ぶちおです。
今回は『看守の信念』をご紹介しようと思います。
1作目『看守の流儀』は衝撃でした。
綺麗に騙されて、ご機嫌になった記憶しかありません。
※『看守の流儀』読書感想文はこちら
そして続編。
これはもう期待値もあがっているし、1作目の風景を思い起こしながらわくわくで読みました。
綺麗に騙されましたとも!
囚人も看守も、どちらも人間だから。
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こんな人にオススメ
☆『看守の流儀』を読了した
☆刑務所内という特殊環境を垣間見たい
☆結局、人は裏切ると思う
☆生きていくことについて考えたい
書籍概要
◆作品名 看守の信念
◆著者 城山真一
◆出版社 宝島社
シリーズ累計12万部突破
人生が交差する驚愕の傑作・刑務所ミステリー
釈放前の更生プログラムに参加した模範囚が、外出先で姿を消した。発見されるまでの「空白の30分」でいったい何が起きたのか(「しゃくぜん」)。刑務所内で行なわれた運動会の翌日、集団食中毒が発生。これは故意の犯行なのか。炊事係の受刑者が容疑者に浮上するが……(「甘シャリ」)。自身の信念を問われるような事件の数々に奔走する刑務官たち。一方そのような中、敏腕刑務官・火石には不審な動きが――。
ぶちおの読書感想文
『看守の信念』
ミステリのシリーズものとなると。
大ヒット作の続編は、どうしてもハードルが高くなります。
前作を超えるのか?超えるよね?信じてるからね、と読者ぶちおは勝手にわくてかしています。
まぁわくてかしない状態で本を読み始めることはないですが、シリーズの2作目は別格といいますか!
今後、このシリーズを追いかけ続けるかどうかの分岐点をはかっています。
余談ですが、書店員時代も1巻から2巻への継続率を重めに見ていました。
2巻目で1巻の5割も継続されていなかったら、いいとこ3巻で完結だろうなぁというぶちおの計算式です。
いっちばん重要だから、ここがぁ!!
さて、前作『看守の流儀』を読んだのは1年半以上前でした。
最大の仕掛けについては覚えていましたが、細かい登場人物描写については忘れている部分もあり。
でも前作を読み返すことはせず、曖昧な記憶のまま『看守の信念』を読みました。
読み進めていくと、あっという間にこの作品がもつ空気感を思い出します。
刑務所内の人間模様。
階級の差は絶対。
刑務所内の職員の関係も、それによってちょっと面倒くさかったり。
警察ドラマでもよくみる、エリートは厄介がられがちとか。
何年経ってもなかなか昇給できない人がいるとか。
担当している職務によっては、どうしても衝突しがちな関係性があったり。
刑務官が向きあうのは囚人たち。
有罪判決が出て、収監されている者たちには厳しくきちんと接しなくてはいけない。
刑務官の方が管理をする側なので立場は囚人より上ですが、年齢や階級によってはなめられることもある。
囚人が自分の親くらいの年齢で、刑務官が息子くらいの年齢だと、囚人はなんか態度悪くなりがちと。
そうなると刑務官もちょっと面白くないし、衝突の火種になってしまう。
こういうのも密着番組でよく見ます。
ぶちおは夕方の報道番組の特集ですら、こういうのが大好き。
自分より年下の警察や行政の担当者だといきる高齢の容疑者。
人間性を疑うなぁ~こういう態度の奴はやってうなぁ~と、偏見で見まくっています。
厳しく接するだけではなく、しっかりと更生をしてほしい。
二度と刑務所に戻ってこないで欲しいが、なかなか再犯率は高い。
囚人サイドも外の世界がいいとは思いますが、訳あって戻ってきてしまうことになったり。
再犯しないように新たなプログラムに取り組んだりするのですが、それが新たな事件を生むこともある。
ぶちおは塀の中には行きたくないから、まっとうに生きているつもりではあるけれど。
なにがどうなって塀の中に行くことになることもありえなくはない!
