ぶちおです。
今回は『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』全9巻をご紹介しようと思います。
古代エジプトは、浪漫がぎちぎちに詰まっています。
ナイル川のほとり、王家の谷、ピラミッド、死者の書、ミイラ。
端的なワードを列挙しているだけで、なぜか爛々としてきます。
女性でありながら、当時のエジプトを治世したハトシェプストの苦悩と壮大な夢。
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こんな人にオススメ
☆古代エジプトが大好物
☆掟破りの主人公が好き
☆歴史ものがたまらん
☆エジプト展とか、毎度気になっちゃう
書籍概要
◆作品名 碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-
◆著者 犬童 千絵
◆出版社 KADOKAWA
現代から約3500年前、古代エジプト。男性が王座につくことが当たり前だった時代に、女ファラオとして国を治めたハトシェプストという人物がいた。“男装の女王”と謳われるほど、強く気高く生きた彼女の激動の生涯、その幕が、いま上がる! 新鋭・犬童千絵が鮮やかに描き出す、古代エジプトの風景とそこに暮らす人々、そして自ら運命を切りひらいたひとりの女性。漫画誌ハルタで連載中のヒストリカル・ロマン、待望の第1巻!
ぶちおの読書感想文
『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』
古代エジプトを題材とした作品は、なんだかんだで気になっちゃう。
美術館でのエジプト展も何度か足を運んだことがあります。
全てが刺さるといいますか!!
ヒエログリフも可愛くて、自分の名前をヒエログリフで彫ってもらった名札を購入しました。
ニンテンドー3DSの守護神としてつけています。
棺とか、キラッキラのマスクとか、ミイラ作りに使われた壺も、壁画も、全部が凄いなと!
エジプトの神様も造詣から、出自から、刺さりまくりです。
最古のゆるキャラと言われたメジェド様も好きだけど、ホルス、アヌビスが好きだなぁ~
動物感もありつつ、カッコ良いぜ。
ミイラやピラミッド、神殿などもエジプトの文化の結晶でたまらんもの!
電気もない、重機だってなかったのに、どうやってあんなに巨大なものを作れたのかとか。
一昔前はピラミッドは奴隷を虐げて作らせてた説がありましたが、今ではピラミッド作りは公共事業だった説が有力です。
仕事なくなる時期だから、国がピラミッド建設という仕事を民に与えましょうと。
そう言われると、しっくり。
ファラオは偉大だったんだなぁ~
本作は女性でありながら王として活躍したハトシェプストが主人公です。
当時のエジプトも、王になるのは男児。
女系なのに、王になるのは男性というのがなんかちぐはぐにも思うのですが。
そして王の血筋を守るために、近親婚も多かった時代です。
ハトシェプストも異母兄であるトトメス2世と結婚しています。
王族につきまとう世継ぎ問題、自堕落でも強い力をもつ神官たち、他国との領土争い。
ハトシェプストは王として自ら前に出て政治をしたかった。
みっちみちの骨太ストーリーでした。
女なんだから、女はしゃしゃるな、と冷たい視線や陰口を浴びても、国民のためにいい世を作りたいというハトシェプスト。
偉大な王だった父親の姿をみて、自分もそうなりたい。
戦で勝つことも大事だけど、なるべく交渉でよりよい生活になるようにしていきたい。
交易という手段で他国といい関係を結べないか。
かっこいいぞ!
そして賢い!
建設中に事故で傷ついた人がいれば、駆け寄って声をかけたい。
捉えられ捕虜となった人も、傷付けずに自国に返してあげたい。
奴隷といえど、ひどい仕打ちをするべきではない。
ハトシェプスト、優しい。
でも、そんな優しさや理想論だけでは誰も動かない。
夫になったトトメス2世は血気盛んボーイ。
男は戦だーそれが強さだー!父のように武力で敵を蹴散らして領土を広げるんだー!エジプト最強ー!!
と、ある意味わかりやすいタイプの王。
ハトシェプストとはことごとく噛み合いません。合うわけがない。
でも夫婦なので無下にも出来ない。
王妃としては世継ぎ産まないとだけど、ハトシェプストは固辞します。
私の体に触れるなと。
そういう態度が王だけではなく、他の要人の目にも余るのは時間の問題。
そうこうしている内に、側室というか妾というかがハトシェプストよりも先に王の子どもを産んだり。
ぽやぽやしてたら、王だって殺される時代じゃから!
誰に寝首かかれるか分からないから!
そうじゃなくても疫病とか飢饉とか、サバイバル時代だから平均寿命も短いです。
子どもが生まれても、無事に成人するかもわからない。
そんな危なっかしい状況の中、どうしたらハトシェプストは自分の理想を叶えられるのか。
敵対勢力を黙らせるには、国難にはどう立ち向かうべきか。
女には何もできないやん勢をぺいっと退ける強さに痺れます。
ドロドロもあり、悔しさもあり、後悔もたくさんあるけれど。
史実を基にしつつ、ハトシェプストの生き方が描かれています。
こんなこともあったかもしれない、と思いを馳せるのも良いですし
どの部分なのか史実かを調べるのも面白いです。
この後の研究や発見によって、また歴史の見方が変わる可能性もありますし。
ハトシェプストの死因も、残っていたミイラから割り出せるとか科学って凄い。
作中に登場する像や神殿は現存しているものもあります。
斬新な造形美の像とか。
何とも言えないフォルムだな~と思って調べてみたら、そのままの像の写真を見つけました。
神殿の描き込みとかもエグイけども!
石柱にびっしり描かれた絵や文字、神殿の外観も抜かりがありません。
やみくもに作られているわけではなく、きちんと計算されて設計されていると。
書かれている文章は、この神殿に眠るのは誰誰で~こんな偉業を成し遂げて~とか。
人力で作って、それが数千年遺るとか素敵すぎるやん。
どこかの壁画には、宇宙人や円盤みたいな描写があると聞いたことがあります。
当時の人は、もしかしたら地球外生命体と接触していたのか?!
それとも当時の人も想像でデッサンしたのかもしれませんし。
背景や当時の暮らしがパッとわかる描写はありがたい。
王族貴族あるあるといいますか、権力ある人は珍獣囲いがちとか。
ヘビクイワシが出てくるのですが、当時の人もヘビクイワシの魅力にメロメロだったんだろうなぁとか。
エジプトの人たちは猫大好き。
女神バステトは猫の姿ですし、猫のミイラも作るくらい愛情深いとか。
カバは今も昔も、獰猛だし。
カバオくんとか、イソジンのキャラのイメージが強い人は要注意です。
カバ、つえーから!!
毎巻末のおまけページも充実しています。
可愛いカバとアヌビスが、エジプトこぼれ話をコミカルに解説してくれる。
古代のパンはジャリジャリで歯にダメージ!
ふわふわパンを食べられる今に感謝です。
ハトシェプストの少女時代から、死を迎えるまで。
彼女が求めていた理想の国は、どんな力を以て実現させたのか。
浪漫がだだ漏れて、溢れっぱなし!!
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まとめ
『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』
着実に力をつけていき、邪魔をする者には冷酷に対処する。
まずは平和的な話し合いを、それでもなめる態度をとるなら強硬な手段も辞さない。
国民の未来のために。
辛酸をなめさせられても、落ちぶれていくことはしない。
決してぶれない強い人かと思いきや、弱さを吐き出すことも。
ハトシェプストの壮大な夢。
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