ぶちおの本棚

『誘拐症候群』続発する誘拐。身代金受け渡しに失敗した男は、1人事件に立ち向かう。

2024年10月15日

ぶちおです。

今回は『誘拐症候群<新装版>』をご紹介しようと思います。
症候群シリーズの第2作目です。
※1作目『失踪症候群』はこちら

姿の見えない誘拐犯を、追及できるのか。

誘拐症候群 <新装版> (双葉文庫)

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こんな人にオススメ

☆クールな男が熱くなるところを見たい
☆前時代的なおやじ思考は許せない
☆懐かしのネットリテラシー時代を思い出したい
☆徹底的に悪を追い詰めるには、法外なことも必要だ

書籍概要

◆作品名  誘拐症候群<新装版>
◆著者   貫井徳郎
◆出版社  双葉社

誘拐事件が連続して起きていた。しかし子供の家族がなんとか払える身代金を要求するため、表沙汰にはなっていない。今、警視庁人事二課・環敬吾は影の特殊工作チームに招集をかける。だがその時、メンバーの一人で托鉢僧の武藤隆は、知り合いの子供が誘拐された事件に巻き込まれていた――闇に潜む卑劣な犯人を必ず炙り出す! ページを捲る手がとまらない、大人気「症候群シリーズ」新装版・三月連続刊行、第二弾!

ぶちおの読書感想文

『誘拐症候群』
前作で明らかになった、特殊工作チームの存在。
4名で構成されていて、リーダーの環は警察で勤務中です。
署内では目立たないようにしていて、上層部からの秘密の依頼を誰にも気取られることなくこなしている。
正攻法では暴けない犯罪を、独自のスタイルで捕まえるのが環の特殊工作チームです。

他のメンバーは全員、元警察官。
個人の能力は高いのですが、警察からドロップアウトした…ということは、どこかに問題があるということで…
平常時は探偵や建築業を生業にしつつ、環の呼び出しがあれば事件解決のために集う。
事件を片付けたら、また環の呼び出しがあるまでは解散する。

本作のメインは、メンバーの1人である托鉢僧の武藤です。
口数は少なく、ただただクールに仕事を遂行していた彼。
ぶちおの脳内では、もちろんイケメン設定です。

武術にも長けているけど、コミュニケーションには問題がある。
チームの面々とも、積極的に意思疎通はしない。
する必要はないと思っている。
ストイックに調査をすることを良しとしています。

そんな武藤に、なんと新しい友人ができます!
武藤が托鉢をしている時に、近くでティッシュ配りをしていた高梨。
なんとなくお互いに存在を認識して、軽い会話をするようになって、高梨の具合が悪くなった時に介護したのを機に友人と言えるくらいの間柄になっていきます。

武藤にもそんな存在が!とほっこりするのもつかの間、高梨の生まれたばかりの息子が誘拐されます。
身代金は1億。
ティッシュ配りをしている高梨にはでは、とてもではないが支払える能力はありません。
犯人の狙いは、高梨の父親。
大手企業の社長である父親に身代金を支払わせるのが犯人の狙いです。

高梨は父親と反駁して家を出ていましたが、息子の命には替えられない。
不服ながらも父親に頭を下げて、身代金を用意します。

犯人の要求はさらにもう1つ。
身代金の引き渡しに、武藤を指名してきます。
どうして武藤を指名したのか、いつ武藤の存在を知ったのか。
そもそもティッシュ配りの男性の父親が大手企業の社長だと、どうやって知ることができたのか。

引き渡し役を受けつつ、犯人像を推理していく武藤。
まずは高梨の息子が無事に戻ってくること。
次に誘拐犯を捕まえること。

作中でもあるのですが、赤ちゃんを誘拐ってちょこっと違和感ないでしょうか?
自分で動けない赤ちゃんは、御しやすいようでいてお世話も大変。
それでも誘拐犯は高梨の息子でないとダメだったのか。

しかし誘拐の後、身代金の1億をが燃やされていたことが判明します。
せっかく手に入れたお金を燃やすって、どういう意味じゃ??
どんな理由があれば、燃えるのか。身代金。

武藤と一緒に、誘拐犯を追い詰めましょう。
前作では鉄仮面のようだった武藤が、一生懸命あちこちを駆け回る姿に感動しました。
長い付き合いでもないのに、友人のために奮闘できる。
素晴らしい存在ができたんじゃなぁ。

底本が2014年なので、今では考えられない描写もちらほらと!
これもまた本を読む醍醐味です。

高梨の誘拐以外にも、不思議な誘拐は起こっています。
被害にあった人達の共通点はブログをしていること。
顔を隠さずに家族写真も載せるし、自分のプロフィールもありのままさらけ出す。
そこから犯罪者に目を付けられてしまいます。
いや、個人情報がこんなにダダ漏れの時代だったのか!!
たった10年前ですが。

そういえば、タウンページをご存じでしょうか。
個人の氏名や電話番号が載っていた電話帳です。
黄色い表紙の、あの分厚い重い本。
電話ボックスには1冊備え付けられていた魔法の本。

ネットが未熟な時代、タウンページを開いてお店を調べて電話していました。
困った時は電話帳。
ぶちおも田舎に帰った際、電話帳で番号を調べて迎えにきてもらいました。
小さく書かれた電話番号を見るだけでも楽しかったなぁ~

電話番号サービス104も。
ぶちお母は出前を頼む時、104でお店の番号聞いていました。
今でも104はサービス中とのことですが、どれくらいアクセスあるのかなw

個人情報はがむしゃらに守っても、抜かれていますからね。
気をつけましょう。
善人だけがいる世界ではないので!

誘拐という卑劣な犯罪に立ち向かう環のチーム。
武藤は環と合流せず、高梨の事件の犯人を追います。
環が仕掛けた罠。
環のやり方に違和感を覚える武藤。

環の冷徹さも、光ります。

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まとめ

『誘拐症候群』
誘拐が成功したことに、悦に入る犯人。
自らの手を汚さず、バレない誘拐の方程式。

誘拐が成功したのに、身代金は燃やされていた。
誰が、どうして、こんな誘拐を起こしたのか。

友人のため、武藤を突き動かす衝動!

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