囚人といえど、みんなが一様なわけでもない。
だからこそ、接する職員たちも正解のない日々を過ごしている…
社会復帰をしやすくするために、新たに取り入れることになった釈放前プログラム。
海岸の清掃ボランティアに参加をさせて、社会の空気に少しでも馴染ませることが目的ですが、
刑務官も数名がつきそうとはいえ、拘束をしない状態で外界に出すというのはリスクもあります。
そして起こってしまった逃走。
しかし、一瞬の隙をついて姿を消した囚人は海で溺れた人を救出していただけと言って刑務官の元に戻ってきます。
人命救助のために、体が動いた。
刑務官に声をかけている時間はなかった。
でもこの囚人が言っていることは本当なのか…
刑務所内で起こった集団食中毒はどうして起こったのか。
もしかしたら、誰かが故意に起こしたのかもしれない。
そうだとして、動機はなにか。
倉庫にて火災が発生。
失火か、それとも誰かの手による放火なのか。
放火だとしても、囚人たちにはアリバイがある。
そうなると容疑者たりえるのは誰なのか。
囚人と外の世界を繋げている手紙。
ある囚人が文通相手が会いに来てくれない、理由が知りたいと漏らします。
手紙では会えることを楽しみにしていると書いているのに…
本来、こういう依頼を刑務官が聞くことは禁止されていますが、どうしても気になる文通相手の状況。
会えない、会いたくないのであれば会えないと言えばいい。それか文通をやめればいいのに…
文通をやめられない理由は。
囚人が釈放されたあとの職を斡旋するのも大事な仕事。
断られることが多い中、毎年受け入れてくれる会社があります。
ある日、総務課長に届いた封書は、その会社で酷いイジメがあると専務を告発する内容でした。
ただのイタズラか、それにしては文面は穏やかではない。
前科持ちとなると社会でも息苦しいことが多い。
そして結局、また悪の道に進んでしまうと。
誰しもが社会でうまく世渡りできるわけではないし。
気付いたらドロップしていて、塀の中…
ベストはそうなる前に悪事を起こさせないのが一番ですが、悪い人は寄ってくるから。すすすっと。
マジで気をつけましょう。
普通の感覚なら闇バイトとかありえない仕事内容だと思うけど、騙される人が後を絶たないのはそういうことです。
ドラッグ、ダメ絶対と言われてるのに手を出す人が減らない。
悪人は言葉巧みに悪事に荷担させる仲間を増やします。
一度悪事を働いたら、沼。
刑務所で頑張っても、社会に出て孤立。
まぁ自業自得ではあるけれど、ちゃんと償った上での仕打ちとしては冷た過ぎる。
負のループははまったらアカン!
抜け出す労力がまじでえぐいとぶちおは知っている!!
それでも、よき刑務官は手を貸してくれます。
何とか社会で自立できるように。
その信頼を裏切ってはいけないけど、よき刑務官ばかりでもない…
出世欲、自己保身、そういう気持ちが刑務官に無いとはいえない…
人間の心理よ!
本作は5章、5つの物語があります。
職員が悩んでいる時、そっと知恵を貸してくれるのが敏腕刑務官・火石です。
人として、看守としてどうするべきかを選択する時。
火石は不可解な事件の糸を、ほぐすほぐす。
凡人が見えている事件の捉え方はまったく違うのだと思います。
そう、まさに敏腕!
5つの物語を横断して、大きい謎もあります。
それは火石のプライベートにまつわる物語。
職務中はきっちりぴっしりして隙がない火石ですが、どうやらプライベートで怪しい動きがあるらしい。
火石を煙たいと思っている層からしたら、これはチャンス!
火石を追い出すための材料になるのではないかと、スパイを手配します。
休みの日、仕事終わりの火石の行動はパターン化されています。
行きつけの店で、いつものお気に入りメニューを頼んで、読書をする。
問題のない習慣に見せて、実は…
前作を読了してから読むのがオススメです。
本作から読んでも問題ないっちゃないですが、やっぱり前作の活躍や人間関係の香りを覚えている状態で読むのがよいです。
その方が、騙される確率が高くなるでしょう!
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城山真一作品
『看守の信念』の作者、城山真一先生作品から選書してみました。
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『ダブルバインド』
金沢東部署の刑事課長・比留は大ピンチ。
アポ電強盗犯を取り逃して左遷が決定的に。同時期に出生の秘密を知ってしまった娘が家出してしまう。
さらには駐在所警官殺しが発生して捜査に奔走するなか、県警内部の不正とも対峙することになり、公私ともにがんじがらめ
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『狙撃手の祈り』
離婚届を置いて失踪した妻、発見された銃弾、28年前の未解決事件。
平穏な生活が一変する秘密と嘘。
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2016年の『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作!
お金に困っている人間を助けたいという思いでメガバンクに就職したが、その内情に失望して退職した百瀬良太。
良太は零細企業を営む兄の金策の過程で、「黒女神」と呼ばれる二礼茜と知り合う。
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『仕掛ける』
『このミステリーがすごい!』大賞受賞後第一作、文庫化!
内閣金融局の秘密部門SIIに所属する二礼茜の仕事は、依頼人の“もっとも大切なもの”と引き換えに、
経営危機に直面する会社に対して株取引によって資金作りの協力をすること。
まとめ
『看守の信念』
罪を犯した者と、犯していない者の隔たりは大きい。
厳しい規律の中で、どこまで手助けをするべきか。
人間の複雑心理、行動原理。
気付けば泣いちゃっていたのは4章「がて」
悪いことだとわかっていても、その方法をとることもある。
規律だけをもって責められますかと。
曲げられないのが信念だと思っていても、意外と簡単にゆらぐものかもしれません。
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