ぶちおです。
今回は『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2《怪物》』をご紹介しようと思います。
前作から新キャラも増えて、騒々しさがプラスされています。
そしてついに、怪しい図書についての気付きも…
いまだに捕まらない怪物の正体は。
バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2《怪物》 (角川ホラー文庫) 新品価格 |
こんな人にオススメ
☆怪しい図書の謎を追いかけたい
☆超常現象も受け入れる派
☆ちょっと元気になった主人公を見守りたい
☆哀れな怪物に惹かれる
書籍概要
◆作品名 バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2《怪物》
◆著者 阿泉 来堂
◆出版社 KADOKAWA
『ナキメサマ』『贋物霊媒師』の著者の新境地。古書を巡る猟奇犯罪を追う!
先のグレゴール・キラー事件から二か月。その功績を認められ、刑事課強行犯係特別事案対策班(通称 『別班』)に配属された加地谷と浅羽が新たに捜査に当たるのは、帰宅途中に殺害された女性の遺体が、まるできれいに清められたかのように安置された『エンゼルケア殺人事件』。再び道警本部捜査支援分析室の天海伶佳らとともに捜査を進めるうちに浮かび上がってきたのは、十五年前に発生した少女殺人事件と、死亡した少女の遺族である一人の青年の存在。そして、数年おきに発生している女性の不審死事案だった。伶佳の同僚であり心理分析官の御陵伽耶乃は、プロファイリングによってその青年、青柳史也こそが殺人犯であると睨む。しかし加地谷は、青柳史也がプロファイリング通りの凶悪な連続殺人犯だとはどうしても思えなかった。次第に明らかになってくる兄妹の秘密。そして、メアリー・シェリー作の『フランケンシュタイン』に心を囚われる史也と、彼を慕う一人の少女。少女の身に危険が迫るとき、二人の刑事はその手に銃を握り……。上巻に続き、奇妙な古書に導かれた殺人犯を二人の刑事が追う。猟奇事件×スーパーナチュラルミステリーの後編!
ぶちおの読書感想文
『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2《怪物》』
見た目の美醜に限らず、人間と怪物の違いとは何か。
ぶちおの好きな『オペラ座の怪人』『ノートルダムの鐘』『ウィキッド』も、同じ人間から追われる人間が描かれています。
見た目が少し変わっている、理解が出来ない、人とは異質な力を持っている。
同じ人間同士でも、人間は人間を線引きすることがしばしばあります。
逆に見た目は普通でも、中身がモンスターなんてことも多いですが、
なかなか見た目だけで人間と怪物の違いは見抜けない。
そんな矛盾や葛藤を描いている作品に興味は尽きない派です。
ファントムは成長過程でねじまがっちゃう経験をしたし、
カジモドは心優しすぎて現実の残酷さに絶望したし、
エルファバは自分の信じるもののためなら追われても構わないと国を飛び出したし。
どう関係を築いていくべきか。
むう。
何度見ても面白い作品はこういう部分がグッとくるのかもしれません。
さて、本作について。
前作に引き続き、主人公は加地谷。
因縁の犯人は捕まえることが出来たので、かなりメンタルが健やかになっています。
前向きな、ちょっとくたびれた刑事といいますか。
恩讐が抜けて、本来の加地谷はこういう人なんだろうなぁと。
加地谷の相棒も引き続き、浅羽。
女性に滅法弱くて、いい感じのチャラさが事件のおどろおどろしさを毒抜きしてくれます。
対極バディが刑事には必要ですね。
加地谷・浅羽コンビは2人だけの別班として倉庫におしやられます。
手柄はあげたけど、組織としては厄介者。
過去の事件資料を整理するのがおもな作業です。
また新たな特命係がwまたは、おみやさんが誕生しました。
資料整理をしている中、殺人事件が発生します。
どうやら普通の事件では無さそうということで、別班が捜査を担当することになります。
死因は手近にあった石による殴打か。
死体は綺麗に整えられた状態で、公園の敷地内に放置。
犯行自体は突発的に見えるけれど、発見される危険をおかしてまで死体を丁寧に整えている。
整合性がとれない犯人像に惑わされます。
調べていくと、過去にも似たような遺体が発見されたケースが。
連続殺人なのか、犯人は誰なのか。
加地谷は刑事の勘を頼りに捜査を進めます。
