならない可能性に、なぜ気づけなかったのかと。
こうであってくれ!と願いが強い程、うまくいかないんだな~と、5編読了しての感想です。
失いたくないという気持ちが強すぎて、もっと大事なものを失っちゃうのよ。
視野が狭くなるってそういうことかも!

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こんな作品もおすすめ

『家守』を読んで、家や館にまつわる作品から選書してみました。

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『変な家』
ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に 「謎の空間」が存在していた。
やはり、怪しすぎる家といったらこの作品です。
違和感の正体を知ったら、ぶるりました。

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『紅蓮館の殺人 〈館四重奏〉』
救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。
吊り天井が設置された館では、事件起こるの絶対なんよ!

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『新訳 グリーン家殺人事件』
ニューヨークに建つ古めかしいグリーン邸で銃声が響き、長女は即死、末の養女も怪我を負う。
ミステリ好きなら、ヴァン・ダインの名を知らぬものはいない。
ぶちおも名前は知っていますが、作品はまだ読んでいない!お恥ずかしい!

金田一耕助ファイル5 犬神家の一族 (角川文庫)

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『金田一耕助ファイル5 犬神家の一族』
一族の不吉な争いを予期し、金田一耕助に協力を要請していた顧問弁護士事務所の若林がやがて何者かに殺害される。
どろどろの日本ミステリといえば金田一耕助でしょう!

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なんたって、ゲーム化にもなっているわけですし!

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犬神家をテーマにした楽曲『相剋』も。
歌詞も、犬神家に重なります。

まとめ

『家守』
家族が帰ってくるこの家を守りたい。
昔、大事にしていた家で最期を迎えてもらいたい。
仕事を拡大するために、都合のいい家を借りたい。

家に対する思いも多種多様。
家を暴くことで見えた、住人たちの秘密。

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