ぶちおです。
おすすめ小説のご紹介です!
今回は『教誨』
『孤狼の血』『合理的にあり得ない』など人気作多数の柚月裕子先生の作品です。
ちなみに、柚月先生の小説は今回の『教誨』が初読のぶちおです。
あまり事前に作品情報を入れず読みましたが、涙腺にきました…読みながら眉間に皺も出来ました。
彼女を凶行に追い立てたのは、何だったのか。
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こんな人にオススメ
☆犯罪の動機を探りたい
☆人間の感情を深掘りしたい
☆切ない結末もばっちこい
☆閉鎖的な土地で暮らす人々の生活を垣間見たい
書籍概要
◆作品名 教誨
◆著者 柚月裕子
◆出版社 小学館
女性死刑囚の心に迫る本格的長編犯罪小説!
Amazon『教誨』作品内容より
幼女二人を殺害した女性死刑囚が最期に遺した言葉――
「約束は守ったよ、褒めて」
吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。香純は、響子が最期に遺した言葉の真意を探るため、事件を知る関係者と面会を重ねてゆく。
ぶちおの読書感想文
『教誨』
電子書店のセールで、柚月先生の単行本が安い!今や!と勢いでゲットしました。
その為、事前にどういう話かもよく見ずに読むという事態にw
どんな話かまったく分からない状況でページをめくるドキドキ感といったら!
この何も入れない状態で読了したのですが、ぶちおは1つの事件を思い出しました。
当時のワイドショーは連日このニュースで持ちきりでした。
【秋田児童連続殺人事件】
『教誨』の参考文献の蘭にも、この事件に関する資料名が掲載されています。
女児が川で水死体となり発見、さらに翌月、女児の近所に住む男児も遺体で発見、犯人はまさかの女児の母親という事件です。
犯人の母親がなかなか強烈でした。
取材にも応じていた母親自身が犯人ということでさらに報道が過熱。
被害者の遺族から、犯人になった訳ですから。それはもう好奇心の的です。
『教誨』と実際の事件で大きく似ているのは2点。
・舞台が東北地方
・犯人は自分の子どもと近所の子どもを手にかけている
それ以外にも似ている点もあります、もちろん異なる点もありますがベースの事件の状況はとても似ています。
『教誨』の内容について。
主人公は香純、死刑囚である響子の遠縁にあたる親戚です。
小学校の頃、たった1度だけ言葉を交わした程度の間柄。
香純の家に、響子の死刑が執行されたという連絡とともに、身元引受人に指定されていたことを告げられます。
ひとまず、響子の遺骨と遺品を受け取りに拘置所へ行った香純。
最後の様子について聞くと、執行の前に「約束は守ったよ、褒めて」と響子が言い残していたことを知ります。
響子の母親もすでに他界、父親や近しい人もいないという状況です。
本来であれば本家が引き取るのが筋ということで遺骨の処分について対応を考えていくうちに、響子が残した言葉の意味を知りたいと思う香純。
響子が暮らしていた、事件が起こった青森県に向かいます。
響子がどうして自分の子どもを殺したのか、近所の子どもまでも殺めたのか。
何か引っかかる。
香純が響子の過去について辿っていく視点と、響子が迎えた最期の1日の視点を交互に読み進めていきます。
単純に響子が悪い人間で、自分のために罪を犯したとかならまだ理解するのですが…
香純も意地になって響子のルーツを追うことを決めますが、
響子のことを知れば知るほど、ダメージを喰らいます。
本人が悪くなくても、騙されたり、利用されたり、裏切られたり、
効率よく生きられない、一方的に搾取される側の人間はどうしても存在する。
救おうとしても、手が届かないことがある。
意図していない意味で言葉が伝わってしまうこともある。
舞台が青森県の小さな町なので、田舎ならではの慣習というか、なんというか。
静かな町だったのに、事件によってめちゃめちゃに秩序を荒らされた恐怖。
よそ者は目立つし、気になる。つい詮索しているような視線を向けてしまう。
町全体が知り合いのような場所では、1度問題を起こしてしまった家は針のむしろのような日々を送ることになる。
ぶちおの田舎も、昔はそうだったのかな~
みんな顔見知り、無施錠でもOK、近所の人はズカズカ入るしズカズカ入っていいしw
地域全体で子どもを見るのはいいことですが、うがって見ると常に誰かに監視されているような。
どこどこのお姉ちゃんがぐれたらしいとか、あそこの嫁さんは姑と仲が悪いとか。
井戸端会議の内容もそんな地元のゴシップだったなぁ。
ぶちおの成績とか、知られてましたからねw
点数が良ければいい気分ですが、悪ければ…
響子が犯した罪は許されるものではない。
だけど、そんな事をするような人に思えないから、理由を知りたい。
手元にある手がかりから、香純は響子が隠していた約束を知ることになります。
その内容がまた…
誰が一番悪かったのかな、何が響子を死刑台に送ったのかなぁ。
香純に協力する新聞記者の樋口がかっこいいことは残しておきますw
信頼できる協力者というだけで株価が爆上がりしました。
彼も響子と関わったことがあり、どうして凶行に及んだかをいまでも取材していると。
ちょい不器用な感じだけど、へこんだ時に側いてくれます。
惚れてまうやろ案件でした。
死刑執行後、うちの墓には入れるな!と引き取りを拒否された響子の遺骨を持って辿る道。
香純は哀しい事件の最後に、何を感じたのか。
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こんな作品もおすすめ
『教誨』を読んで、刑務所関連の書籍を選書してみました。
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『看守の流儀』
石川県の加賀刑務所を舞台に、刑務官と受刑者たちの織り成す五つの事件。
刑務所の部署についても詳しくなれました。
看守の職務中に起こる不思議な事件、最後はどんでん返しされます。
刑務官が明かす死刑の話 (バンブーコミックス エッセイセレクション) 新品価格 |
『刑務官が明かす死刑の話』
実際に死刑に立ち会った刑務官から聞いた知られざる話を漫画化。
日本で一番重い刑、死刑にまつわるお話が多数。
予告なく、ある日お迎えが来る恐怖…
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『出版禁止 死刑囚の歌』
「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」
最後、めちゃくちゃ怖いですw
これ本当にあったことなんじゃないかと、脳がバグります。
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『監獄学園』
女子1000人:男子5人!! その学園は男(ヤロウ)共にとって天国か地獄か。
安全安心でバカ笑い出来てちょっとエロいw
こんな檻の中でも、人によってはご褒美チャンスになる不思議。
まとめ
『教誨』
どんな言い訳をしても、どんな理由があっても、無抵抗な小さい子どもを手にかけるのは悪いこと。
刑は執行されて、響子は罪を償ったはず。
でも、彼女のことを受け入れてくれる場所はどこにもない。
最初に提示されていた謎。
響子はどうして、遠縁の、関係性がほとんどない香純と香純の母親を引受人に指定したのか。
その理由を推測して、また哀しくなりました。
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