ぶちおの本棚

『魔神館事件 夏と少女とサツリク風景』狙いは12星座のフルコンプ。人の力を超えた、魔神のなせる業か。

2024年7月25日

ぶちおです。おすすめ小説のご紹介です。

今回は『魔神館事件 夏と少女とサツリク風景』迷探偵・黒彦シリーズの第1弾です。
孤立した館、見立て殺人、異常な館の主人とくれば、もう連続で事件は起こります。
起こらないわけがない。
残忍な殺害方法、終わらない事件、消える天才といったミステリ好きにはたまらないでしょう!

普通の高校生は、事件を解決出来るのか!?

魔神館事件 夏と少女とサツリク風景 迷探偵・黒彦シリーズ (角川文庫)

新品価格
¥858から
(2024/7/16 12:44時点)

こんな人にオススメ

☆舞台はやばい館がいい
☆警察も来られない状況がたまらない
☆見立て殺人に目がない
☆くせあり変人が好き

書籍概要

◆作品名 魔神館事件 夏と少女とサツリク風景 迷探偵・黒彦シリーズ
◆著者  椙本 孝思
◆出版社 KADOKAWA

覚えのない女性からの電話により、「魔神館」と呼ばれる洋館の落成パーティに参加することになった高校生・白鷹黒彦。果たしてそこは、12星座に見立てた石像と、妙な配置の部屋がひしめく妖しげな洋館だった。そんな館での夜、不可解な殺人事件が発生。嵐で孤立する中、その後もありえない状況で次々と人が殺されていく……犯人は参加者か、それとも館に佇む魔神像の仕業か!? 黒彦と世界最高の知性・犬神清秀の推理が始まる!

Amazon『魔神館事件 夏と少女とサツリク風景 迷探偵・黒彦シリーズ』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『魔神館事件 夏と少女とサツリク風景』
お祝い必須!迷探偵の誕生です。
普通の高校生が急遽探偵役に任命されても、そりゃ困るというものです。
とある漫画界でお馴染みの高校生探偵のレベルが高すぎるんだぞw
普通は頭真っ白になって何もできないのがデフォルトということを改めて認識しました。

主人公は白鷹黒彦、ふつーの男子高校生。
夏休みに、今は亡き父の知り合いから魔神館に招待されます。
とくに何も予定もないし、ふらふらと山奥に佇む古い館に泊まりにいく。
普通なら断る案件ですが、父との思い出もあまりない、もしかしたら父のことを知ることが出来るかもしれないと足を運びます。

館には主人、執事、メイドが2名。
来客は黒彦を含めて8名。
計11名が滞在することになります。

来賓客同士の繋がりは薄く、それぞれがどうして呼ばれたのかピンと来ない。
しかし、この11名に故人である魔神館の建築家をふくめると12星座が揃います。
わざわざ12星座が揃うように主人が招待したわけです。

魔神館に飾られている魔神像の台座にも12星座をかたどった石像がある。
故人の建築家は獅子座、獅子をかたどった石像は不気味な詩にあるように牙が折れている。

風雨に閉じ込められてしまった魔神館から自力で出ることは不可能。
まぁ食糧はあるし、生活するのにしばらく不自由はない。
天気が回復したら帰ればいいと思っていると、連日遺体が発見される事態に!
当然のことのように、殺害された被害者に対応する星座の像は、詩にそって破壊されていく…

いやぁ、王道エッセンス満載で嬉しい限り。
疑心暗鬼がうまれて、死亡フラグびんびんたてて自室に閉じこもった人が狙われちゃったり。
殺害方法も激しめで、人間離れした怪力じゃないと出来ないような犯罪です。
姿も見えない、本当に魔神の力なのか?
アリバイ、密室、殺害方法、考える間もないくらいにどんどん死体が増えていく!

黒彦は成り行きから探偵役に。
来賓の中には天才とよばれる元・教授の犬神清秀と妹の犬神果菜がいます。
ズバ抜けた頭脳という点では、犬神の方が探偵役にふさわしいのですが、とにかく事件に興味がない。
天才ゆえの変人。
会話がぶっ飛んでいて、欲しい答えが返ってこない。
妹の果菜も、年齢よりもずっと幼く、世間知らず。というか世界をあまり知らないのかなという。
果菜にとっては犬神がすべて、なので変なところも似てしまったのかも。
空気を読む、気を遣うということに無頓着というか、アンテナが働かないのが犬神兄妹です。

ということで、黒彦が脳を活性させて頑張ります。
ただ、彼は普通の高校生。
死体を見て検屍はできないし、各自のアリバイの隙をつくことは出来ないし、ありえない殺害トリックを華麗に暴くということは難しいわけです。
でも、謎を解かないと!という責任感はある。

