ぶちおです。
今回は『田舎の事件』をご紹介しようと思います。
書誌にはギャグミステリという記載があり、どんなものかと思ったらそういうことかと。
たしかに、ところどころに何でやねんとツッコミたい時も。
人も少ない、ギラギラしていない田舎らしく。
じっとりとして焦燥があるのかもしれません。
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こんな人にオススメ
☆短編をたくさん読みたい
☆はちゃめちゃなものがいい
☆田舎についてふと考えてみたい
☆犯人の哀れさをのぞきたい
書籍概要
◆作品名 田舎の事件
◆著者 倉阪鬼一郎
◆出版社 幻冬舎
水だけでそばを食わせる究極のそば屋「無上庵」の店先にめんつゆを置き去る妖怪の正体(「無上庵崩壊」)、作家志望者が新進作家の名を騙ったがため立てた殺人計画(「郷土作家」)、スランプ俳人が素人の一句に天啓を受け発狂(「梅の小枝が」)など田舎ならではの怪事件! 探偵なき村落を犯人だけがひた走る!! 傑作ギャグミステリ全十三話。
ぶちおの読書感想文
『田舎の事件』
昔話のような、今もあう長閑な田舎のような。
田舎という言葉がもつステレオイメージを舞台にした短編集です。
集落のみんなが顔見知り、盛り上がるイベントは村長選挙、地元の学校が地区大会に出場するだけで大騒ぎ。
娯楽が少ないから楽しみは地域密着イベントになるし、他人の家のニュースが何より面白い話題だったり。
地域密着だからこそ、誉れも恥もすべてが共有されてしまう。
誉れだったら何も問題ないです。
道行く人に褒めてもらえて、前を向いてほくほく顔で歩けます。
嫌なのは、恥が共有されてしまった時。
恥の内容によっては、もうその場所に住んでいられないかもしれない。
外を歩けない、他人の視線も声も気になる。
今後の人生をどう立て直すべきか…
本作では大なり小なり、人生で少し失敗をしてしまった人達がどうして凶行に及んだのか。
ドライな気持ちでいられたら何とも思わないことなのに、何故かバッドエンドにまっしぐらしてしまう犯人たち。
犯罪をしてしまうことのメリデメをちゃんと考えられていたら、こんなことにはならないんだけども。
追い込まれる条件が揃ってしまったと。
ぶちおのお気に入りのお話を2つほど。
「頭のなかの鐘」
テレビののど自慢に出場した主人公。
歌には自信があり、この出場から歌手デビューをすることを夢見ていました。
しかし結果は、鐘1つ。
嘘だろ、自分が下に見ていた他の出場者よりも評価が下だなんて。
インタビューの受け答えだって、ばっちり考えてきていたのに。
いや、それよりもこの内容が放送されたらどうなる。
自信満々に吹聴していたのが恥ずかしい。
見られたら終わり、見られたくない。
思考がどぶどぶになって辿り着いたのはカラオケボックス。
その部屋で主人公は考え抜いた終焉を迎えようとします。
これはもう、主人公がおめでたかったな~と。
のど自慢の結果がわかる前に、テレビ出るから!とか言っちゃうんだもの。
そこよ!粗忽よ!
一般前向きボーイなら、残念な結果も含めて笑い話に昇華できたのかもですが、いかんせんプライドが邪魔をする主人公。
笑われるなんて絶対に許せない。
のど自慢も上手い人もいれば、上手く出来ない人もいる。
それでよいと思うのですが、自分が最高に上手いと誤認している主人公には上手く出来なかった時のビジョンが何もなかった。
恥を隠蔽するための手段はもう、おかしな選択肢しか残っておらず。
「文麗堂盛衰記」
本を愛する主人公。
初版本が好き、古本でも状態のいいものが好き。
自慢の蔵書をひっさげて、地元に帰り古書店を開店させます。
地元民には理解できない商売でもいいのです、主人公だけが崇高な生業だと信じているから。
主人公が女性のことも本に置き換えて考えているところが変人だなとw
初版本だったら何でもいい。つまりは女性も手つかずの状態ならいい。
古本でも帯や装丁が綺麗なら価値はある。経験済の女性であっても見目がよければいい。
とんでもない感覚ですが、何となくわからんくもないと思うこともないw
ぶちおも書店員時代、とにかく初版にこだわっている人いましたから。
発売日に買いにくるならまだしも、人気作をレジに持ってきて初版本なら買いますというお客さんもいました。
電話で支店に初版本があるか確認しろということも。
もう重版されまくってる作品だから無理だろう、と思いつつ出来る限り確認してあげましたとも。
今ならカスハラにできないかな、こういう無茶な要求。
当時は電子文化もまだまだでしたが、現在でも初版本に価値あるのかな。
なくはないけど、昔ほどではない気がします。
古本屋文化も厳しいと聞きますし。むぅん。
ちなみにぶちおは古本を買えない派です。
図書館の本も無理よりの無理。
不特定多数が読み込んだ感がある紙というのが、なんかあれでw
となるとこのお話の主人公に通ずるものがぶちおにもあるのでしょうか??
あまり深く考えずに実行しちゃう。
ドジっこと言われても仕方ないミスに気付かない。
気にするところはそこじゃないよ、って誰か優しく教えてあげたっていい案件ばかり。
今日もどこかで、珍妙な事件が。
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