ぶちおです。
今回は『道徳の時間』をご紹介しようと思います。
呉勝浩先生の作品は『爆弾』シリーズと『スワン』を読了済です。
やるせなさというか、考えても明確な答えを見つけられない後味のようなものは『スワン』に近い印象でした。
他人の気持ちになって考えましょう、なんて本当にできることなのか。
道徳の時間に、何を学ぶことが出来たんだろう。
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こんな人にオススメ
☆人に教えることが苦手な方
☆答えのない問題に取り組むと頭かでがちでがち
☆信念が揺らいだことがある
☆友達のためなら何だってできる
書籍概要
◆作品名 道徳の時間
◆著者 呉勝浩
◆出版社 講談社
連続イタズラ事件が起きている、ビデオジャーナリストの伏見が住む町で、陶芸家が死亡。現場には、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きがあり、イタズラ事件との類似から同一犯という疑いが深まる。同じ頃、伏見にかつて町で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラの仕事が舞い込む。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていく。第61回江戸川乱歩賞受賞作。
ぶちおの読書感想文
『道徳の時間』
主人公はビデオジャーナリストの伏見。
とある事件を追う中で挫折して、妻の地元に戻り現在は休職中。
地元のちょっとした有名人だった陶芸家が死亡。
自殺とみられるが、家の壁には奇妙な落書きが…
最近、地域では似たような落書きが残されるイタズラも連続で発生している。
もしかしたら変質者による殺人か。
平穏な街がざわつきます。
そして伏見に過去の知人を通じて仕事の依頼が舞い込みます。
昔、この地域の小学校で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画を撮影したいというもの。
事件の被害者は当時の教育界の権威。
教え子でもあった男は、講演会の最中、300人程の衆人環視の中、恩師を刺し殺す。
すぐに逮捕されるも、男は完全黙秘を貫き、そのまま刑に服している。
出所の日は近い。
伏見にはカメラマンとして参加してほしいというもの。
状況から男が犯人であることはほぼ間違いないが、何も供述しないのは何故か。
その殺人事件には、現在起きている落書き事件にも通じていることが。
過去の事件と現在の事件の二軸で進んでいきます。
伏見が想像以上にハードボイルドといいますか、信念ぶち貫く男です。
金が必要だから仕事はするけど、気になったことがあれば体が動いてしまう。
ドキュメンタリー映画の撮影にあたり、上司は女性監督。
監督にもずばずば切り込んでいきます。
一緒に仕事するとしたら、ちと面倒くさいかもw
でも、パッションはあるから!
道徳って、難しいからなぁ。
点数を付けられるものではないし、ある程度頭のいい子なら『こういう答えがいいんでしょ』と分かりますし。
忖度もすべて抜きで道徳の正解ってなんだろう。
作中で犬を食べる少年の話が出てきます。
老人がどうして犬を食べたのか少年に聞くと、《おなかが空いていたからです》という回答。
今の日本の感覚でいけば、犬は食べ物ではないから食べてはいけない。
ましてや、その犬が少年に懐いていたなら尚更です。
犬が可哀想。
が、少年は犬を食べるしか選択肢がなかったならどうだろう。
頼れる人はいない、社会からも孤立して、死ぬ寸前までおなかを空かせている。
目の前には一時の空腹を満たせる犬がいる。
食べるしか生きる方法がない。
それでも犬を食べることが悪いことだと言うのなら、黙って野垂れ死にすることが良いことか。
ドラマ『家なき子』の名台詞思い出しちゃうな~
《同情するなら金をくれ》
同情だけでは生きていけない。他人の憐れみで満たされるものはない。
金があれば解決できるんだから、金をくれるのが最善なんだと。
外野は平気で無責任になんでも言えるなぁ。
どう頑張っても当事者の気持ちになることなんて出来ないのに、偉そうに語るものなぁ。
伏見は過去の事件の関係者を撮影しながら、違和感に気付きます。
何か別の目的もあるのではないか。
女性監督は人々に何を伝えたいのか。
伏見の一人息子も問題を起こしてしまいます。
親として、息子に教えるべきは何か。
褒めること、叱ることの判別はついているか。
人として曲げてはいけないことは何か。
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