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ぶちおの本棚

『殺人勤務医』そうか、そういうことだったか…サイコパス主人公の恐ろしすぎる日常。

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ぶちおです。

今回は『殺人勤務医』をご紹介しようと思います。
サイコパスのど真ん中を生きているような主人公、殺した人数はなんと四桁以上と…?!
どんどん物騒になっていくぶちおの本棚ではありますが、やっぱり気になっちゃって読了しました。

生まれながらの殺人鬼とはいったい…

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こんな人にオススメ

☆サイコパス主人公ものに惹かれる
☆エログロ描写もばっちこい
☆強い精神力をもっている
☆読了後、どんよりしても平気

書籍概要

◆作品名  殺人勤務医
◆著者   大石圭
◆出版社  KADOKAWA

中絶の専門医である古河は、柔らかい物腰と甘いマスクで周りから多くの人望を集めていた。しかし彼の価値観は、母親から幼いころに受けた虐待によって、大きく歪んでいた。食べ物を大切にしなかった女、鯉の泳ぐ池に洗剤を撒いた男。彼は、自分が死に値すると判断した人間を地下室の檻に閉じこめ、残忍な手段で次々と殺していく。猟奇の陰に潜む心の闇をリアルに描き出した気鋭の衝撃作!

Amazon『殺人勤務医』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『殺人勤務医』
注意点としては、題材として【堕胎】描写があります。
そしてラストまで読んでも、どんよりというかなんとも言えない気持ちになりました。
が!読んだことで見方というか、捉え方というか新しい見識をゲットできたと思います。
サイコパスの日常は、本当にこんなんだったとしたら、普通の人間に見抜くことは不可能でしょう。
ショッキングな内容がばっちこいという方は、進んでください。

主人公は古河リョウ、30歳。
産婦人科に勤務していて、職場の女性からもモテモテです。
しかし、サイコパスといっていいでしょう。
マイルールに則って、殺人を繰り返しています。
作中では、古河がどうしてこんな凶行を続けるのか、彼の芯の部分に迫っていきます。

産婦人科勤務といいましたが、本館ではなく新館が古河の職場です。
その新館は出産を目的とした建物ではなく、【堕胎】を専門にした建物です。
プライバシーに徹底配慮、患者同士が顔を合わせないように作られている新館では
毎日のように堕胎手術が行われています。
隣の本館では毎日生命が生まれているのに、古河が勤務している新館では毎日生命が殺されている。
なんとも…

古河が希望したワケではなく、成り行き的に堕胎のスペシャリストとなります。
実績はすでに1000人以上の胎児を堕ろしています。
しかし訪れる患者に対して真剣に「生むことは出来ないのですか」と訊ねます。
堕胎は体にも心にも負担がかかることを説明して、医師としてはふさわしくないかもしれないけど患者を諭す姿はいい先生そのものなのですが…
もちろん、そのままの彼を信用してはいけません…

胎児の命を奪ってはいますが、それは胎児の親が決めたことなので古河本人に殺意はありません。
『今は産めないから』『金銭的に余裕がないから』『母体の安全のため』理由は様々ですが、親は古河に堕胎を依頼するわけですからこの部分を見て殺人鬼というのは…

が、古河はしっかり自分の意思でターゲットを決めて、自宅の地下室で10人以上殺害しています。
トンデモナイ男です。
【弱いものを虐げる人間】が古河のターゲットとなります。

池に洗剤を撒いて大量の鯉を死なせた男。
→無抵抗な鯉を一方的に殺したことが許せなかった。

中華料理を大量に注文しておいて、ほとんど手つかずで残したモデルの女。
→世界には飢餓で苦しんでいる子どもがたくさんいるのに、ダイエットのためと食べ物を無駄にしたのが許せなかった。

飼い犬の世話を放置していた男。
→鎖に繫いだまま、散歩もさせず、食事もきちんと与えず、飼育放棄をしていたのが許せなかった。

ターゲット達にも問題はありますが、そこまでするか?!命奪うか?!というところがサイコパスですね。
しかも殺害方法は、ターゲットが犯した悪行になぞらえられています。
同じ苦しみを与えて、そして確実に殺します。
ターゲットには無情に殺害を実行しますが、かたや動物愛護というか世界平和を思う一面もあるという…

古河自身も幼少時代に虐待を受けているのも、人格形成に異常が起こった理由なのでしょうか。
毎朝なついたカラスに餌を与えて、ジョギングをして、好きな音楽を聞きながら朝食をとって、出勤して…
判をおしたような彼のルーチンワークに中に、【殺人】もはいっているということなのでしょう…

最後!
古河はこれまでとは一線を画す事件を起こします。
正直ここまで読んでいて、古河に多少の理解を示していたぶちおですが、やっぱりこいつはネジぶっ飛んでる!!
こんなことするなんて、心底ガッカリだよ!と謎の裏切られ感を体験しました。

歪んだマイルールで、一般社会に溶け込みながら、連続殺人をやめない古河。
彼の凶行は暴かれるのでしょうか。
その内捕まることも理解している、逮捕されたら死刑は免れないことも理解している、
それでも殺人をやめられない闇はどこまでも深いです。

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まとめ

『殺人勤務医』
古河リョウを、連続殺人鬼にしてしまったのはなんだったのか…
生い立ちか、環境か、きっかけがあったはず…

読者は古河の視点で、彼の日常をおっていきます。
表面上は好人物でそつがなく、人が嫌がる仕事も粛々とこなしている普通の人間。
それは表の顔。

生きるか死ぬかは、ちょっとした運の違いなのでしょうか。

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