ぶちおの本棚

『眠りの牢獄』目覚めて失望するよりは、眠り続ける方が幸せか。過去の事故の犯人捜しが絶望の入口。

ぶちおです。

今回は『眠りの牢獄』をご紹介しようと思います。
友達のためを思ってしたことが、恨みをかってしまったり。
秘めたままの方がいい想いを言葉にしたことで後悔したり。
後ろめたい関係を切るに切れないことが、こんなことになるとは。

あの日、誰が彼女を突き飛ばしたのか。

眠りの牢獄 (講談社文庫)

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こんな人にオススメ

☆青春っぽさも少し感じたい
☆やば女の執念も覗きたい
☆犯人には同情の余地なしスタイルでいきたい
☆クズ男を成敗したっていい

書籍概要

◆作品名 眠りの牢獄
◆著者  浦賀和宏
◆出版社 講談社

階段から落ちて昏睡状態になってしまった女性をめぐり集められた3人の青年。3人は核シェルターに閉じ込められ、そこから出る条件は彼女を突き落としたのは誰なのか告白することだった。同時に外では完全犯罪の計画がメール交換で進行。ラストで明らかになるあまりにも異常な「切断の理由」。そして……!!

ぶちおの読書感想文

『眠りの牢獄』
友達はちゃんと選別しようって。
後ろ暗い思い出を共有している仲間って、事件起こりがちだもの。
何となくつるんでる、とか、切れてないだけの関係性ってなかなか明るさがないと言いますか。
腐れ縁といえばなんかい感じですが、やっぱり良くないことが起こる縁もあるなと。

昏睡状態の女性。
その女性と最後に会っていたのは3人の友達。
みんなで楽しく過ごしていたのに、何者かの手によって女性は階段から落ちて眠ったまま。
いつ起きるのか分からない。
ただ待ち続けている日々。

女性の兄が、荷物を片付けたいということで転落が起きたあの場所に3人を呼びます。
行かなくてもいいのに、と思うのですが、結局3人は集ってしまう。
そして女性の兄によって地下シェルターに閉じ込められます。
「あの時、妹を突き落としたのは誰か。回答が出たら解放する」というもの。

3人で犯人を決めればいい。
誰が犯人か本当のことはどうでもいいというのがミソです。
犯人なんていない可能性もある。
でも女性の兄はその回答では納得していないから、こんな凶行に及んでいる。
極限状態での犯人捜しがスタート!!!

一方で、外の世界ではまったく別の殺人事件が進行中。
2つの事件には、何か関連性があるのか…

ミステリの謎要素をこれでもか!と盛り合わせた作品です。
中編くらいのページ数ですが、とにかくあれもこれもみちみちに詰められています。
短い書誌の中にすら、潜んでますよ。
色々と。

ミステリ好きなら、読みながら「ん?」と勘付くところがチラホラあると思います。
表現がほわほわしているな。
そういえばこんな事を誰かが言ってたな。
と引っかかったらページを戻って確認、そして推理。
答えが合っていたら脳汁ぶしゃーです。

この謎分かりやすい!と思って突進すると、足元を救われますので要注意です。
そう、謎のあれこれがみちみちに詰められているので、ちょこっと謎を解けたとしてもまだまだ序の口といえます。
ぶちおも「あ、わかった」と調子こいて読み進めて、どれだけ気付けていない伏線があったことかw
たしかめ算をしない性格が仇となりました。

ぶちお唯一の自慢といえるのは、ベッドのでの閨事描写からある推理が当たっていたことです。
まさか、エロス的な情景で名探偵ポイントをゲット出来たとは。
書店員時代からエロ作品ももりもり学習した成果だと思っています。

若い男女間の微妙な空気とか、友人といえども秘密にしていることはたくさんあるだろうし。
なんだかんだこいつ良い奴なんだよな~が本音かも分からない。
カッコ良く見せたい外面と隠し通したい願望と。
人間ってどの面を信じるべきか。
4人の間には、本当にキラキラした気持ちだけだった?
いいや、そんなわけないよな。

と、シェルター内で悶々しているうちに、死体が発見されます。
自殺?他殺?どうしてこんな所で?

さらに断水にもなってしまいます。
このままシェルター内でただ待っていても、渇き餓えて死ぬという道しか残っていない。
どうすれば女性の兄を納得させられるのか。
さらにさらに、シェルター内ではとんでもない行為が発生してしまう。
極限だったからとはいえ、その行為は許されるものなのか。

そして唐突に事件は終わりを迎えます。
青春っぽさもありながら、人間のエゴさにがっくりきちゃう。
誰も止めてくれる人がいないって、こういう結末になっちゃうんだな~と。

シェルターでの出来事のあと、後半部分を読んで怒りがわいてくるという。
こいつが元凶!
あいつが悪玉菌!
お前はそんなことすんな!
もういったん全員反省しろ!
どんどん悪い方向に向かってしまったのは、やっぱり各自が抱えていた欲が原因じゃないかと。
みんなが善の気持ちで、同じ目標を目指していたらたやすいことなのに。
まぁ、それがどれだけ難しいかわかっているからこそ、面白さを感じちゃうのですが。

眠りの牢獄に囚われてしまったのは、誰か。

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