ぶちおの本棚

『斬首の森』カルト教団からの逃走に成功した女性は語る。禁足地の森で起こった悲惨な出来事。

ぶちおです。

今回は『斬首の森』をご紹介しようと思います。
ヤバさの香る単語を見つけたら、それだけでまずはあらすじを確認。
気付いたらポチっていました。

土地勘のない森での生存競争。
人生の再起をかけて合宿に臨んだはずなのに、自分から死地へ向かっていたという現実。
どうやったらこの最悪な状況から抜け出せるのか!

謎の儀式が残る土地、5人の逃亡者たちの末路は…

斬首の森

新品価格
¥1,386から
(2024/12/23 23:48時点)

こんな人にオススメ

☆因習とか好物
☆生き残りをかけてヒリヒリしたい
☆人は徳が大事だと思う
☆ミステリー要素も楽しみたい

書籍概要

◆作品名 斬首の森
◆著者  澤村 伊智
◆出版社 光文社

わたしは今すぐ逃げなければならない。あいつらから、この森から。なのに――。暗い森の中に建つ合宿所。ある団体の“レクチャー”を受け洗脳されかけていたわたしは、火事により脱出する。5人で町へ逃げだそうとするが、不可解な森の中で迷ってしまう。翌朝、5人のうちのひとりの切断された頭部が発見される。頭部は、奇怪な装飾を施された古木の根元に、供物のように置かれていて――。戦慄のノンストップ・ホラーミステリ!

ぶちおの読書感想文

『斬首の森』
澤村伊智先生の作品!
過去作『ぼぎわんが、来る』『予言の島』を読了しています。
これはやっぱり、読むしかないと。
読書中に感じる嫌な湿度感、好きです。
霊なのか、人の悪意なのか、超常的なナニかなのか。
とにかくじんわりと首筋に巻き付く恐怖感は癖になります。

パニック要素もあり、ホラー要素もあり、謎解き要素もあります。
バラエティパックが過ぎるくらいに、ぱんぱんに入っています。

記者が、ある女性に取材をします。
その女性・鮎実はあるカルト集団の合宿から逃げてきたと証言します。
ライターは以前から怪しい噂のあるカルト集団の実体が掴めることができるかもとわくてかです。

鮎実が語ったのは、合宿所でのレクチャーについて。
参加者は洗脳状態に陥り、異様な状況を受け入れる程になっていた。
講師の言うことを聞かない参加者には、参加者が罰を与える。
それでも言うことを聞かない場合、罰の内容はどんどん苛烈さを増していきます。
たとえ、参加者が死んでしまったとしても、騒ぎ立てる人は1人もいない。

人権を奪われ、外界と通信を取れず、食事もろくにとれず、反抗したら痛い目にあう。
それなら言うことを聞いて、異様なことでも受け入れる方がたやすい。
洗脳の王道スタイルです。

鮎実も参加しているうちに、人を殺すことに加担し、そのまま死体の遺棄まで手伝っていました。
合宿に参加した全員が共犯。
心配することはない。
そもそも死んだ人が悪いんだ。
レクチャーに従わなかったから殺されて当然なんだ。

教団部長の指示に従って、遺体の服を脱がし、全身をラップで巻きます。
そして地中に埋める。
遺体を埋める穴には、先客もいました。
過去にもこの合宿で亡くなった人がいる。
これがこの教団の普通なんだ。

鮎実は合宿所の火事騒ぎに紛れて、4人の参加者とともに教団からの逃走を試みます。
スマホもない、十分な用意もないけれど、このままいたら殺されるかもしれない。
教団からの追っ手も来ているかもしれないから、とにかく早く町に出て助けを呼ばなければ。
そして教団を告発しよう。
自分が普通の人間であるために、まっとうになるんだ。

とはいえ、教団の犯罪の暴露よりも、まずは山中からの脱出が重要です。
装備もない中での山歩きは地獄!
食べ物も水も、都合よく潤沢に見つけられることも期待はできない。
そして、脱出組のメンバーがどんどん命を落としていくことになります。

最初の犠牲者は首を切られて、首は木の根元におかれていました。
胴体は行方不明。
人の手による殺人に見えるけど、それは一体誰の仕業なのか。
教団からの追っ手が殺した?
それとも、一緒に脱出しているメンバーの中に人殺しがいる?

疑心暗鬼からの、連続殺人。
教団も気にしないといけないけど、首切りの犯人捜しもしないと!
なんで、どうやって、誰が、分からないことだらけ。
というか無事に生きて下山もしないといけません。
謎は解けても、山中で野垂れ死ぬ可能性があるわけで。
タスクぱんぱんやで!

