ぶちおの本棚

『密室殺人ゲーム2.0』あの事件が露呈して、ゲームはまた新しい段階へ。いつもの5人が今日も集まる。

ぶちおです。

今回は『密室殺人ゲーム2.0』をご紹介しようと思います。
前作『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の続編です。
前作では判明しなかった部分が明らかになるのでしょうか。
※『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の読書感想文はこちら

もはやお馴染みになった5人の殺人ゲームは続いています。
前作のネタバレ要素があるので、NGの方はご注意くださいませ。

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こんな人にオススメ

☆5人のゲーム参加者の行く末を見守りたい
☆5人のあの雰囲気をもう一度
☆前作よりも難しい出題を解いてみたい
☆密室殺人ゲームシリーズの虜だ

書籍概要

◆作品名 密室殺人ゲーム2.0
◆著者  歌野晶午
◆出版社 講談社

あの殺人ゲームが帰ってきた。ネット上で繰り広げられる奇妙な推理合戦。その凝りに凝った殺人トリックは全て、五人のゲーマーによって実際に行われたものだった。トリック重視の殺人、被害者なんて誰でもいい。名探偵でありながら殺人鬼でもある五人を襲う、驚愕の結末とは。第10回(2010年)本格ミステリ大賞受賞作、2010本格ミステリ★ベストテン第1位。

ぶちおの読書感想文

『密室殺人ゲーム2.0』
密室殺人ゲームはシリーズ3部作なので、1作目から順に読むのをオススメします。
単巻でもわからなくはないけれど、時系列的にも内容的にもやっぱり最初から読むのが良き!

前作からのおさらいです。
“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”の5人は、リアルに起こした殺人の謎解きをオンラインでわいわいする間柄。
自作したトリックを用いて事件を起こし、その事件の謎について他のプレーヤーに出題。
出題されたプレーヤーは、情報を集めて謎を解く。
これを繰り返して、リアルで起こった事件だからこそ味わえる楽しみを共有しあう。

顔も名前も知らない間柄だったからこそ、まさかのプレーヤーがプレーヤーを殺してしまうということが起こってしまいました。
被害者は“044APD”、通称コロンボ。
集合の事件になっても現われない、こんなことは今までなかったのに。
出題者だったプレーヤーは、自分が殺してしまった被害者=コロンボということに気付いてしまいます。

衝撃すぎましたね…
いや、でもなくはないこと。
だってゲームの参加者のことは何も知らないし。
被害者の選別だって、とくに意味はない。
天文学的な確率だけど、0ではない。
納得するしかないけど、なんでこうなっちゃったんやと…

コロンボを殺害してしまったプレーヤーは、残ったプレーヤーをオフ会に集合。
そこで爆弾を用いたゲームを提案。
他のプレーヤーは爆弾を止めようとするのですが。
というところで終わっていました。

その後のお話が本作です。

いつものPC画面には5つのウィンドウがあります。
“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”のウィンドウ。
“044APD”のコロンボは死亡しているので、ウィンドウには車の写真。その写真は遺影のように黒い縁取りがされています。
他のウィンドウに写る姿は前作同様。
ダースベイダーやジェイソンのマスク、ペットのカメ、黄色いかつらにビン底眼鏡。
そしていつものように、ゲームが始まります。

あ、なんだ。
結局みんな助かったんだな。
そしてコロンボをのぞいた面々はあのイカれたゲームを続けているんだと。

コロンボの死は衝撃だったし、このヤバイゲームの参加者達も警察の目をくぐり抜けているんだと思ったら。
コロンボからテキストが送信されてきます。
オートメッセージではなく、きちんと会話になっている。
ちゃんと中の人がいるということか。
いや、AIの可能性もある。けどわざわざこんなゲームにAI参加させる意味はあるのかな。
ゲームの出題は、参加者がリアルに起こした事件を対象にしています。
AIだと事件を起こすことは不可能だし。
ということはやっぱり人間がいる説が有力。
それろもコロンボは実は死んでいなかった?
遺影風にしているのはフェイク??