前作でも登場した天海と、プロファイリング担当の御陵を加えた4人体制。
天海は何か、加地谷に思うことがあるのか。
御陵はプロファイラーなので、刑事の勘というものを信じていません。
永遠にあるであろうこの対立w
データも大事だけど、データでは出てこない第六感もバカにはできない。
勘という不確かなものよりは、統計から導き出す方が確度が高い。
どちらをとるかではなくて、どちらもいいところを取る、が出来たらいいのでしょうが。
捜査方針が真っ向から対立した時は、どうしても衝突してしまう。
加地谷VS御陵は、メインファイトと言えるかもしれませんw
御陵がなかなかのはねっかえりガールなので、いいスパイスになっています。
中年オヤジを煽る煽るw
事件の捜査とは別で、ある兄妹の文通内容を知ります。
事情があって離れて暮らしている兄妹、お互いを思いやっているほっこりお手紙。
しかし妹からの手紙の内容に、不穏なものが混じるようになってきます。
居候先でのちょっと不気味な出来事。
このやりとりも、事件解決のヒントになるか…
自分は文通が続かない筆無精だったなぁと思い出しました。
年賀状も早々に出さない人間だったなぁ。
数十年前に年賀状じまいしている、時代の最先端じゃったな。
筆まめな人、尊敬します。
美文字だともうちょっと変わったかな?
いや、ポストまで行くのも億劫だと感じてたもんな…
田舎だから、ポスト自体もどんどん減っているし。ぶつぶつ。
事件の中でキーとなるのは、著者メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』
フランケンのイメージは知っている人が多いと思いますが、原作小説の内容を知っている人は少ないのではないでしょうか。
ぶちおも伊藤潤二先生の作品で知ったこと多かったもの。
吸血鬼とか狼男と肩を並べる怪物の一種、くらいの認識で深いバックボーンがあるとは認識しておらず。
フランケンも大変だよなぁ~
勝手に造り出されて、仲間もいなくて孤独で。
そりゃ自分を生んだ人間を怨みもするだろう、
造った責任を取るべきだと糾弾したくなる。
人間のエゴから誕生した怪物。
怪物側の言い分。
フランケンシュタインという存在は、事件にどう関わっているのか。
怪物と意思疎通は可能なのか。
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こんな作品もおすすめ
『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2《怪物》』を読んで、フランケンシュタインにまつわる作品から選書してみました。
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『伊藤潤二傑作集(10) フランケンシュタイン』
北極探検に向かうロバートの前に現れた漂流者。
死をも覚悟し、悪魔を追っていると語る男は……。表題作ほか全11作を収録。
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彼女が閲覧を希望したのは、赤いブーツ…
2年前、女王主催の舞踏会で起きた怪事件の遺留品だった。
そして女は、一人のおぞましく、あまりにも奇妙な女剣士の思い出を語りだす。
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怪物ランドからやって来たちょっとワガママな王子・怪物太郎。
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彼女のメスが生むのは、奇跡か、恐怖か…!?
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まとめ
『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2《怪物》』
怪物が考えて実行する恩返しは、善意によるものなのか。
それとも悪意を忍ばせたものなのか。
誰かの命を奪う行為だとしても、怪物に悪意はないのかもしれない…
その判断は誰が、どうやってするものか。
定期的に発生する女性の不審死。
過去の事件で疑われた男の家にあったフランケンシュタインの私家本。
加地谷は先輩刑事の無念を背負い、怪物に立ち向かう!
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