ぶちおです。
今回は『火喰鳥を、喰う』をご紹介しようと思います。
第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〉大賞受賞作!
映画化もされた作品ということで、これは読もうと。
鳥好きなぶちおは、怪鳥であろうと危険な鳥であろうと、鳥が表紙にいたら欲する衝動が止められません。
勝手に書き換えられていく過去に、怯えるしかないのか。
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こんな人にオススメ
☆甦る死者というワードに心躍りがち
☆怪異を止めるため、もがく派だ
☆パラレルワールドとか、タイムリープとか好き
☆衝撃的な描写も全然いける
書籍概要
◆作品名 火喰鳥を、喰う
◆著者 原 浩
◆出版社 KADOKAWA
全ては「死者の日記」から始まった。これは“怪異”か、或いは“事件”か。
信州で暮らす久喜雄司に起きた二つの出来事。ひとつは久喜家代々の墓石が、何者かによって破壊されたこと。もうひとつは、死者の日記が届いたことだった。久喜家に届けられた日記は、太平洋戦争末期に戦死した雄司の大伯父・久喜貞市の遺品で、そこには異様なほどの生への執着が記されていた。そして日記が届いた日を境に、久喜家の周辺では不可解な出来事が起こり始める。貞市と共に従軍し戦後復員した藤村の家の消失、日記を発見した新聞記者の狂乱、雄司の祖父・保の失踪。さらに日記には、誰も書いた覚えのない文章が出現していた。「ヒクイドリヲクウ ビミナリ」雄司は妻の夕里子とともに超常現象に造詣のある北斗総一郎に頼ることにするが……。 ミステリ&ホラーが見事に融合した新鋭、衝撃のデビュー作。
ぶちおの読書感想文
『火喰鳥を、喰う』
表紙にインパクトのある鳥のイラストが。
こちらが火喰鳥《ヒクイドリ》。
実在している鳥です。
飛べない鳥で、ダチョウとか七面鳥のフォルムに似ています。
太いあんよで蹴られると肉も避ける程の威力があるらしい…
危険バード。
でもいつか、生ヒクイドリを見たいものです。
検索すると食用には向いていない、とあったのですが、そんな鳥でも食べたいと思う時がある…
食べざるを得ない状況がある…
戦争により、異国の地で亡くなった久喜貞市の遺品の日記と出会ったことで空気が変わります。
この日記、呪物といえるでしょう。
戦争中の辛く苦しい状況を貞市は書き記していました。
極限状態だからこそ、日記を残すことで心を保っていたようにも思える。
そして絶望的な状況でも、生きて国に帰りたいという思いは日記にも強く残っている。
悲惨な状況が長引き、文面も日を追うごとに恐ろしさをはらんでいきます。
それでも遺品の日記を見た、というだけの出来事だったのですが不可解な出来事が続きます。
貞市とともに戦地に行った生き残りは炎に巻かれ、日記をともに見ていた記者は発狂。
関係者は正気をなくし、挙げ句消えてしまう。
すべてはこの日記がもたらしたことではないのか。
久喜雄司は夕里子とともに、超常現象に詳しい北斗に協力を仰ぎます。
北斗との考察を経て出た1つの仮説。
死んだはずの貞市が生きているという世界線が生まれてしまったのではないか。
それを前提に考えると、これまでに起こったおかしな出来事に説明はつきます。
墓石から貞一の名前が消えてしまったこと。
貞一の位牌が消えてしまったこと。
日記に、どんどん続きが書き込まれていること。
過去を変えていくという作品はたくさんあります。
主人公が意思をもって過去を変えて未来までも変えていく。であればわくわくストーリーになるのですが。
誰も何のアクションも起こしていないのに、過去が勝手に変わって現在に影響を及ぼしているとなると途端に恐怖モードが入ってきます。
貞一が死んだ世界を生きていたのに、貞一が生きている世界が侵食している。
ひずみが生まれて、どんどん大きくなっている。
世界の歪みは、人を殺すことだってある。
自分の人生を守るための方法は、貞一に死んでもらうしかないのではないか。
無念なまま亡くなったことは分かる。
だからといって他の人の今の幸せを壊していいものではない。
北斗によると貞一の怨念や呪いというものではなく、強い思念が悪い方向に作用してしまっているようだと。
怨霊も怨霊になろうと思ってるわけではないですから。
長い時間を経たことで、もう何が何だかわからなくなって予想外に力が出ちゃう。
暴走する貞一の思いを、抑えることは出来るのか。
ある人の希望は、別の人にとっては絶望なんやなぁ。
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