コロンボの真相からもう迷宮入りでした。

でも他の4人も普通に話を進めているし、ゲームは止まりません。
今回も前作の事件を超えるように、というか超えたいから各人が創意工夫をこらします。
殺人とか事件にどんだけ労力かけるねん、とは思いますが彼らのコミュニティのルールだから飲み込みました。

コロンボは元々ドライだったのであれですが、aXeとザンギャ君のケンカは健在。
ベイダーマスク着用時はストローで水分補給する所作も健在。
伴道全教授はあいかわらず、ぬるめというか易しい事件の住人。
そうそう、この5人の空気感なのよ。
やってることは非道、でもオンライン上のやりとりは普通の友達同士のよう。

スケールというか、想像の域は今作も超えてくれます。
実際にやるとして、費用対効果があってないだろと叫びました。
解答をきくと、その発想はでなかったわ~と関心する一方で、そんな反応をみたいがためにトリックにかける情熱がエグイと。

普通の殺人なら、こんなことやらない。
そこがこのゲームのみそです。

一般的な殺人事件であれば、少なくとも犯人が捕まらなければそれでいい。
警察に検知されないのもいい。
でもこのゲームは、いかにエンタメ性を提供するかが最重要事項です。
出題者がいかに他のプレーヤーに褒め称えられるか。

密室にするならもっと簡単な方法がある。
侵入するならもっと実用的な方法がある。
殺すだけならそんなに死体を損壊する必要はない。
被害者の不審な行動は犯人からの指示なのか。指示に従わせるのも簡単ではない。
やっぱり雪が作り出す密室って憧れる。

ミステリ好きの要求にも似ているこのゲームの目的。
ぶちおもミステリ小説には度肝を抜かれたいんだから。
意味わからない状況で見つかるのがいいんだから。
どうやって?
なんで?
を悶々と考えるだけではなく、お互いに知見を出してゴールを目指したっていい。
リアル脱出ゲームの面白さにも通じている気がします。

いや、この5人がイカれているのは大前提なので、そこは一線を画していますが。
リアルでやること、仲間で検討を重ねること、答えを導くことで得られる脳汁の効果は似ていると。

今作ではザンギャ君が披露した謎が一番、嫌だったなぁ~w
そこまでして密室を作ろうという心意気は買うけど、色々とメンタルにきそうなトリックでした。
思いついたとしても実行を体が拒むようなもの。
斬新すぎたけども!
このトリックをこなせる人も限られるでしょう。

自分がトリックを作るなら。
ふむ。
いや、犯人になるってやっぱり大変だからなぁ。
そもそも犯罪したくないから、ぶちおはトリックを本気で考えることがない気がします。
まず、本気でやるぞという熱意が必要だなぁ。

そしてトリックによっては体力も必要。
被害者の抵抗があったら戦えるか。
先に抵抗を無くしていたいなら、速攻で効く睡眠薬とかが必要か。
どうやってそんな薬を入手するのか。
自然に手に入れないと、こういうところから足がつく。

考えていたトリックもうまくいくとは限らない。
不測の事態が起こった時に、冷静に対処できるか。
メンタルの強さも必要。

あ、やっぱりぶちおには真剣にトリックを考える土壌が整ってなさすぎるw
この5人のゲームを、安全なところからのぞき見るので精一杯やで。

今作のラストの謎出題者はコロンボ。
予告とはちょっと違う部分もありましたが、密室といえる状況で発見された2人の死体。
犯人はどこから侵入して、どうやって退却したのか。
コロンボから提供された写真にも、不自然な欠番が。
いつものドライさでとりつく島もないコロンボに、必死で食い下がる4人。

謎が解けた時、また新たな芽生えが…

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まとめ

『密室殺人ゲーム2.0』
前作の謎を超えたい5人。
よりありえない、より意味がわからない。
誰も予想がつかないような、驚きに満ちたトリックを全身全霊でぶちかます。

そしてシリーズ最後の作品。
マニアックスに続きます。

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