ぶちおの本棚

『ぬるくゆるやかに流れる黒い川』どこまでも救われなかった人の死。救いになるのは少女達の成長。

ぶちおです。

今回は『ぬるくゆるやかに流れる黒い川』をご紹介しようと思います。
もう、とんでもない輩が登場します!
こんちく!!と何度拳を握ったことか。
危ない危ない、暴力に訴えたらあいつらと同じや。

通り魔で家族を失った少女たちは、事件に向き合う決意をする。
知っていくうちに、また新しい痛みが生まれる。

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こんな人にオススメ

☆とんでもない悪党が登場しても平静を保てる
☆一匹狼のポリスが好き
☆こういう嫌なやついるなぁ~とちょっと共感したい
☆女子の友情に目を細めたい

書籍概要

◆作品名 ぬるくゆるやかに流れる黒い川
◆著者  櫛木理宇
◆出版社 双葉社

六年前、武内譲は二つの家族を惨殺し動機を明らかにしないまま拘置所で自殺した。遺族の栗山香那と進藤小雪は事件当時の武内と同じ二十歳になったときに再会する。「事件を改めて調べよう」と小雪は香那を誘う。なぜ私たちの家族が殺されなければならなかったのか。真相の周縁にあったのは、世代を超えて女性憎悪の感情で繫がる男の存在だった。注目の作家がおくる長篇サスペンス。

ぶちおの読書感想文

『ぬるくゆるやかに流れる黒い川』
通り魔による連続殺傷事件が発生。
犯人は20歳になったばかりの武内譲という男。
2つの家に押し入り、そこにいた妻や子どもを殺害。
すぐに捕まり、裁判にかけられるも公判途中で自殺。
事件は武内譲の自殺であっけなく幕を閉じます。

いや、被害者遺族には忘れることの出来ない、終わりのない悪夢は続きます。
どうしたって家庭内には不協和音が。

栗山香那と進藤小雪は中学時代の同級生。
事件が起こった時は学校にいて無事でしたが、香那は母と弟を。
小雪は母と妹と祖母を喪います。
武内譲は誰でもいいから殺したかったと供述。

とんでもない!
殺したかったから無関係の人を何人も殺す。
殺した後は自殺するんですよ、この武内譲。
いや最初から死ぬつもりなら1人で死んでくれよと。
たまったもんじゃないと、ぶちおの血圧は上がります。

香那と小雪は事件から6年経ち、再会。
小雪からの提案で事件のことを調べてみることになります。
当時は事件を遠ざけていたけれど、やっぱり武内譲の犯行には気になるところがある。

まずは被害者たちについて。
行きずりで、たまたま無施錠の家に押し入って凶行。
ただ被害者が受けた傷の程度には大きな差があります。
一番酷かったのはまだ幼かった小雪の妹。
抵抗もそれほど出来なかったであろう少女に、どうして執拗に刃を入れたのか。
女性陣は全体的にひどい状況の中、唯一の男性被害者だったのは香那の弟。
弟については、武内譲自身も巻き添えにしてしまったと言っていたという。

武内譲の目的は《女性》だったのではないか。
どうしてそこまで《女性》に敵意を向けるのか。
香那たちは、武内譲という人物を掘り下げることに。

境遇は辛いものだったけれど、それだけで犯行に走るとは思えない。
何かきっかけがあったはず。
香那たちは武内譲の大叔父に話を聞きに行こうとするのですが、その大叔父が殺されます。
事件はまだ終わっていない?!

当時の事件の担当をしていた警察の1人も、単独で動き始めます。
捜査一課でもないけど、持っているコネを駆使して真相に迫っていく。
懲戒ものだけど、立ち止まる訳にはいかない。
彼の中でもあの事件はまだ終わっていないんだもの。
この警察の活躍、痺れたぜ!
昼行灯を装いつつ、組織の誰よりも核心に迫るんだもの。

読んでいく中で、からゆきさんというものを知りました。
出稼ぎのために外国へ行って、騙されて。
春を売り物にされて。
国に残した家族のために耐えて耐えて、国に戻ったら差別を受けて。

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こういうことは昔からずっとあるんだろうけど、惨さと悲しさが。
そういう手段でしか生きるしかなったんだけど、メンタルはもちろんおかしくなるし、体だって壊れる。
そんなからゆきさんが家族にいたら。
からゆきさんの存在が、武内譲にどう繋がっていくのか。

武内譲を超えるとんでもない屑野郎もたくさん登場するので要注意です。
ぶちおの嫌いなものの煮こごりのような屑どもめ!!
またも上がり続けるぶちおの血圧、深くなる眉間の皺。
こういう人、フィクションの世界だけの住人じゃないからまた怒りが…

重くどっしりとしたテーマではありますが、香那と小雪が仲良くなっていくのにほっこりしました。
中学時代は微妙な距離感だったけど、この調査を機にどんどん和んでいくのが救いじゃった。
家庭の中に居場所はなくても、2人でいる空間が幸せならいいじゃない。
帰り道にミスドでも買って食べて欲しい。

悪人には、ろくでもない人生を。

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