ぶちおです。
今回は『失われた貌』をご紹介しようと思います。
年末にかけて、あれよあれよと受賞祭りだった本作。
それはもうハードルあがりまくっていました。
人情的なところに重きがあるかなと。
猟奇的に見える謎も真相がわかると、ほう、と納得。
個人的にはバーのマスターのやりとりが好き！
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こんな人にオススメ
☆家族の絆いいよね
☆一匹狼刑事が好物
☆怪しい人だらけの中から推理したい
☆地元新聞の虜
書籍概要
◆作品名 失われた貌
◆著者 櫻田智也
◆出版社 新潮社
山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対応が不十分だという投書がなされた直後、上層部がピリピリしている最中の出来事だった。
事件報道後、生活安全課に一人の小学生男子が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。
間を置かず新たな殺人事件の発生が判明し、それを切っ掛けに最初の死体の身元も判明。それは、男の子の父親ではなかった。顔を潰された死体は前科のある探偵で、依頼人の弱みを握っては脅迫を繰り返し、恨みを買っていた男だった。
ぶちおの読書感想文
『失われた貌』
12月になるとこのミスをはじめ、ミステリ小説のあらゆる賞の情報を目にします。
そうなるとランキングをとりあえず見回して、気になるものをカートにぶっこんでいきます。
そうして本棚が充実してほくほくです。
本作は、下記総なめと！そうなれば読むしかないでしょう。
「このミステリーがすごい！ 2026年版」（宝島社）国内編1位！
「週刊文春ミステリーベスト10 2025」（週刊文春2025年12月11日号）国内部門1位！
「ミステリが読みたい！ 2026年版」（ハヤカワミステリマガジン2026年1月号） 国内篇1位！
警察視点で進みつつ、何気ないことも伏線になっている。
全然別の事案かと思ったら、まさかのリンク！
日常の捜査風景を1日、1日追っていきます。
正直、最初の方の捜査ではとくに激しい動きもないので、このままでどうやって犯人に辿り着くねん。
と、そわそわしましたが、ラストに向けてバババーと結ばれていきます。
主人公は看護師の妻と、中学生の娘をもつ日野雪彦。
事件捜査もありますが、家庭内での立ち位置もあります。
受験を控えた娘。
夫婦揃って勤務時間が定まらない職業なので、娘のことがとかく心配。
途中途中、しんどい捜査よりも、家庭内不和の方がしんどいんじゃないかと思いました。
警察においても組織内での立場だったり、縄張り争いもあれば権力の綱引きもある。
上の顔色を適当にうかがいながらも、事件の解決はしなければいけない。
殺人もあれば、不審者事案もある。
生活安全課にいる日野の同期は、不審者対応が不十分として地域の新聞に投書されてげっそりしていたり。
同期をちょこっと心配しつつも、会えば憎まれ口をたたき合う関係。
ふと、昔よりも今の方が不審者対応も大変やろうなぁと。
犯罪者の手前、不審者なんで主観的なものも多そうですし。
不審者に間違われないために自衛しないといけない時代なのでしょうか…
世の中の謎すぎるヘンテコニュースはダイアンさんのchで収集しています。
嘘だろ？と思うような不審者への注意喚起！
こうなってくると、警察も人手足りないやろう！
さらに、不審者通報を主題としたゲームもあります。
出会う人出会う人、ほぼ通報したい人ばかりですが、誤報をすると警察に叱られます。
不審者って、なんだろう…
はっ、不審者というワードで本筋がそれましたので戻ります。
不審者と同様、失踪者も多いです。
年間約8万～9万人が失踪している日本。
死んだという確認はできないが、失踪宣告されれば死者という扱いになる。
日野が出会った少年も父親が失踪者となりました。
すでに死者という扱いになっていますが、少年はどうしても納得ができない。
ニュースで身元不明の遺体が出たとなれば、警察署に行き父親かどうかの確認をしている。
そんなことを繰り返す少年を見て、日野は自分が担当している顔を潰された男の遺体を結びます。
もしかしたら、少年の父親かも…
その後の捜査で顔を潰された死体は少年の父親ではないとわかるのですが、その結果すら疑ってしまう。
検査は完璧なのか。
前提としているものが間違っていないか。
過去に出た身元不明の遺体の中に、少年の父親が紛れていないのか。
その引っかかりから、隠れていた事件の輪郭を掴むことに！
刑事の勘というか、いや読者もピンとくれば気付く伏線といえます。
ぶちおは平々凡々に読んでいて、後からびっくらこくことばかりでした。
名探偵になりたいのに、なれる日はまだ遠い…
日野は相棒をおいて自分の思いつきで単独行動するタイプ。
とあるバーでのマスターとのやりとりがかっこよ！
ハードボイルド味がありましたね～
渋いおじにしか出来ない腹の探り合い、好きじゃよ。
誰の顔が明かされるのか。
暴かれるのは過去だけか。
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