斬新でした。
とりあえず、犯人であろう人を指名する。
いつ、どうやって、凶器はなんだ、といったことは一旦保留。
まずはこの人だろう、と犯人当てを披露するシステム。

黒彦が一生懸命だからかな、館にいる大人がみんな優しいw
例え推理が外れていても、誰もマジギレしない。
むしろ素直にゲロっちゃう人もいたり。
そんな斬新推理ショーが繰り広げられてびびります。

「あなたが犯人だ!」
からの
「間違っていました、すみません」
「いや、もう気にしてないよ」
なんて会話が、こんな陰惨な館で起きていいのでしょうか。
ぶちおは黒彦に優しく言えないなぁ。
犯人だと間違って名指しされたら、烈火のごとく怒り狂って迷探偵とは口をきかないことでしょうw

もちろん間違っている黒彦の推理を、正しい道に導くのも大人の役割。
ふらふらぷわぷわしていた犬神が、館の秘密をゲット。
最終的にはきちんと連続殺人の謎は解決します。
トリックについては、そんなん言われたらもう~と脱力しましたw

ちゃんと解決のための伏線は書かれています。
あの時見てたこと、あの時言ってたことの違和感に気付ければ、前半の時点でトリックの大枠に気付けちゃうでしょう。

黒彦がどんどん頼れる少年になっていくのも楽しみポイント。
たくさんのキャパオーバーな経験にもまれると急成長するんだなぁ。
シリーズ2作目以降も、きっと黒彦の受難は続くことでしょう!

ちなみに12星座がポイントだった魔神館での事件。
ぶちおは山羊座なので、山羊座のキャラを無意識に応援。
いや逆に山羊座が犯人ってのもいいな、と謎の星座贔屓をしながら読んでいました。
(『ヤギと大悟』が好きなのも、山羊座だからなのか?)

そういえば山羊座って下半身がお魚なんです。
山羊座のマークも、下半身の部分がくるんとなっていて魚のひれっぽくなっています。
各星座の成り立ちも気になっちゃうやもしれません。

魔神館事件 夏と少女とサツリク風景 迷探偵・黒彦シリーズ (角川文庫)

新品価格
¥858から
(2024/7/16 12:44時点)

こんな作品もおすすめ

『魔神館事件 夏と少女とサツリク風景』を読んで、見立て殺人がおこる作品を選書してみました。

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

新品価格
¥693から
(2024/7/16 13:24時点)

『占星術殺人事件 改訂完全版』
密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。
彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。
名探偵・御手洗潔を生んだ衝撃のデビュー作、完全版!

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 VI 見立て殺人は芥川 (角川文庫)

新品価格
¥862から
(2024/7/16 13:27時点)

『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 VI』
都内で改造ガスガンを使った殺人事件が発生。
被害者2人のうち1人の胸の上に芥川龍之介の「桃太郎」が小冊子に綴じられて置かれていた。

新訳 僧正殺人事件 (翻訳版)

新品価格
¥550から
(2024/7/16 13:28時点)

『新訳 僧正殺人事件 (翻訳版)』
見立て殺人ものの代表と称される名作。
マザー・グースの歌詞をなぞるように、コック・ロビンなる人物が弓と矢で殺される。
犯行声明として届いた手紙には「僧正」という署名があった。

金田一少年の事件簿 File(11) 金田一少年の事件簿 File (週刊少年マガジンコミックス)

新品価格
¥660から
(2024/7/16 13:29時点)

『金田一少年の事件簿 File(11)』
1枚のタロットを残し、宿泊客のひとりが姿を消す。
そして見つかった死体は、タロットに見立てたかのように風車に磔(はりつけ)にされていた!!
運命のカードに導かれるように、次々と起こる連続殺人

まとめ

『魔神館事件 夏と少女とサツリク風景』
ちょいとイカれた建築家が建てた館。
ちょいとイカれた建築家に崇拝した館の主人。
ちょいとイカれた主人によって招かれた、腹に何か抱えている来客たち。

過去から現在、魔神館に宿り続ける狂気が事件を起こさせるのか。
恐い事件だけど恐怖がそこまで強くならないのは、くせ強の犬神兄妹のおかげ。
一種の清涼剤のような役割が絶妙です。

犬神兄妹にこねまわされる黒彦を応援しちゃう!!

魔神館事件 夏と少女とサツリク風景 迷探偵・黒彦シリーズ (角川文庫)

新品価格
¥858から
(2024/7/16 12:44時点)

~ぶちおのYouTubeはこちら
~ぶちおのグッズはこちら
📚ぶちおの本棚記事一覧はこちら
🐥鳥記事一覧はこちら
🌞日常記事一覧はこちら
✨劇団四季一覧はこちら

-ぶちおの本棚
-,