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ぶちおの本棚

『ペスト』疫病によって変化する人間心理。現在となんら変わらないのかもしれない。

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ぶちおです。

今回はカミュの名作『ペスト』をご紹介しようと思います。
コロナ禍になってから、あちこちで【今こそ読むべき名作】という声があがりまくっていました。

ぶちおの得意分野はもっぱらホラーとかミステリーなので、こういう作品に触れるのは…何十年ぶりかもしれないです。

ある街を舞台にしたペストの流行が綴られています。
隔離された街での人間の暮らしは、まさに2020年代の現代に通じるものだらけ!

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こんな人にオススメ

☆名著がすき
☆リアルな人間模様を堪能したい
☆ペストという病について、客観的視点で読みたい
☆胸を熱くしたい

書籍概要

◆作品名  ペスト
◆著者   カミュ/中条 省平(訳)
◆出版社  光文社

194*年4月、アルジェリアのオラン市に突如発生した死の伝染病ペスト。病床や埋葬地は不足、市境は封鎖され、人々は恋人や家族と離れた生活を強いられる。一方、リュー医師ら有志の市民は保健隊を結成し、事態の収拾に奔走するが……。不条理下の人間の心理や行動を恐るべき洞察力で描いた、ノーベル賞作家カミュの代表作。

Amazon『ペスト (光文社古典新訳文庫)』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『ペスト』
名前は知っていても、読んだことがなかったカミュの作品です。
事前情報もあまり収集せず、いっけえーーーとテンションだけで読み始めました。

最初の方はとかく読みにくかった…
普通の小説とは違う書きっぷりに慣れるのに、多少の時間がかかりました。
この【違い】が大事な要素になっているのですが。
後半に近づくにつれ、キャラクター達への感情移入も爆発してページをめくるのが止まらなかったです。
【ペスト】に襲われながら、一生懸命に頑張った人々の姿に熱くなりました。

作品は1940年代、場所はオラン市を舞台にしています。
書き手がある手記をもとに、このオラン市でおこった一連の【ペスト】の隆盛から収束についてを記しています。
医師のリューをメインに綴られています。

オラン市に起きた異変は、ネズミの大量死から。
屋内外と場所を選ばずに、苦しみ吐血しながら死んだネズミの死骸が溢れます。
その異常さに、役所も駆除のスピードをあげますが追いつかないくらい。

次に、リンパ節を腫らし高熱に浮かされ、苦しみ、ついには亡くなる人が増えていきます。
医師のリューは診察で多くの患者を目にしていき、ことの異常さに気付き始めます。
リューはこの病の正体が【ペスト】ではないかという仮説にいたります。

ここからの街の人々の行動は、現代のコロナ対策とほとんど同じように感じました。
これか、今読むべきだと言っていた理由は!と気付くぶちお。

症状に苦しみ、命を落としていく患者は日に日に増えていきます。
診察をした医師達の間でも、脳裏にかすめるのは【ペスト】という単語。
オラン市の役所も、死者の増加に伴い、今後どういう手立てを講じるかを医師や有識者と相談します。
ここでお役所仕事炸裂!
【ペスト】かどうかの確証はないし、どこまで強い手段を講じるかで揉めます。

なんか見たことあるな~
お役所と有識者の意見の対立。

そうこうしている間、死者の数はどんどんと増加していきます。
診察も治療も間に合わない、隔離施設も不足して、死者の埋葬も間に合わない。
オラン市を閉鎖することになっても、時すでに遅し。
外の世界と隔離されたオラン市内は、どんよりとした空気に包まれます。
ロックダウンをしたからといって、【ペスト】に襲われた市内の混乱がすぐに収まる訳もなく…
今度は娯楽の衰退、食糧危機といった別の問題が浮上します。

リュー医師は、自分の仕事を全うするため、睡眠も削り、生きている人のために奮闘します。
そんなリューを中心に、色々な人物が集まってきます。
役所勤めの男、こりかたまった神父、自殺未遂をした男、オラン市に取り残されてしまった新聞記者、厳格な判事、血清を作り続ける老医師。

身分も職業も違う人物たちの【ペスト】との戦いかた、向き合いかたがたまらなかった。

市外にいる家族と会いたいと願う、
この厄災は神からの試練だと解く、
【ペスト】からは誰も逃げられないと吹聴する…

タリーという謎めいた男も、リューの仲間として登場します。
普通が普通じゃなくなった世界で、タリーとリューの友情にはグッときました!
捨て鉢にならず、生きなければいけないという意思の大切さ。

本作では街中の一般市民、群衆の生活っぷりもリアルです。
【ペスト】が流行した最初のうちは楽観していて、いつも通りの暮らしでどこか他人事。
段々、死の病が自分の近くにもいると感じるようになり外出も減る、気を紛らわせるために昼から酒を飲む。
【ペスト】の収束が宣言され、いっきにお祭り騒ぎふたたび!

なんかこれも見たことあるぞ、という光景です。

予想をこえるリアリティーがありまくりです。
ぶちおは途中から、このキャラはこの人だなーと脳内で配役していました。
自分の周りにもこんな人いる!と思えたので。

いつも無防備な時に天災はやってくる。
未来と移動と議論とを封じる【ペスト】
胸に刺さる文が多いのも、名作たる所以でしょうか。

【ペスト】と戦った人々の記録、
やっぱりこの時に読んでよかったと思った名作でした!

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そうだ『進撃の巨人』を読もう

『ペスト』を読み終わった時、ふと『進撃の巨人』が脳裏に出てきました。
今回は『進撃の巨人』との共通点も多いなぁと。

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◆作品名  進撃の巨人
◆著者   諫山創
◆出版社  講談社

手足をもがれ、餌と成り果てようと、人類は巨人に挑む!! 巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の戦いが始まってしまう。――震える手で、それでもあなたはページを捲る。超大作アクション誕生! これが21世紀の王道少年漫画だ!!

Amazon『進撃の巨人(1)』作品内容より

壁に囲まれた閉ざされた街で、突如どうしようもない巨人たちに襲われて命を落とす。
巨人の手から逃れることが人間もいて、巨人を倒すべく戦う人間もいる。
巨人を駆逐して、自由になりたいと願うエレン。

『ペスト』の世界に置き換えると、ペストは巨人、リュー医師たちは調査兵団でしょうか。

未知の脅威にさらされて、善人も悪人も同様に死が訪れる。
その厄災に対して、どんな意思をもって挑むのか、逃げるのか。
勝つのか、負けるのか。

『進撃の巨人』でも調査兵団の頑張りで、どんどん巨人の謎が解明されていきます。
命をかけた仲間たちが残してくれたものを受け継いで、世界の真相を見ます。

決して1人では戦えない、人間は1人ではいられない。
救うことが出来ないかもしれない、まともに弔ってあげることもできない。

それでも生きる!!!
土壇場に見せる人間の強さと弱さが、やっぱり似ているんではないかしら。

『進撃の巨人』も後世に読み継がれる名作です。

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まとめ

『ペスト』
約70年前の物語が、今の時代を色濃く描いている不思議があります。

増える死者に埋葬が追いつかず、大きな穴を掘って遺体を重ねていき、名前の無い墓標がたつ。
生者はつねに死者について考える。

先の見えない【ペスト】との戦い。
そもそも【ペスト】との戦いに勝つことなんてできない。
そう思いながら、何をしていくのが大切なのか。

ラストの文から引用にて。

おそらくいつの日か、人間に不幸と教えをもたらすために、ペストはネズミたちを目覚めさせ、どこか幸福な町で死なせるために送りこむのである。

『ペスト (光文社古典新訳文庫)』内容より

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