鮎実の体験談、記者の取材中の様子、そして教団サイドのストーリーも展開されます。
教団がどうしてまどろっこしい遺体処理をしているのか。

本気で遺体を隠したいのなら、早めに腐敗して骨になってしまった方がいい。
というか、私有地の山なのでそのまま晒しておいた方が、動物が処理してくれるかもしれないし腐敗も早い。
やりようによっては、山歩き中の事故を装うこともできる。

ごまかしようはいくらでもあるのに、遺体をラップで巻くという一手間をかける理由。
ラップを巻いてしまうと、なかなか腐敗が進まないのでは?

教団の成り立ちにもきな臭さがぷんぷんと。
昔、この山にいた老婆はどんな病人も治せたらしい。
しかし治療法については誰にも教えなかった。
たった1人で山に入り、病人を看病しているようだが、特効薬でもあるだろうのか?
老婆の秘密に迫ったのは…教団の代表とも関係がある人物らしい。

教団も怪しいし、森の中で起こる事件もおかしい。
メンタルもフィジカルも削られる中、鮎実は生き残って記者の取材に応じている。
記者は、鮎実の証言から教団の秘密に迫ることはできるのか。
ここがペンの強さの見せどころやで!!

教団の参加者は、老若男女様々ですが人生に行き詰まっていることを感じている人ばかり。
心に隙があったから、教団に目を付けられて取り込まれてしまった。
人を集めて、洗脳して、また人を集めて洗脳する。

ラストを迎える前に、ぶちおは肝を見抜きました。
読みながら感じていたあの違和感は、やっぱりそういうことだったのか。
でも真相を完全に明かすことは出来ませんでした。
ぶちおの想像できない真相じゃったよ。そうだ、これはホラー作品とも言えるんだもの。

鮎実を含めて脱出を目指す5人。
どこまで信用していい人間なのか。

全員で脱出するのがベストですが、首被害者が出たことで脆い繋がりが露呈します。
やたらしゃべるやつ、頼りないやつ、仕切るやつ、強がるやつ、自分を持っていないやつ。
極限では他人を思いやることも、大事に選択しなければいけない。

この森には、足を踏み入れるべきではなかった。

斬首の森

新品価格
¥1,386から
(2024/12/24 00:26時点)

こんな漫画もおすすめ

『斬首の森』を読んで、自然の中の脅威からサバイブするって大変だよね☆と感じる作品から選書してみました。

モンキーピーク 12

新品価格
¥644から
(2024/12/24 00:30時点)

『モンキーピーク』
社員の結束を高める為の、登山レクリエーション。
雄大な自然を感じる爽やかな山は、夜と共に惨劇の舞台と化す!
藤谷製薬36名が体験した、未体験の悪意とは…!?

ヒグマグマ 2

新品価格
¥733から
(2024/12/24 00:30時点)

『ヒグマグマ』
そこで目にしたのは、凶暴な野性の圧倒的蹂躙——!!
令和史上最悪の獣害事件発生、超巨熊列島震撼。凄絶ヒグマ暴虐物語、開幕!!

大巨蟲列島 14 (チャンピオンREDコミックス)

新品価格
¥634から
(2024/12/24 00:31時点)

『大巨蟲列島』
辰野神島へと脱出した睦美たちは天空を制圧するトンボに追いつめられる! 
カブトムシ、蚊など新たな巨蟲が出現する新章開幕!!

さるまね 8巻【特典イラスト付き】 (ゼノンコミックス)

新品価格
¥755から
(2024/12/24 00:35時点)

『さるまね』
ある日山で迷ったという男が村に来る。
一向に目を合わせようとしないその男を訝しむ可畏だが、家族とともにもてなす。
そしてその夜、村の外れではさらなる招かれざる獣が入り込んでいた...。

まとめ

『斬首の森』
大きな木の枝には、多様な刃物が吊り下げられている。
どの刃物にも、赤黒い何かが付着。
年月を感じるが、この木の存在が意味するものは。

鮎実が森の中で見かけた影は。

教団の真の目的は。

取材を通して、記者が掴んだエンディングは。

斬首の森

新品価格
¥1,386から
(2024/12/23 23:48時点)

~ぶちおのYouTubeはこちら
~ぶちおのグッズはこちら
📚ぶちおの本棚記事一覧はこちら
🐥鳥記事一覧はこちら
🌞日常記事一覧はこちら
✨劇団四季一覧はこちら

-ぶちおの本棚
-,