ぶちおです。
今回は『透明人間の納屋』をご紹介しようと思います。
島田荘司先生の作品、久しぶりに読みました。
御手洗シリーズの読破をするんや!と意気込みつつ、まだ叶っていません…くぅ…
子ども視点から見る大人の事情、回想しながら辿る不可解な人間消失。
透明人間の納屋には、何が隠されているのでしょう。
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こんな人にオススメ
☆子ども視点から想像したい
☆予想外の結末を欲している
☆大人ってなんだろなって思いながら大人になった
☆透明人間になってみたい
書籍概要
◆作品名 透明人間の納屋
◆著者 島田荘司
◆出版社 講談社
昭和52年夏、密室状態のホテルの部屋から一人の女性が消え失せ、海岸で死体となって発見された。孤独な少年・ヨウイチの隣人で、女性の知人でもあった男は「透明人間は存在する」と囁き、納屋にある機械で透明人間になる薬を作っていると告白する。混乱するヨウイチ。心優しき隣人は犯人なのか? やがて男は外国へ旅立ち、26年後、一通の手紙がヨウイチのもとへ届いた。そこには驚愕の真相が記されていた!
ぶちおの読書感想文
『透明人間の納屋』
学生時代、授業中に先生が唐突に「透明人間に1日だけなれるとしたら、みんなは何をするか」と聞いてきました。
なんでそんな話になったのかは覚えていないですが、各自が好き好きに回答を。
ウケ狙いの男子学生は「女子更衣室とかですかね、へへ///」と答えて教室が笑い声であふれたり。
ぶちおは「国家の中枢機関に忍び込んで秘密をゲットしまくる」と答えました。
それを元手に、金を生み出そうというゲスの極みぶちお。
冗談半分で、大半はやれないことや、やったら怒られるようなことを回答していました。
そんな中、1人の女子学生は「透明人間になりたいと思わない」と。
みんなでキャッキャしていた中で、水をぶっかけるような答えでした。
いや、そうじゃないじゃん…
出来ないことを透明になることで出来るとしたら、たらればの話なんだからもっと夢もてよと。
教室内には若干ひんやりとして空気が漂いました。
先生がどうして透明になりたいと思わないのか聞くと
「誰にも見えない、わかってもらえない、話も出来ないという状況に1日だとしても耐えられないと思うから」と回答していました。
なるほど。
透明人間になった瞬間はテンション大盛り上がりで、一通り普通ならできないことをやるかもしれない。
でもそのフィーバータイムが終わったら、急に虚しくなるのというのも想像が出来ます。
先生の質問に正答なんてないので、やりたい放題やるもよし、何もしないもよし。
なりたい人もいれば、なりたくない人もいる。
彼女の発言は、ぶちおにも強烈に残っていたので何十年経った今でも思いだせるなぁ~
そして本作を読了した後も、この時の彼女の回答を真っ先に思い出しました。
透明人間の強みってなんだろう。
主人公はヨウイチ。九歳。母子家庭で育ち、母は夜のお仕事で生計をたてています。
学校での友人関係は希薄、でも隣の印刷所に勤めている男性・真鍋とは仲良し。
父親がいないヨウイチにとって、真鍋は大事な存在です。
色々なことを教えてくれて、ヨウイチが寂しくないように気遣ってくれて、印刷所の納屋にあるとっておきのものも教えてくれる。
ヨウイチ視点で物語は進むので、大人の暗部というか。
子どもには知られたくないことをどうやって隠そうとしているのかとか、大人の立場からすると困ることって多いなぁ~
よくわからなくても、なんかごまかそうとしてることがわかる。
子どもの能力侮るなかれ。
子どもの「なんでなんで」が耳に痛いこともありますが、真鍋はヨウイチには真摯に向き合ういい大人です。
九歳の子どもに地平線までの距離とか、天動説とか教えてくれる存在ってなかなかないで!
その難しい話もしっかりと咀嚼して聞いているヨウイチも凄いけども。
透明人間は存在している。すでに近くに潜んでいると真鍋はヨウイチに教えます。
透明人間になれる薬だってあるし、透明人間になったがために死んでしまった人間もいると。
ん?!
さっきまで教えてくれた天動説とは違って、透明人間というのはマユツバものすぎる!!
でも真鍋は真実であるかのように、妙なリアリティをもって話します。
納屋にある、開けてはいけない箱の中に、透明人間に繋がる何かがあるのか…
ヨウイチも知っている女性が、ホテルの一室から消失します。
部屋は海を見られる立地、大きい窓はハメ殺しだし、風呂場にある窓もわずかな隙間しかない。
唯一の出入り口のドア前には従業員が作業で張り付いている状況だった。
誰にも見咎められないで部屋から出て行くことは到底不可能なはず。
それでも女性は消えてしまった。
数日後、ホテルから離れた海中で女性の遺体が発見されます。
遺体の状況は真鍋がヨウイチに語っていた透明人間の特徴にも通じる…
ホテルからの消失だって、透明人間なら可能ではないのか…
だって透明なんだから誰にも見つからないで、どこにだって行けるでしょう…
本当に透明人間はいるのか?
透明人間の犯行を立証することなんて出来るのか?
もし透明人間が犯人なら、透明人間に詳しい真鍋が関与しているのか?
読みながら、透明人間を信じていいものかぐるぐる考えました。
いやぁ~とんでもスキルを持っている透明人間が犯人!一件落着!は無理がある~納得出来ないもの。
でもやけに真実味がある真鍋の透明人間講義を聞いてしまっていると、う~ん!
ヨウイチが大人になって、一通の手紙を受け取ります。
真鍋が話していた透明人間について、未解決だった事件の真相、これまでの謎が解けていきます。
言われてみれば、なんてことないようなものでも、言われるまでは気付かないんだなぁ~
まさかヨウイチと真鍋の交友が、こんな形で終わったんだと思うとグッとくるものが。
その方向に着地するんだ?!と驚きました。
真鍋には下心があって、ヨウイチを騙す意図で透明人間の話をしたりしていたんだと思っていましたが。
ぶちおの推理は90度くらい違った方向に向かっていましたw
時代と、場所と、印刷所の納屋と、キーワードを整理すれば90度の誤差は生まれなかったか…
透明人間に、なりたいか…
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まとめ
『透明人間の納屋』
鍵のかかっている納屋、中身を知れば後悔すると言われる箱、死ぬ前に異様に怯えていた女、真鍋が語る夢のような外国への移住の提案。
ヨウイチの周りには、普通なようで普通ではないことが多い。
教えてくれることが全て善意とは限らないし、事実ではない可能性もある。
宇宙人も肯定されている現代、
透明人間だって、いるのが普通では?
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