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ぶちおの本棚

『満願』何よりも大事で誰にも譲れない強い願い。どんな手を使ってでも成就させる。

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ぶちおです。

今回は『満願』をご紹介しようと思います。
ぶちお電子書店員時代でも、常にランキング上位にいた作品です。
そして毎度の読むタイミングを逸していましたが、やっとこ読了です。

いやぁ~どのお話も痺れました。

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こんな人にオススメ

☆ミステリーを楽しみたい
☆短編集を読みたい
☆人間の底の怖さを垣間見たい
☆米澤穂信先生ファンじゃ

書籍概要

◆作品名  満願
◆著者   米澤穂信
◆出版社  新潮社

死にたい人たちのあいだで、随分評判らしいのよ。

磨かれた文体と冴えわたる技巧。この短篇集は、もはや完璧としか言いようがない――。驚異のミステリー3冠を制覇した名作。

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

Amazon『満願』作品内容より

ぶちおの読書感想文

『満願』

短編集を読むと、あれ、このお話似てない?と、既視感に襲われる作品があったりします。
そして各話でトリックのレベルが歴然と違っていることもままあります。
違う作家さん達が集まった短編集ならまだしも、同著者の短編集って系統が似ているのは多少仕方ないところです。

が!
『満願』は全話面白かったです!お料理の仕方が豊富やで!
好みもあると思いますが、なんでやねんと思っちゃうお話が1つもなかったです。全話素敵。
三冠獲得、常にランキング上位の実力は伊達ではなかったです。

ホラーっぽいものから、青春時代の甘酸っぱさを感じるものまで、幅広いです。
ミステリー要素も抜群、伏線回収でキャン!とやられます。
そういうことか~
人物達の描写もうるさくないのに克明です。
ドラマ化必須やろ!と思っていたら、さすがNHKさん。
すでにされていましたw

第1夜「万灯」

チョイスしたお話もさすがです。
ぶちおの中の上位3話がドラマ化されていました。

それぞれの主人公達や、登場する人物達が腹の中に持っている願い。秘めている願い。
会社の事業拡大のため、大切な人と一緒にいたいため、知られたくない過去を隠すため、
願いは強い動機となって、事件をひき起こします。

・夜警
交番勤務中、若い巡査が命を落とします。
先輩警官いわく、あいつは警察に向いていないと。
巡査の性質を見抜くことが大事です。

・死人宿
自殺の名所として知られる宿に、かつての恋人を追ってきた男。
この宿に滞在している誰が死のうとしているのかを推理しましょう。
手がかりは、元恋人が発見したという遺書です。

・柘榴
家族を守るために、姉妹は何を約束したのか。
母親と娘の視点から、真相にたどり着けるでしょうか。
工作の描写をしっかりと想像するのがオススメです。

・万灯
ただ純粋に、会社に貢献したいと思った男は人を殺めてしまう。
完璧だったはずなのに、やはり罰は等しく与えられます。
ぶちお、一番痺れました!

・関守
心霊記事を書くため、ネタ探しにやってきたライター。
休憩がてら、1人の老婆に心霊ネタの取材をしていくのですが…
過去に遡り、怪奇な事故の原因を突き止めましょう。

・満願
金貸しを殺害した罪で逮捕された女性。
勾留中、夫が病死したことを知ると控訴を取りやめ大人しく刑に服します。
願いが叶ったら目を入れる達磨は、片目の状態で何を目撃したのか。

どれも、願い。
願いを叶えるために、出来うる最善の手を打ったがゆえに不幸にもなる。
願いを叶えるぞ!の意気込みは大事ですが、その反動で誰かは不幸になっちゃうこともあるのかも。やも。
でも、譲ってばかりの人生なんて無味無臭ですものね。
ある程度ワガママは必要なのかもしれませんが、作中の犯人タイプのような人間になると確実に不幸になる気もします。

こんな小説もおすすめ

『満願』は、2014年に山本周五郎賞を受賞しております。
山本周五郎賞は、すぐれた物語性を有する小説・文芸書に贈られる文学賞とのこと!
過去受賞作から、選書してみました。

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疑う隙なんぞありはしない、あれは立派な仇討ちでしたよ。
歴史ものってなかなか読まないな、という方にこそ!

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『後悔と真実の色』
“悪”を秘めた女は駆除する――。
サイコパシーを感じる殺人鬼と、対峙する刑事。

まとめ

『満願』
反芻が楽しい短編集です。
読み終えて、犯人当たったー!トリック分かったー!とかではなかったですw

あぁ、この人にとっては罪を犯してしまうよりもこれが大事だったのか。
おぉ、この時の決断がすべての始まりであり、転落の一歩目だったんだ。

ないまぜの感情を楽しみましょう。

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